「乾癬治療でのバイオ製剤の選択基準」について皮膚科・整形外科医が回答
処方箋や投薬に関する薬剤師の疑問のうち、疑義照会で解決しづらいものについて、m3.com医師会員<エキスパート>からの回答を掲載します。
Q. 乾癬治療におけるバイオ製剤の選択基準は?
乾癬治療において、バイオ製剤を選択する際の基準や使い分けの考え方があればご教示いただけますと幸いです。
50代/病院・診療所勤務
4名の「皮膚科」「整形外科」医師の回答を紹介します。
医師回答のまとめ
乾癬治療における生物学的製剤は、皮疹の重症度や部位、関節症状、合併症、感染リスク、効果発現速度、長期維持性、投与間隔、患者の希望などを総合的に考慮して選択します。皮膚科や関連診療科が適切に連携し、個々の患者に適した薬剤を検討することも重視しています。
谷口 彰治先生の回答
乾癬に対するバイオ製剤は現在、IL-17阻害薬、IL-23阻害薬、TNF-α阻害薬が使用可能ですが、近年は有効性・安全性の観点からIL-17阻害薬またはIL-23阻害薬が第一選択となることが多いです。
実臨床では、病変部位や効果発現の速さ、長期的な治療効果、合併症などを総合的に判断して薬剤を選択します。
例えば、速やかな皮疹改善が必要な場合や爪乾癬・頭部乾癬の場合はIL-17阻害薬、長期寛解・投与回数を減らしたい場合やカンジダ感染を繰り返す場合、高齢者・感染リスクが気になる場合はIL-23阻害薬が選択肢となります。また、関節症性乾癬が主体なら、IL-17阻害薬やTNF阻害薬、炎症性腸疾患合併ならIL-23阻害薬やTNF阻害薬を選択することがあります。
IL-23阻害薬はバイオシミラーが登場し、薬価面でも使いやすくなりました。
このように、病変部位(皮膚・爪・関節)、効果発現速度、長期維持性、合併症(特に炎症性腸疾患や反復性カンジダ症)、投与間隔や患者の希望を総合的に考慮して薬剤を選択することが、現在の乾癬診療における基本的なアプローチとなっています。
60代/無床診療所/皮膚科
戸田 壮一郎先生の回答
「乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年)」では、①紫外線療法を含む既存の全身療法で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者、および②既存治療抵抗性の難治性皮疹または関節症状を有し、生活の質(QOL)が高度に障害されている患者
が生物学的製剤の適応とされています。他には、副作用のために十分な用量の内服が出来ない場合や、再発しやすいなど減量や注視が困難な場合、なども適応となります。
生物学的製剤の使い分けについては、特に確立された基準はないと思います。IL-17阻害薬であるセクキヌマブとイキセキズマブは、IL-12/23阻害薬であるウステキヌマブより優れた効果があり、TNF-α阻害薬とほぼ同等の効果があるようです。
また、IL-23阻害薬のグセルクマブとリサンキズマブは、IL-17阻害薬と同等の効果がありますが、リサンキズマブは24週以降のデータがないようです。
乾癬性関節炎の場合、IL-17阻害薬の選択順位はTNF阻害薬と同等、IL-23阻害薬とIL-12/23阻害薬はそれに次ぐ効果と考えています。
50代/臨床研究中核病院/皮膚科