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藤田氏が解説!2020年度調剤報酬改定のポイント・まとめ

更新日: 2020年3月22日 藤田 道男

薬学管理料は5つのポイントをチェック

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2020年度調剤報酬改定では調剤基本料や調剤料の評価の見直しと合理化を図る一方、薬学管理料におけるかかりつけ化の推進、医療機関との連携などを重視する項目が新設されました。

(参考)厚生労働省【令和2年度診療報酬改定について】 

 これらの項目は処方箋応需に伴って機械的に算定できるものではなく、薬剤師の積極的な取り組み如何に関わってきます。ポリファーマシーや残薬対応、処方提案等は患者・国民が薬局・薬剤師に最も期待する機能であり、積極的に取り組む中でエビデンスを構築し、実績を示していくことが必要です。

薬剤服用歴管理指導料(薬歴管理料):患者にお薬手帳を持参させる取り組みが必要!

改定のポイント1:3月以内再来局&手帳持参の算定がアップ

薬剤服用歴管理指導料

薬剤服用歴管理指導料は、再来局期間を6月以内から3月以内に短縮し、対象を基本料1以外の薬局にも拡大しました。現行では「6月以内・手帳あり」が41点でしたが、20年度改定では「3月以内・手帳あり」を43点。それ以外の「6月以内・手帳なし」「6月以上」53点を「3月以内・手帳なし」「3月以上」57点に改めました。
両者の点数差を2点から4点に拡大したことで手帳持参率を高める狙いがあります。基本料1と基本料1以外の薬局の区分を解消したことで患者からは分かりやすくなりました。
薬機法改正で解禁されたオンライン服薬指導も「薬歴管理料4」として新設されました。月1回43点です。オンライン診療で処方箋が交付された患者が対象で、薬歴管理料の加算は算定できません。また、訪問医の診察を受けた患者を対象とした「在宅患者オンライン服薬指導」とは対面診療とオンライン診療時の対応が異なっていることに注意が必要です。
手帳の活用を一層促すために算定要件に2つの項目が追加されました。1つは患者の同意を得て、残薬に関する情報を手帳に記載し、処方医に情報提供すること、2つ目は患者自身に普段利用する薬局名を記載するよう促すものです。

要件など
薬剤服用歴管理指導料
・3月以内再来局手帳あり

41

43

6月以内を3月以内に短縮、基本料1以外の薬局も適用
・それ以外 53 57
・特養入所者 41 43
・オンライン服薬指導 43 新設(月1回)

改定のポイント2: がん、喘息、糖尿病の患者に対する指導が加算

特定薬剤管理指導加算2(薬歴管理料・新設)

がん患者に対して薬局が患者のレジメン等を把握したうえで必要な服薬指導を行い、次回診療時までの患者の状態を把握し、医療機関に情報提供した場合に100点(月1回)算定できるものです。投薬後のフォローと医療機関との連携が要件であり、2020年度改定を象徴する点数といえます。現行でも「特定薬剤管理指導加算」がありますが、これはハイリスク薬に相当する疾患が対象です。新点数では薬局は予め医療機関のホームページなどでレジメンを閲覧し、必要な情報を把握しておく必要があります。

吸入薬指導加算(薬歴管理料・新設)

喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者について、患者や医師の求めに応じて、吸入薬の使用方法を文書のほか練習吸入器を使って実技指導をこないその内容を医療機関に提供した場合、30点(3月に1回まで)が算定できます。
厚労省が中医協に示したデータによると、薬局の90%以上が「吸入薬の指導を行っている」と答えており、ほとんどが文書のみでなくデモ機を使って指導していることが分かっています。新点数の中では算定しやすい項目といえます。

調剤後薬剤管理指導加算(薬歴管理料・新設)

地域支援体制加算を算定している薬局がインスリン製剤またはスルホニルウレア剤を使用している糖尿病患者に対し、患者や医師の求めに応じて調剤後も患者の状況を把握し、必要な指導を行い、文書等で医療機関に提供した場合30点(月1回)が算定できます。
地域支援体制加算を算定できる薬局のみが対象となっている理由は不明ですが、これも改正薬機法や改正薬剤師法の規定に沿った象徴的な新設項目といえます。

要件など
特定薬剤管理指導加算
・特定薬剤管理指導加算1
・特定薬剤管理指導加算2

10

10
100


新設(月1回)抗がん剤の薬学的管理・指導
・吸入指導加算 30 新設(3カ月に1回)喘息等の吸引指導
・調剤後薬剤管理指導加算 30 新設(月1回)糖尿病薬の薬学的管理・指導

かかりつけ薬剤師指導料・同包括管理料:プライバシー重視の要件が追加

改定のポイント3:かかりつけ薬剤師の施設基準を追加

かかりつけ薬剤師指導料・同包括管理料

かかりつけ薬剤師指導料は3点増の76点、同管理料は10点増の291点となりました。施設基準で患者のプライバシー保護の観点からパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有することが追加されました。

要件など
かかりつけ薬剤師指導料
同包括管理料
73
281
76
291
施設基準追加=パーテーションで区切るなど
独立したカウンターでプライバシー保護

▼服用薬剤調整支援料:むだな薬を減らす取り組みへの評価が新設

改定のポイント4:残薬、重複など減薬への貢献で加点

服薬情報提供料1

分割調剤時の服薬情報提供料の取り扱いが変更になりました。現行では、分割回数で割った点数しか算定できない医師の指示による分割調剤において、服薬情報等提供料は、通常の点数(30点)が算定できるようになりました。その場合、残薬の有無、残薬がある場合はその量、理由、副作用の有無、推定される副作用原因薬剤なども情報提供することとされました。

服用薬剤調整支援料2(新設)

服用薬剤調整支援料2の新設に伴い、現行の項目は、服用薬剤調整支援料1に名称変更されました。支援料1の算定要件は「6種類以上の内服薬が処方されている患者」ですが、新設された支援料2は「複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方されている患者」が対象です。いずれもポリファーマシー対応ですが、支援料1は減薬対応、支援料2は重複投薬解消です。同じような趣旨の重複投薬・相互作用等防止加算と紛らわしいですが、これは「処方医への疑義照会」、支援料2は「患者や家族の求めに応じて」となっている点が異なります。

要件など
服用薬剤調整支援料
・服用薬剤調整支援料1
・服用薬剤調整支援料2

125

125
100

6種類以上の内服薬処方、医師に減薬を提案
新設(3カ月に1回)
複数の医療機関から6種類以上の処方に重複薬調整提案

経管投薬支援料(新設)

経管投薬が行われている患者が簡易縣濁法を開始する場合に、患者や家族、医師の求めに応じて薬局が必要な支援を行った場合に100点(初回のみ)が算定できます。簡易縣濁法とは錠剤やカプセル剤を粉砕、開封せずに投与時にお湯(約55℃)に入れて崩壊、縣濁を待ち経管投与する方法です。このケースでも医療機関と薬局との綿密な連携体制が必要になります。

要件など
経管投薬支援料 100 新設(初回のみ)

在宅患者訪問薬剤管理指導料:オンライン服薬指導が新設

改定のポイント5: 訪問診療の患者に限り算定条件に

在宅患者訪問薬剤管理指導料

現行の「単一建物診療患者が1人の場合」「単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合」
「1及び2以外の場合」に加え、「在宅患者オンライン服薬指導料」(57点)が新設されました。薬歴管理料のオンライン服薬指導料と同様、対面服薬指導の例外規定に基づくものです。この場合、訪問診療を受けた患者であり、オンライン診療の患者ではないことに留意する必要があります。また対面とオンライン服薬指導を組み合わせる必要があり、月2回訪問していた場合は、1回は対面で、1回はオンラインでという方法を採ることになります。

要件など
在宅患者訪問薬剤管理指導料
・オンライン服薬指導

57

新設(月1回)
在宅緊急訪問薬剤管理指導料1
在宅緊急訪問薬剤管理指導料2
500 500
200

新設(1以外)

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藤田 道男
ふじた みちお

中央大学法学部卒。医薬関係の出版社、(株)じほう編集局に勤務し、各種媒体の編集長を歴任。退職後フリーの医薬ジャーナリストとして取材・執筆、講演活動を行う。
2010年、薬局薬剤師の教育研修のために一般社団法人「次世代薬局研究会2025」を立ち上げ、代表を務める。
主な著書は『2025年の薬局・薬剤師 未来を拓く20の提言』『かかりつけ薬局50選』『残る薬剤師 消える薬剤師』など多数。

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