改定の全体像と「調剤基本料」「調剤料」のポイント3

改定比率維持、外枠扱いは見送り
2020年度の診療報酬は2019年暮れの財務・厚労の大臣折衝で技術料などの本体がプラス0.47%、医師の働き方改革の対応分としてプラス0.08%、合計でプラス0.55%となることが決まりました。一方、薬価は、通常の引き下げ分と制度改革の効果を合わせてマイナス1.01%で、全体(ネット)の改定率はマイナス0.46%です。
本体引き上げ部分の改定比率は医科、歯科、調剤1:1:0.3が維持されました。調剤報酬では2016年、2018年度改定で大型門前薬局などの評価の引き下げを「外枠」として改定率に含めない措置を採りましたが、今回は見送られました。
診療報酬改定や薬機法改正議論の中で医薬分業に対する厳しい意見が相次ぎ、調剤報酬への影響が懸念されていましたが、結果として大幅な変更には至らず、関係者の間では安堵感が広がっています。しかし、表面に現れた点数以上に「かかりつけ化」や「対物から対人業務へのシフト」、「医療機関との連携」など業務内容の変革を促すものとなっており、次回改定に向けたメッセージと受け止められます。事実、厚労省関係者は「調剤料に依存し、近隣医療機関の処方箋を応需するだけの薬局に未来はない」と断言しています。
2019年に公布された改正薬機法では薬局の定義について「調剤を行う場所」に加え、「薬学的知見に基づく指導を行う場所」との文言を挿入、改正薬剤師法では薬剤師業務について「投薬後の薬学的知見に基づく指導」が規定されました。今回の調剤報酬改定もまさにそうした方向と軌を一にするものであることに注目する必要があります。
調剤基本料 かかりつけ薬局、多職種連携がキーワード!
改定のポイント1:診療所門前、敷地内薬局の基本料適正化
調剤基本料は、「特別調剤基本料」以外は点数を据え置き、「基本料2」で診療所門前薬局を念頭に「受付回数1800回超~2000回以下、集中率95%超」、「基本料3‐イ」に「同一グループで3万5000回超~4万回以下・集中率95%超」を追加しました。「特別調剤基本料」は診療所敷地内にも適用、集中率を95%超から70%超に拡大し、点数も11点から9点に引き下げました。
複数の医療機関の処方箋を同時に受け付けた場合、2回目以降の処方箋に係る調剤基本料の20%減算が新設されました。かかりつけ薬局を普及させる狙いからです。ただ、調剤基本料の要件は一層複雑化してきたことは否めず、今後の課題となりそうです。