慢性腎臓病(CKD)患者の薬物療法ガイド。なんでもない処方箋を理解しよう!

更新日: 2025年7月17日 穴田 わかな

3分で解決!OTC医薬品のNSAIDsを病歴不明の患者さんに販売してOK?

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今回来局したのは、市販の解熱鎮痛剤を買いに来たお客様です。常備薬の痛み止めがなくなったので補充したいとのことですが、薬剤師1年目のAさんは、販売して良いのか判断できずに困っています。今回は市販のNSAIDsと腎機能の関係や検査値が分からない場合の腎機能の推測について学びましょう。

患者さんのデータ

プロフィール

30歳女性。家族の常備薬にしている、市販の解熱鎮痛剤(イブプロフェン)がなくなったので来局。ロキソプロフェンも購入してみたいと、薬剤師が相談を受けました。購入した薬は家族の常備薬となります。義父(62歳)以外は健康診断で異常なしとのことで、義父のお薬手帳を念のため持ってきています。

家族構成

30歳女性(購入者):併用薬なし、妊娠・出産なし、痛み止めは月に1~2回飲む程度。
30歳男性(購入者の夫):併用薬なし、痛み止めはめったに飲まない。
62歳男性(購入者の義父):薬や通院は本人が管理。今は帯状疱疹後の痛みがある。

義父のお薬手帳の処方内容

  • サクビトリルバルサルタン錠100 mg 2T 2×朝夕食後 28日分
  • フェブキソスタット錠40 mg 1T 1×朝食後 28日分
  • アゾセミド錠30 mg 1T 1×朝食後 28日分
  • カルベジロール錠2.5 mg 2T 2×朝夕食後 28日分
  • バラシクロビル錠500 mg 4T 2×朝夕食後 7日分
  • アセトアミノフェン錠200 mg 6T 3×毎食後 7日分

患者さんの家族の訴え

「お義父さんが2週間前に帯状疱疹になりました。見た目では治ったように見えますが、まだ痛むと言います。とりあえず家に常備している痛み止めを飲むと、痛みがなくなるようです。ロキソプロフェンならすごく効きそうなので購入したいのですが、薬の飲み合わせは大丈夫でしょうか。お義父さんの持病はよくわかりません」

新人薬剤師の疑問

1、検査値も持病の疾患名もわからないので、市販薬を服用して良いか判断がつきません。

先輩薬剤師の回答

1、服用している薬剤から慢性腎臓病などの疾患を推測できることもあります。

市販の「ロキソプロフェン」を「服用してはいけない」条件は複数ありますが、今回はそのうちの1つである慢性腎臓病(CKD)に焦点を当てて解説します。

「CKDかどうか」を薬剤師が処方内容から判断するには、
①腎機能低下に応じた減量がされているか
②CKDで使用されがちな薬剤があるか
③CKDに関連する適応症がありそうか
を考えればある程度は推定可能です。

「お薬手帳の処方内容」を見てみましょう。

まず、①腎機能低下に応じた減量、について、この処方では「バラシクロビル」の用量が減量されています。抗ウイルス薬や抗生物質(表1参照)など、「血中濃度が一定以上となることが必要+腎排泄型」の薬剤があえて減量されている場合はCKD(慢性腎臓病)の可能性も考えられます。

②CKDで使用されがちな薬剤、については少し難易度が高くなります。今回の処方では、フェブキソスタット(腎機能低下により尿酸の排泄が低下し、高尿酸血症となりやすい)が対象となりそうですが、これだけではCKDを疑う理由としては弱いです。

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穴田 わかな
あなだ わかな

保険薬局薬剤師として約20年間、さまざまな現場を経験。2022年に「腎臓病療養指導士」を取得。現在は株式会社ナカジマ薬局(https://www.nakajima-phar.co.jp/)の在宅部門とDI・学術チームに所属。在宅医療の現場で多職種と連携し、患者様の穏やかな日常を守るために奮闘しています。

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