慢性腎臓病(CKD)患者の薬物療法ガイド。なんでもない処方箋を理解しよう!

更新日: 2025年5月8日 穴田 わかな

薬剤師向け!インスリンなどで重度腎機能障害患者が使える血糖降下薬は?

薬剤師向け!インスリンなどで重度腎機能障害患者が使える血糖降下薬は?のメイン画像

今回来局したのは糖尿病患者さんのご家族です。認知症があり腎機能もかなり下がっていますが、家族が薬を管理するようになってからHbA1cは徐々に改善しています。

今日は医師からご家族へ「低血糖に気をつけましょう」と言われましたが、ご家族は「まだ血糖値も高いし」とあまり真剣に捉えてない様子。新人薬剤師のAさんは、認知症の患者さんが低血糖に備える方法がわからずに困っています…。今回は低血糖についてさまざまな角度から学びましょう。

患者さんのデータ

プロフィール

75歳女性、1か月に1回、内科の外来処方せんを持って来局。併用薬なし。

糖尿病歴30年以上。認知症が進行してきたため、通院や服薬は1年前から家族が手伝うようになった。服薬アドヒアランスが改善して、HbA1cは少しずつよくなってきている。

今回は医師から低血糖に気をつけることと、次回も検査値が同じくらいなら薬を減らそうと言われた。

現在の検査値

身長 159cm、体重 70kg
① 診察時血圧130/80 mmHg
② HbA1c 7.3%
③ SCr 1.2 mg/dL (eGFR 34mL/min/1.72m2)
④ 尿蛋白(-)

処方内容

  • メトホルミン錠MT250mg 2T 2×朝夕食後 28日分
  • トラゼンタ錠5mg 1×朝食後 28日分
  • グリメピリド錠0.5mg 1×朝食後 28日分
  • ソリフェナシンコハク酸塩錠 5mg 1×夕食後 28日分
  • ドネペジル塩酸塩錠10mg 1×朝食後 28日分

患者さん家族の訴え

「先生から低血糖に気をつけるように言われたけど、まだ血糖値も高いみたいだし、おやつもあるだけ食べちゃうから大丈夫ですよね。本人に飴とか持たせたらすぐ食べてしまうし…。」

新人薬剤師の疑問

認知症の患者さんに低血糖に備えてもらうにはどうしたらいいでしょうか。

先輩薬剤師の回答

ご本人だけでなく、ご家族や介護者へ低血糖について指導しましょう。

病院受診や旅行、体調不良などで食事の間隔が空いたり、食事量が減ったりすると、普段の血糖値が高くても低血糖を起こすことがあります。

認知症が進行するにつれて、食事や服薬の管理、低血糖が起きた時の対処が、段々とできなくなります。この場合、ご家族や介護者などの周りの方に低血糖が起きないよう協力してもらうことと、低血糖が起きた時の対処法を説明することが大切です。

患者さんのご家族へは、「普段の血糖値が高くても、低血糖を起こす可能性はあります。低血糖症状があっても伝えられなかったり、対処できなかったりすることを想定して、周りの方が協力して環境を整えることが大切です」と切り出しましょう。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

穴田 わかなの画像

穴田 わかな
あなだ わかな

保険薬局薬剤師として約20年間、さまざまな現場を経験。2022年に「腎臓病療養指導士」を取得。現在は株式会社ナカジマ薬局(https://www.nakajima-phar.co.jp/)の在宅部門とDI・学術チームに所属。在宅医療の現場で多職種と連携し、患者様の穏やかな日常を守るために奮闘しています。

慢性腎臓病(CKD)患者の薬物療法ガイド。なんでもない処方箋を理解しよう!

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット ライフ・雑学 年収・待遇 医療クイズ 転職 ebm 感染症対策