調剤報酬改定の算定項目をわかりやすく解説

更新日: 2026年7月18日 薬剤師コラム編集部

【2026年改定】薬剤総合評価調整加算の算定要件をわかりやすく解説

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薬剤総合評価調整加算は、入院患者におけるポリファーマシー対策を目的とした取り組みを評価する診療報酬です。2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、施設間の薬剤情報連携の強化を中心に、評価体系の見直しが行われました。

本記事では、薬剤総合評価調整加算の算定要件や2026年度改定における変更点、さらに薬剤調整加算や薬剤総合評価調整管理料との違いについてわかりやすく解説します。

薬剤総合評価調整加算とは

薬剤総合評価調整加算は、複数の内服薬が処方されている入院患者のうち、薬物有害事象のリスクや服薬過誤、アドヒアランス低下などが懸念される場合に、薬剤の総合的な見直しを行った際に評価される加算です。

具体的には、処方内容を評価したうえで必要な薬剤調整(減薬・中止・変更など)を行い、あわせて療養上必要な指導や、転院時・退院時における医療機関や薬局との薬剤情報連携を実施した場合に算定されます。

参照:別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

2026年度の診療報酬改定における変更点

2026年度の診療報酬改定では、薬剤総合評価調整加算について、ポリファーマシー対策の継続性と薬剤情報連携の強化を目的とした見直しが行われました。

従来は、転院や退院の際の不十分な薬剤情報の共有が原因で、ポリファーマシー対策が途切れてしまうケースが課題とされていました。こうした問題を踏まえ、2026年度改定では、病院薬剤師による施設間の薬剤情報連携を強化する観点から、算定要件や評価体系が見直されています。

具体的な変更点は以下のとおりです。

①算定点数:100→160点へ引き上げ
②算定要件に「転院先・入所先・保険薬局等へ文書による情報提供」を追加
「退院時薬剤情報連携加算(60点)」を廃止し、本加算に統合

また、薬剤総合評価調整加算自体の要件の見直しだけではなく、「病棟薬剤業務実施加算1」の施設基準における実績要件の見直しも行われました。
これは、ポリファーマシー対策や施設間の薬剤情報連携、転院・退院時の服薬指導などに関する薬学的介入を適切に評価することを目的としたものです。

具体的には、病棟薬剤業務実施加算1の施設基準として、直近3か月間に薬剤総合評価調整加算を10回以上算定していることが新たに求められています。

参照:基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第7号) /厚生労働省
参照:令和8年度診療報酬改定 14. 重点的な対応が求められる分野 (医薬品適正使用) /厚生労働省

薬剤総合評価調整加算の算定要件

薬剤総合評価調整加算は、以下のいずれかに該当する入院中の患者が対象となる加算です。

対象患者の処方内容を総合的に評価したうえ、処方内容の変更を行い、療養上必要な指導および情報連携を行った場合に、退院時1回に限り所定点数に160点を加算します。


対象患者
入院前に内服を開始して4週間以上経過した内服薬が6種類以上処方されていた患者
(除外:頓服薬、服用を開始して4週間以内の薬剤)
精神病棟に入院中の患者であって、入院直前または退院1年前のいずれか遅い
時点で抗精神病薬を4種類以上内服していたもの

内服薬の種類数を計算する際は、錠剤・カプセル剤・散剤・顆粒剤・液剤について、1銘柄ごとに1種類とします。また、抗精神病薬の種類については、別紙様式36 を参考にすることとされています。

処方内容の総合調整にあたり、当該医療機関の医師および薬剤師は、薬効の類似した処方や相互作用を有する処方等について、必要に応じて互いに照会および情報提供を行うことが重要です。

参照:別表第一 医科診療報酬点数表 /厚生労働省
参照:別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

薬剤総合評価調整加算の算定に必要な指導・評価

ここからは、薬剤総合評価調整加算の算定に必要な指導・評価の具体的な内容について解説します。

本加算を算定するためには、入院時の評価から退院・転院時の情報連携まで、以下の1)~6)に沿った一連のポリファーマシー対策が必要です。

1)入院時の持参薬・慎重投与薬の確認

薬剤総合評価調整加算を算定するためには、入院時に持参薬を確認するとともに、以下に示すような関連ガイドライン等をふまえて、特に慎重な投与を要する薬剤の有無を確認します。

  • 高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)/厚生労働省
  • 高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))/厚生労働省
  • 日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)
  • 病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方/厚生労働省
  • ポリファーマシー対策の進め方/日本病院薬剤師会

2)薬剤の総合評価と処方内容の変更

持参薬の確認内容を踏まえ、患者の病状や副作用、療養上の問題点の有無について、多職種(医師・薬剤師・看護師等)で総合的な評価を行います。

評価結果に基づき、必要に応じて用量調整や副作用の被疑薬の中止、より有効性・安全性の高い代替薬への変更などを実施します。
なお、評価内容や処方変更の理由・要点については、診療録等への記載が必要です。

3)患者への説明とポリファーマシーの啓発

処方内容を変更する際には、その留意事項について多職種で共有したうえで、患者に対して処方変更に伴う注意点を説明します
あわせて、患者に対してポリファーマシーに関する一般的な啓発を行うことが求められています。

なお、ポリファーマシーとは、単に服用薬剤数が多いことではありません。それに関連して、薬物有害事象のリスク増加や服薬過誤、服薬アドヒアランス低下などの問題が生じている状態を指します。

説明にあたっては、「高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用(日本老年医学会・日本老年薬学会)」などを参考にするとよいでしょう。

4)処方変更後のフォローアップと再評価

処方変更後に行うのは、多職種による病状の悪化や新たな副作用の有無についての確認および、必要に応じた再評価です。
減薬や薬剤変更を行った後も、患者の状態を継続的に評価し、安全性と有効性を確認することが重要です。

これらの対応にあたっては、ポリファーマシー対策に関するカンファレンスを実施するほか、病棟等における日常的な薬物療法の評価・情報共有の機会も活用し、多職種で連携して対応することが求められます。

5)手順書の作成と院内周知

ポリファーマシー対策を標準化し、継続的に実施するために手順書を作成し、院内で共有・活用します

手順書の作成にあたっては、1)で示した各種ガイドライン等を参考にしながら、入院時の評価から処方変更、退院時の情報連携までの一連の流れを院内で統一しておくことが重要です。

6)退院時・転院時の情報連携

退院時または転院時には、入院前の処方変更や中止の内容、および変更後の患者状態などの情報を整理し、関係者へ適切に共有することが求められます。
情報提供文書の作成にあたっては、「薬剤管理サマリー(日本病院薬剤師会)」の様式等を参考とするとよいでしょう。

作成した情報提供文書は、患者またはその家族に交付するとともに、以下のいずれかのうち少なくとも1箇所に提供する必要があります。

  • 継続して治療等をおこなう医療機関
  • 保険薬局
  • 患者が入所する介護保険施設等
    (地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)

この「施設間での薬剤情報連携」は2026年度の診療報酬改定で新たに算定要件として追加された項目であり、薬剤総合評価調整加算の見直しにおける重要なポイントの一つです。

参照:別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

薬剤総合評価調整加算の薬剤調整加算とは

薬剤調整加算は薬剤総合評価調整加算に対する加算項目であり、薬効の重複する薬剤の整理や減薬の結果として、退院時に処方される内服薬の種類数が減少した場合に、150点が加算されます。

区分は薬剤総合評価調整加算と同様にイ・ロの2つがあります。


算定要件
薬剤総合評価調整加算のイに該当する場合であって、当該患者の退院時に処方する内服薬が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続すると見込まれる場合
薬剤総合評価調整加算のロに該当する場合であって、退院までの間に抗精神病薬の種類数が2種類以上減少した場合

薬剤総合評価調整加算は、多剤併用患者に対する処方の見直しや減薬の取り組みそのものを評価するものです。一方で薬剤調整加算は、その結果として実際に減薬が達成された場合に追加で評価される点が特徴です。

参照:別表第一 医科診療報酬点数表 /厚生労働省
参照:別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 /厚生労働省

「薬剤総合評価調整加算」と「薬剤総合評価調整管理料」の違い

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薬剤師コラム編集部

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