「高血圧治療におけるARNIの位置づけ」について循環器内科医が回答
処方箋や投薬に関する薬剤師の疑問のうち、疑義照会で解決しづらいものについて、m3.com医師会員<エキスパート>からの回答を掲載します。
Q. 高血圧治療におけるARNIの位置づけ
ARNIが高血圧症の適応を取得してから数年が経過しましたが、高血圧治療においてはどのような位置付けで使用されることが多いのでしょうか。
10名の「循環器内科」医師の回答を紹介します。
医師回答のまとめ
ARNIは、原則として高血圧治療の第一選択薬ではなく、既存の降圧薬で効果不十分な場合などに使用が検討されます。一方、食塩感受性や体液貯留、心疾患などを伴う症例では選択されることもあります。サクビトリルバルサルタン200mgでは、収縮期血圧で10~20mmHg程度の低下を期待されることもありますが、降圧幅は治療前血圧や前治療薬によって異なります。
屋宜 宣仁先生の回答
『高血圧治療ガイドライン』では、原則として第一選択薬(Ca拮抗薬、ARB/ACE阻害薬、利尿薬)で十分な降圧が得られない場合の追加選択肢(アドオン療法)や、心不全などを合併する高血圧患者への使用が想定されています。
実臨床では、多剤併用療法でコントロール不良の場合や、服薬アドヒアランスの改善を目的に単剤へ切り替える場合があります。アジルサルタン+アムロジピンからサクビトリルバルサルタンへの変更も、服薬負担の軽減と、さらなる降圧・心負荷軽減を狙った戦略と考えられます。
サクビトリルバルサルタン200mgは標準的な治療用量であり、既存のARBと同等以上の24時間降圧効果が示されています。特に、夜間・家庭血圧に対する安定した降圧効果や、中心血圧、脈圧の改善が期待されます。
また、ネプリライシン阻害によるANP/BNPの上昇を介した利尿・血管拡張作用、交感神経抑制作用に加え、心筋リモデリング抑制や腎保護作用による長期的な予後改善も期待されます。
高血圧単独での使用では薬価も考慮されるため、初期治療よりも、早期の臓器保護が必要な症例や、多剤併用療法の簡素化を図る場合に選択される傾向があります。
50代/地域医療支援病院/内科(循環器)
循環器内科先生の回答
高血圧診療において、初期治療から用いるのは本来適切ではありません。基本的には一次治療でコントロール不十分な患者に用います。
降圧効果としては(体感ですが)アジルサルタン+アムロジピンと同等程度の効果があると考えます。
変更理由としては、単に薬剤数の減少や、ナトリウム利尿作用による塩分過多症例での更なる降圧効果を狙ったものがあげられます。また、明確なエビデンスがあるわけではありませんが、心不全に対する付加価値なども期待して変更するケースもあると考えます。
30代/臨床研究中核病院/循環器内科