調剤薬局の仕事がつまらない…そう感じた薬剤師はどうすればいい?


薬剤師として調剤薬局で働くことは、患者さんの健康を支え、地域医療に貢献する実感を得られるやりがいのある仕事です。しかし、日々の業務に慣れてくると「つまらない」と感じてしまう薬剤師も少なくありません。
ここでは、調剤薬局で働く薬剤師が仕事にマンネリを感じたり、モチベーションを失ってしまったりする理由を確認します。また、そんなときにモチベーションをどうやってアップするかについても紹介していきます。
やりがいを感じながら、毎日イキイキと働くためのヒントにしてください。
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調剤薬局の仕事を薬剤師がつまらないと思う理由

医療の専門職であり、患者さんから「ありがとう」の言葉をもらえることもあるのに、調剤薬局で働く薬剤師が仕事を「つまらない」と思ってしまうのはなぜなのでしょうか。
その理由にはさまざまな側面がありますが、ここから6つに分けて解説します。
1. 仕事がルーティンワーク
調剤薬局の業務では、患者さんの処方箋を受け取り、調剤を行い、服薬指導をして、薬歴入力をする、というサイクルが繰り返されます。基本的に同じ流れで業務が進むため、しだいに「ただこなすだけ」の作業と感じてしまうことがあります。
一方で、薬の調合ミスが許されない職種であるため、ルーティンワークといえども気を抜くことはできません。このような作業の繰り返しによって、想像以上に疲れが蓄積することがあります。このルーティンワークによるマンネリ感は、薬剤師が仕事をつまらないと感じる大きな要因です。
2. 職場の人間関係が狭い
調剤薬局は、特定の病院の門前も多く、小規模な職場が多くなっています。スタッフの数も限られているため、職場の人間関係が固定化されやすいといえます。人間関係が良好であれば問題ないですが、合わない人がいたり、意見の衝突が多かったりすると、ストレスが蓄積していきます。人間関係がこじれても逃げ場がないため、毎日の仕事が苦痛となり、つまらなく感じる原因となります。
3. スキルアップが望めない
調剤薬局での業務は、調剤や服薬指導が中心です。持ち込まれる処方箋は薬局の近くの病院が中心となるため、扱う薬も限られてきます。
そのため、特定の調剤薬局でのキャリアが長くなるほど「新しいスキルを身につける機会が少ない」「自分の成長が止まっている」と感じやすくなります。
特に、スキルアップや自己成長への思いが強い薬剤師にとっては、同じ業務の繰り返しは不満の種となり、もの足りなさを感じることになるでしょう。
4. 昇進や給与アップの可能性がない
調剤薬局の管理職は、管理薬剤師や店長くらいで、一般企業のようにたくさんのポストはありません。そのため、昇進のチャンスや給与アップが見込めないケースが多くなっています。
このまま長く働いても昇進や給与アップに期待が持てない環境では、モチベーションを持続するのが難しくなることもあるでしょう。薬剤師として成長し、昇進を目指していきたい薬剤師にとって、先が見えない環境は「つまらない」と感じる原因になってしまいます。
5. 接客が「うざい」と感じることも
調剤薬局では、患者さんに服薬指導をしたり、患者さんの不安を聞き取って対応したりといった接客業務が大きな割合を占めています。
人と接することが好きな人にとってはやりがいのある仕事ですが、中には人と接するのが苦手で、接客にストレスを感じる薬剤師もいます。
また、患者さんからの理不尽なクレームを受けたり、何度も同じ質問を繰り返されたりすることは大きなストレスとなります。そのように対応が難しい患者さんに対して「うざい」と感じることもあるでしょう。
【薬剤師のホンネ】調剤薬局の仕事がつまらないと思ったとき

薬キャリでは、現役薬剤師に給与についてアンケートを実施しました。その際に寄せられた、調剤薬局の仕事を「つまらない」と感じてしまうホンネのコメントをご紹介します。
薬剤師アンケートのコメント
給与は低く退職金もありませんが家庭の事情により自宅近くの勤務を希望したため現在の職場に勤めています。(60代) |
病院の門前のため、午後からは処方箋少なく、給料安い。(60代) |
勤務時間も少ないし処方箋枚数も少ないので、地方ではこんなものかな、と思ってます。(60代) |
仕事の割に給料はいいが、やりがいはない。(50代) |
とにかく拘束時間が長く、休みが取れない。研修や資格等の負担はお金を含めて、すべて自分持ち。一切資格について給与面などでも考慮はしてくれない。(50代) |
業界的に、仕事のスキルより、働ける時間帯が長い、夜も遅くまで仕事ができる事を重視され、給料がそれにより決まる。子供が小さいから働ける時間帯が限られる中、正社員で働ける職場を探すと、年収が20年前より低い。もう少し、スキルを評価してもらえると、ありがたい。(40代) |
仕事終わるのが遅くてだらだら仕事する人が残業代稼いでいるのには納得いかない。(40代) |
どんなに頑張って資格とっても、給与には影響しないから、頑張る意欲もなくなる。(40代) |
資格を取っても、かかりつけ薬剤師の件数を稼いでも給料に反映されないのでモチベーションが保てない。(40代) |
評価制ではないので、仕事が出来ない人との差が出ないことが不満。そのために、仕事ができる若手が辞めていく。(40代) |
地域支援体制加算のための研修会等参加しているので、その分を加味した賞与になってほしい。(40代) |
頑張っても頑張らなくても給与に差が出にくい環境のため、モチベーションの維持が難しく感じる。(30代) |
個人で生み出している利益額の割には少なく不満。(30代) |
賞与が低いのでモチベーションが上がらない為、転職を考えている。待遇も決まったルールがあるのかどうなのかも中途ではわからない。地元では比較的規模のある会社なのに細かいところが等閑になっている。(30代) |
2024年7月実施薬剤師コラムアンケートより抜粋
やはり、がんばったり資格を取ったりしても給与に反映しないことに不満を感じる人が多いようです。
調剤薬局の仕事がつまらないと思ったときの対処法

ここまでは調剤薬局での仕事をつまらないと思う理由について見てきました。
しかし、毎日仕事は続きます。そのような気持ちになったときにはどう対処すればいいのでしょうか。
1. 自分が何に不満を持っているのかを特定する
仕事がつまらないと感じたときは、まず、自分が何に対して不満を感じているのかを明確にすることが大切です。ルーティン作業に飽きてきた、スキルアップするチャンスがない、人間関係のトラブルなど、不満の原因になっていることがあるはずです。
ただ漠然と「つまらない」と感じるのではなく、いまの仕事のどんな点に不満を感じているのかを特定することで、その問題をどう解決すべきかが見えてきます。
2. 自分が感じる不満はどうすれば解決するかを考える
不満の原因がわかったら、それを解消するための方法を具体的に考えてみましょう。
たとえば、ルーティンワークに不満を感じている場合は、作業手順を少し変えてみたり、タイムマネジメントを工夫してみたりすることで、改善の余地や効率化のポイントを探ってみる。患者さんのタイプに合わせて服薬指導のパターンを変えてみる。
人間関係に不満がある場合は、不満を感じている原因が相手の言動や態度、職場全体の雰囲気なのか、自分の受け取り方や感情的な反応からくるものなのかを考えると、問題を違った角度から捉えることができます。
また、職場の人間関係で不満が生じる理由のひとつに「期待しすぎ」が挙げられます。相手に多くを期待してしまう場合は、自分の期待を調整し、過度の期待をしないように意識することで気持ちが楽になることもあります。
人間関係については、適度な距離感を保ち、うまく割り切っていくことが有効な場合もあるかもしれません。
3. 休みをとってリフレッシュする
仕事に対して不満を感じたときは、仕事のなかで対応していくことが基本ですが、一方で仕事を離れてみることも有効です。
マンネリ感が強い場合は、短期間でも仕事から離れてリフレッシュすることを検討してみましょう。休暇をとって、趣味に打ち込んだり旅行に行ったりしてリラックスする時間を持つことは大切です。
楽しい時間をすごしてリフレッシュした状態でルーティンに戻ると、また新しい気持ちで仕事に向き合えるかもしれません。
4. 信頼できる人に相談する
職場の悩みや不満を抱えたままでいるのではなく、信頼できる同僚や友人、上司に相談してみることも有効な方法です。人に相談することで、自分の悩みに対する新しい見方やアドバイスを得られるかもしれません。
仕事を「つまらない」と感じることは、多かれ少なかれ他の薬剤師も経験しています。心のうちを相談してみれば、「自分はこうやって乗り越えた」「こう考えて割り切ることにした」というエピソードを聞けるかもしれません。他の人の経験や視点を参考にすることで、モチベーションを取り戻すヒントが見つかることもあります。
5. ほかの仕事と比較してみる
自分の仕事がつまらないと感じる場合、他の職業や職場と比較してみるのもよい方法です。
薬剤師の職場としては、他に病院やドラッグストアがありますが、病院は仕事がハードで、ドラッグストアでは調剤以外の業務の割合が高くなります。
また、一般企業で働くと、仕事はハードなのに給与は低いということがよくあるのが現実です。
このように他の仕事と比べてみることで、現在の職場のよさを再認識できることがあります。逆に、自分が進むべき違うルートが見えてくるかもしれません。
自分の置かれている状況を客観的に見つめ直すよいきっかけとなるでしょう。
6. 転職を考える
このように、いまの職場で働きながら改善策にトライしても、どうしても現在の職場でのやりがいを見つけられない場合は、転職を考えてもよいでしょう。
その場合は、いま感じている不満をどうすれば解消できるかを基準にすると、満足できる転職先を判断しやすくなります。
仕事の内容は気に入っているが人間関係が息苦しい場合は、店舗間の異動があるチェーンの調剤薬局に転職する。仕事そのものがマンネリに感じられる場合は、医療現場で刺激を受けながらスキルアップできる病院をターゲットにする。
このように、転職を考える際には、自分が本当に望むキャリアや仕事に求める条件を明確にすることをおすすめします。
調剤薬局の薬剤師がやりがいを感じるのはどんなとき?

「つまらない」と感じてしまうこともある調剤薬局の仕事ですが、一方でやりがいを感じるときも数多くあります。ここからは実際の薬剤師がやりがいを感じる場面を紹介します。
1. 患者さんに感謝されたとき
薬剤師が調剤薬局で働くうえで一番やりがいを感じるのは、やはり患者さんから感謝の言葉をもらえたときでしょう。患者さんに合わせた服薬指導をしたことで健康状態が改善されたり、薬をきちんと服用できたと報告を受けたりすることは、仕事をがんばるモチベーションにつながります。「ありがとう」の一言が、薬剤師にとって何よりも価値のある報酬となるのです。
2. スキルアップを感じたとき
まじめで勉強家が多い薬剤師にとっては、薬剤師としての知識やスキルが向上したと実感できるときも、やりがいを感じる瞬間です。特に、難しい症例に対して適切なアドバイスができたり、医師との連携がうまくいったりしたときは、自分の成長を実感しやすいでしょう。日々の業務の中で知識を深め、スキルアップできていることを感じると、仕事のおもしろさも増します。
3. 店舗運営のおもしろさを感じたとき
調剤薬局で働く薬剤師は、昇進すると、調剤業務や服薬指導だけでなく、在庫管理や店舗運営に関わることもあります。小さな薬局ではマネジメントについて考える時間も増えるでしょう。
店舗全体の業務を効率化したり、患者さんのニーズに合わせたサービスを提供したりすることで売り上げが伸びれば、店舗運営の醍醐味を感じることができます。薬剤師の本業である調剤業務とはまた違う、組織としての成長や改善に貢献できる実感がやりがいとなるかもしれません。

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まとめ

調剤薬局で働くなかでは、やりがいやおもしろさを感じる瞬間がある一方で、ルーティンワークの多さや人間関係の固定化、スキルアップの機会が少ないなどの理由で「つまらない」と感じてしまうこともあるでしょう。
仕事がつまらないと感じたときには、不満の原因を特定し、適切な対処法を試みることが大切です。また、他の職場に目を向けて、転職を視野に入れることで、自分に合ったキャリアを見つけるきっかけとなるかもしれません。
薬剤師としてのキャリアに悩んだときには、自分にとってのやりがいを再確認し、将来に向けて自分に合った働き方を考えてみてはいかがでしょうか。
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