元JALキャビンアテンダントに聞く、接客術
第1回と第2回では、「意外と見られている薬剤師の外見について」をテーマにお話しました。信頼される薬剤師になるためには、知識の拡充はもちろんですが、それに加えて外見を整えることも大事であることが分かりました。
第3回目の今回は、JALのキャビンアテンダント(以下CA)として国内線や国際線、ファーストクラスなどで10年間活躍された田中智子さんに、お客さんと接する際に意識していたポイントについておうかがいしました。
CAはお客さんが飛行機の中で安全に目的地まで到着するために、安心して過ごせる環境を提供するのが仕事です。そのため、接客術に加えて、非常時対応などのリスク管理の意識も高い職業です。その姿勢は、病気の治療に関わる薬剤師にとっても、参考になることが多いのではないかと考え、インタビューをさせていただきました。今回も記事を前後半の2回に分けて、明日から使える薬剤師のコミュニケーションのコツとしてご紹介します。
私も薬剤師として10年ほど患者さんと関わっていますが、改めて勉強になると思う内容が多くありました。ぜひ皆さんも良いと思うものを取り入れて、より質の高い薬剤師の接客に結びつけてみましょう。
薬剤師の印象と、寄り添う姿勢の重要性
最も印象に残っている「第一印象」という言葉
初めて会った際に、笑顔であいさつをするかしないかで第一印象は大きく変わります。体に痛みがあったり、精神的に不安であったりする患者さんにとって、困ったことを相談しやすい薬剤師になるためには第一印象を良くすることはとても重要です。患者さんと顔を合わせた際には、いつも以上に笑顔でのあいさつを心がけてみましょう。
薬剤師が患者さんの治療の一助になるために
田中さんのお話をうかがっていると、”プロとしてお客さんと接する姿勢”が私たち薬剤師との共通点が多いと感じました。薬剤師にとっても、患者さんとの第一印象を良くすることによって、不安なことや疑問に感じたことを話しやすくなります。患者さんの情報は多ければ多いほど、よりその人に最適な医療に近づけられるのは間違いありません。いつでも相談してもらえる、そんな信頼関係を患者さんと築くためには、「第一印象」というキーワードはとても重要であると言えます。
また、インタビューの中で印象に残ったのは「旅行に一緒についていくことはできないけど、旅行の思い出になることはできる」という言葉でした。旅行をする人にとって、飛行機はただの移動手段かもしれませんが、そこで起きたことや出会った人はその旅行の1ページとして残り続けます。その旅行が良いものになるようにCAとしてできることは何か、ということを常に意識していたそうです。
私たち薬剤師も、患者さんの治療が少しでもより良いものになるように、そして生活が今よりも豊かになるように、できることは何かと考え続ける必要があるので、見習うべき姿勢だと感じました。
次回は、CAさんとして意識していた「お客さんとの接し方のコツ」と「チームで目の前のお客さんにサービスを届けていた」という内容をお伝えします。