【2026年新設】複数名薬剤管理指導訪問料の算定要件をわかりやすく解説
薬剤師が訪問薬剤管理指導を行う際、患者が興奮や攻撃性を示す場合には、安全性や適切な服薬指導の観点から、薬剤師1名での対応が困難なケースがあります。
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、こうした場面に対応するため、複数名での訪問を評価する「複数名薬剤管理指導訪問料」が新設されました。
本記事では、複数名薬剤管理指導訪問料の算定要件や新設の背景、算定時の注意点などについてわかりやすく解説します。
複数名薬剤管理指導訪問料とは?2026年度新設の背景
2026年度の調剤報酬改定で新設された「複数名薬剤管理指導訪問料」とは、行動面での運動興奮等がみられる患者に対し、薬剤師を含む複数名で訪問し、薬剤管理指導を実施したことを評価するものです。
在宅医療の普及に伴い、薬局でもさまざまな症状や背景を持つ患者へ対応する機会が増えています。
そのなかで、患者が興奮または攻撃性を示すなど、薬剤師単独の訪問では確実な服薬指導等の実施が困難なケースもありました。
こうした状況を踏まえ、複数名での訪問も評価していく目的で新設されたのが「複数名薬剤管理指導訪問料」です。
同行者は薬剤師に限らず、調剤事務スタッフなどの職員でも算定可能とされています。
そのため、薬剤師が複数名で外出するのが難しい薬局でも算定を目指せる制度となっています。
参照:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
複数名薬剤管理指導訪問料の算定要件
複数名薬剤管理指導訪問料の主な算定要件は以下のとおりです。
複数名薬剤管理指導訪問料は、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なもののうち、処方医が複数名訪問の必要性があると認めるものに対し、当該患者又はその家族等に同意を得て、当該患者の訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、 当該保険薬局または在宅協力薬局に勤務する職員(薬剤師以外の者を含む。)とともに複数名で患家を訪問し、薬学的管理指導を行った場合に300点を算定する。
複数名薬剤管理指導訪問に要した交通費は、患家の負担とします。
なお、特別調剤基本料Bを算定している保険薬局では、複数名薬剤管理指導訪問料を算定することはできません。
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
複数名薬剤管理指導訪問料の算定対象患者
複数名薬剤管理指導訪問料の対象となるのは、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なもののうち、処方医が複数名訪問の必要性があると認めるものとされています。
なお、以下のいずれかに該当している患者です。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者(単一建物診療患者が1人の場合に限る。)
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者(単一建物診療患者が1人の場合に限る。)
- 居宅療養管理指導費を算定している患者(薬局の薬剤師が行う場合に限り、単一建物居住者が1人の場合に限る。)
- 介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者(薬局の薬剤師が行う場合に限り、単一建物居住者が1人の場合に限る。)
ただし、以下に係る必要な指導等を同日に行った場合は、複数名薬剤管理指導訪問料を算定することができません。
- 在宅患者緊急時等共同指導料
- 在宅移行初期管理料
- 訪問薬剤管理医師同時指導料
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
「複数名訪問の必要性」について
複数名薬剤管理指導訪問料の算定対象となるのは、「複数名訪問の必要性」を処方医が認めた患者です。
これは、患者が興奮又は攻撃性を示すこと等により、薬剤師単独での訪問では指導の実施が担保できないおそれがある場合など、安全かつ確実な指導の実施を確保する観点から判断されることとされています。
そのため、薬剤師が訪問薬剤管理指導を行うに当たっての利便性に基づく理由によるものでは認められません。
複数名訪問の必要性については、処方医が処方箋の備考欄にて示すなど、確認できる必要があります。 また、複数名訪問が必要であると処方医が認めている理由について、薬剤師は当該患者の薬剤服用歴等に記載しておかなければなりません。
参照:調剤報酬点数表に関する事項/厚生労働省
複数名薬剤管理指導訪問料に関するレセプト摘要欄への記載事項
複数名薬剤管理指導訪問料を算定する際は、「算定の対象となる訪問指導を行った年月日」をレセプト摘要欄に記載する必要があります。
また、処方医が複数名訪問が必要であると判断した趣旨についても「処方箋の記載により確認した旨」または「疑義照会により確認した旨」として記載します。
| レセプト電算処理 システム用コード |
左記コードによるレセプト表示文言 |
| 850100610 | 訪問指導年月日(複数名薬剤管理指導訪問料) ;(元号)yy“年”mm“月”dd“日” |
| 820101937 | 処方箋記載により確認(複数名薬剤管理指導訪問料) |
| 820101938 | 疑義照会により確認(複数名薬剤管理指導訪問料) |
参照:「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について 保医発0327第2号 令和8年3月27日 /厚生労働省
在宅関連の算定項目に関する2026年度改定のポイント
2026年度(令和8年度)の調剤報酬改定では、薬局薬剤師による在宅患者訪問薬剤管理指導の推進を目的として、多くの変更が加えられました。
ここでは、複数名薬剤管理指導訪問料の新設以外に、在宅関連の改定があった主な3つのポイントについて解説します。
1)在宅患者訪問薬剤管理指導料の見直し
在宅患者訪問薬剤管理指導料は、医師の指示に基づき患者宅を訪問し、必要な薬学的管理や指導を行った場合に算定できる項目です。2026年度改定では、訪問薬剤管理指導の円滑な実施に向けて、いくつかの変更が加えられました。