仕事に誇りを持つことが、良いコミュニケーションに繋がる
せっかく豊富な知識や経験があるのに「コミュニケーション」が苦手で、なかなかうまく患者さんに接することができない、地域医療に貢献することができない…そんな悩みを抱えている薬剤師は多いと思います。話し方や接し方が上手で、多くの患者さんの心を掴む薬剤師、医師や看護師からも頼られる薬剤師、地域イベントで人気の薬剤師と、いったい何が違うのでしょうか。
そこには、”埋めることができないほどの大きな溝”はありません。実は、ほんのちょっとの心がけ、ほんのちょっとの工夫で、相手に与える印象は大きく変えることができるのです。
そこで本連載では、様々な職種の「接客の達人」に、薬剤師にこそ取り組んでほしい接客のコツを色々と語っていただきます。コミュニケーションに苦手意識を抱いている人は、ぜひ真似できるところから業務に取り入れていただければと思います。
寿司職人の荒木さんに聞く、プロフェッショナルとして誇りを持つこと
第10回目も、元プロボクサーの肩書きを持ちながら、現在は寿司職人として「すしさとる」というご自身のお店で活躍する荒木悟さんにインタビューをさせていただきました。
「これまで色々な人が自分を助けてきてくれたので、次の世代や周りの人たちに恩返ししていきたいという強い思いがある」と話す荒木さんから、コミュニケーションのコツだけではなく、プロフェッショナルとして大切な”誇りを持つこと”についてもおうかがいすることができました。
今回のコミュニケーション上達のポイント
- 誇りを持つことで、相手を思うことができる
- 薬剤師は病気になって、最後に会う医療者である
- 価値ある職業に就いていることを意識する
自らの職業に誇りを持つことが、相手を思うことに繋がる
かかりつけ薬剤師という考え方が広がり、対人業務も重視されるいま、薬剤師にとってコミュニケーション能力を高めることはとても重要です。しかし、枝葉末節のスキル向上だけではなく、相手のことを思うために自らの職業を見つめ直すという視点が必要であることを再確認しました。
自分は薬剤師という職業に誇りを持っているか、部下や若手薬剤師は誇りを持つ薬剤師に育つことができるか、これらを考えてみる必要があります。
薬剤師の持つ役割と価値
確かな実力と、職業への誇りを持つ薬剤師になろう
荒木さんは、とても気さくで笑顔が素敵でありながら、寿司職人の話になると自信と謙虚さが入り混じったプロフェッショナルの雰囲気を纏うのが印象的でした。コミュニケーションのコツをおうかがいしていたのですが、その前提にある「職業に誇りを持つこと」や「相手を思って言葉や思いを届けること」を学ばせてもらいました。
コミュニケーションの技術や薬学の知識を向上させることと、自身の職業について考えを深めることで、より患者さんの役に立つ薬剤師になれるはずです。
コミュニケーションに苦手意識を持っている薬剤師の方は、自身の薬学的知識を拡充させることはもちろんですが、なぜ自分が薬剤師になろうと思ったのか、そして薬剤師とはどのような歴史があって今に至るのか、これらをもう一度学んで考え直すことも良い方法であると思います。
今回、取材に協力していただいた荒木さんのお店は、新型コロナウイルス感染症対策の対応をしながら、できる限りお客さまに満足いただける接客を心がけています。