「モイゼルト軟膏を使用する小児の母親の二次曝露」について専門医が回答
処方箋や投薬に関する薬剤師の疑問のうち、疑義照会で解決しづらいものについて、m3.com医師会員<エキスパート>からの回答を掲載します。
Q. モイゼルト軟膏を使用する小児の母親の二次曝露について
モイゼルト軟膏については、妊娠する可能性のある女性に対して、一定期間の避妊の必要性や授乳の継続/中止の検討について添付文書で示されていると理解しています。 ただ、自身で塗布できない年齢の小児に対しては、母親が代わりに塗布するケースも多いかと思います。 このような場合、子供に塗布してあげる程度の曝露であれば問題ないのか、また塗布後に手洗いを行えば心配ないのか、その判断基準はございますか。 また、日常的なスキンシップでも塗布部位に触れる可能性もあるかと思いますが、その場合どの程度の注意をすべきかについてご教示いただけますと幸いです。 40代/薬局勤務
7名の「産婦人科」「皮膚科」医師の回答を紹介します。
医師回答のまとめ
小児への塗布による保護者の曝露量は、治療目的で継続使用する場合と比べてごく少ないと考えられます。塗布後に手洗いを行えば、通常は問題ありません。日常的なスキンシップについても、過度に心配する必要はないでしょう。
産婦人科先生の回答
通常の用法・用量(患部に適量を1日2回)で使用する場合、塗布時に母親の手や皮膚に付着する薬剤の量はごくわずかです。塗布後すぐに石鹸で手洗い(または患部を清拭)すれば、経皮吸収や口腔内摂取のリスクはさらに大幅に低下すると考えられます。
日常的なスキンシップ(抱っこ、触れるなど)でも、塗布部位が完全に乾いた後であれば、残留薬剤の移行はごくわずかです。軟膏基剤(ワセリンなど)の性質上、完全に乾く・吸収されるまで時間がかかる可能性がありますが、通常の生活レベルの接触では臨床的に問題となる全身曝露には至りにくいと推定されます。
判断基準の目安は、手洗い・清拭の徹底、これが最も実用的で効果的な対策です。塗布直後は特に注意して下さい。曝露量の比較ですが、本人使用時の「治療用塗布量」と比べ、二次曝露は数百分の1以下のオーダーになると考えられます。リスクが高いケースは、大量塗布、密封療法、広範囲・びらん部使用、または母親自身が頻繁に患部を触る場合です。こうしたケースでは医師に相談していただければ幸いです。
60代/有床診療所/産婦人科
久保 隆彦先生の回答
そのような対応についてのエビデンスはないと思います。心配なら使い捨て手袋で塗布することをすすめてみてはどうでしょうか。日常的なスキンシップでの曝露は過剰に心配することはないと思います。皮膚からの吸収は皮膚の状態に影響されるので、アトピーなど皮膚が荒れている場合は使い捨て手袋の使用もすすめられます。
70代/有床診療所/産科