薬剤師向け!インスリンなどで重度腎機能障害患者が使える血糖降下薬は?

今回来局したのは糖尿病患者さんのご家族です。認知症があり腎機能もかなり下がっていますが、家族が薬を管理するようになってからHbA1cは徐々に改善しています。
今日は医師からご家族へ「低血糖に気をつけましょう」と言われましたが、ご家族は「まだ血糖値も高いし」とあまり真剣に捉えてない様子。新人薬剤師のAさんは、認知症の患者さんが低血糖に備える方法がわからずに困っています…。今回は低血糖についてさまざまな角度から学びましょう。
患者さんのデータ
プロフィール
75歳女性、1か月に1回、内科の外来処方せんを持って来局。併用薬なし。
糖尿病歴30年以上。認知症が進行してきたため、通院や服薬は1年前から家族が手伝うようになった。服薬アドヒアランスが改善して、HbA1cは少しずつよくなってきている。
今回は医師から低血糖に気をつけることと、次回も検査値が同じくらいなら薬を減らそうと言われた。
現在の検査値
身長 159cm、体重 70kg
① 診察時血圧130/80 mmHg
② HbA1c 7.3%
③ SCr 1.2 mg/dL (eGFR 34mL/min/1.72m2)
④ 尿蛋白(-)
処方内容
- メトホルミン錠MT250mg 2T 2×朝夕食後 28日分
- トラゼンタ錠5mg 1×朝食後 28日分
- グリメピリド錠0.5mg 1×朝食後 28日分
- ソリフェナシンコハク酸塩錠 5mg 1×夕食後 28日分
- ドネペジル塩酸塩錠10mg 1×朝食後 28日分
患者さん家族の訴え
「先生から低血糖に気をつけるように言われたけど、まだ血糖値も高いみたいだし、おやつもあるだけ食べちゃうから大丈夫ですよね。本人に飴とか持たせたらすぐ食べてしまうし…。」
新人薬剤師の疑問
- 認知症の患者さんに低血糖に備えてもらうにはどうしたらいいでしょうか。
先輩薬剤師の回答
- ご本人だけでなく、ご家族や介護者へ低血糖について指導しましょう。
病院受診や旅行、体調不良などで食事の間隔が空いたり、食事量が減ったりすると、普段の血糖値が高くても低血糖を起こすことがあります。
認知症が進行するにつれて、食事や服薬の管理、低血糖が起きた時の対処が、段々とできなくなります。この場合、ご家族や介護者などの周りの方に低血糖が起きないよう協力してもらうことと、低血糖が起きた時の対処法を説明することが大切です。
患者さんのご家族へは、「普段の血糖値が高くても、低血糖を起こす可能性はあります。低血糖症状があっても伝えられなかったり、対処できなかったりすることを想定して、周りの方が協力して環境を整えることが大切です」と切り出しましょう。