コントラクトMRとは?薬剤師がなる場合の将来性やメリット・デメリットは
薬剤師の主要なキャリアの一つとして知られる「MR」。多くの人が思い浮かべるのは、製薬会社に所属するMRかもしれません。しかし近年、柔軟な働き方で注目を集めているのが「コントラクトMR」です。
本記事では、コントラクトMRと製薬会社MRの違い、メリット・デメリット、将来性に加え、コントラクトMRを目指す方法まで詳しく解説していきます。
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(エムスリーキャリア)
コントラクトMRとは?
MRとは「MedicalRepresentative(医薬情報担当者)」の略で、製薬会社に所属し、医師や薬剤師などの医療従事者に対して、医薬品に関する情報を提供・収集する職種です。
医薬品の適正使用を推進するとともに、販売促進にもつながる重要な役割を担っています。薬剤師が目指すキャリアとしても人気な職種の一つです。
その中で「コントラクトMR」とは、製薬会社ではなくCSO(ContractSalesOrganization:医薬品販売業務受託機関)と呼ばれるアウトソーシング企業に所属するMRを指します。派遣された製薬企業で業務を行う派遣型と、製薬企業からプロジェクトを請け負い、自社の監督下で業務を行う請負型の2通りの契約形態がありますが、そのほとんどは前者の派遣型です。
コントラクトMRはCSOから製薬会社へ派遣され、営業活動を支援するのが特徴です。
雇用形態はCSOの「正社員」であり、派遣という形態であっても「派遣社員」や「契約社員」ではなく、あくまでCSOの社員として勤務します。
参照:2025年度版MR白書―MRの実態および教育研修の調査/MR認定センター
(https://www.mre.or.jp/files/co/page/attachment221201/mre_info/Investigation/whitepaper/2025/2025hakusyo35.pdf)
コントラクトMRと製薬会社MRの違い
同じ「MR」であっても、CSOに所属するコントラクトMRと製薬会社に所属するMRとでは、その立場や働き方に明確な違いがあります。
ここからは「所属先」「雇用形態」「平均年収」「勤務期間」「業務内容」の5つの観点から違いを整理していきましょう。
所属先
製薬会社MRは、文字通り製薬会社に直接雇用され、自社製品を担当するのが基本です。
多くの製薬会社では、研究開発、製造、DI、営業といったように部門が分かれており、MRは営業部門に所属して活動します。
さまざまな部門からなる製薬会社では、部署異動や転勤も発生する可能性があります。
一方、コントラクトMRはCSOの正社員として雇用され、派遣先の製薬会社で活動するのが一般的です。
CSOは製薬企業の営業部門を専門にサポートするアウトソーシング企業であるため、研究開発や品質管理といった部門を持ちません。
そのため異動や配置転換もないのが特徴です。
雇用形態
製薬会社MRは、自社の人事制度や給与体系に基づき、長期的にキャリアを積み上げていきます。
長く勤めることで昇進や昇給のチャンスも広がり、社内でのキャリアパスが整っているのが特徴です。
これに対してコントラクトMRは、派遣先で日々の業務を担いながらも、雇用契約そのものはCSOと結んでいます。
給与や福利厚生はCSOが提供し、派遣先での評価は次の配置やプロジェクトに影響するという仕組みになっています。
平均年収
収入面についても違いがあります。
厚生労働省の職業情報サイトによれば、MRの全国平均年収は618.3万円です。
年収の高い人では約1500万円にも上り、会社やスキル、経験、勤続年数といったところで大きく違いが出るといえます。
ただし、他業種も合わせた薬剤師全体の平均年収が599万円であることからも、MRの平均年収は同じ薬剤師の中でも高いと言えます。
コントラクトMRの収入は、求人情報をみると、400万〜800万円程度です。
ただし派遣先の企業やプロジェクトの内容、そして本人のスキルや経験値によっても大きく変動してきます。
成果次第で評価される営業職である以上、未経験者は低めからのスタートとなることは知っておきましょう。
参照:医療情報担当者(MR) /厚生労働省
参照:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 /厚生労働省
勤務期間
製薬会社MRは基本的に定年まで勤務する長期雇用を前提としています。
それに対してコントラクトMRは、プロジェクトごとに勤務期間が区切られるのが特徴です。
新薬の発売や営業エリアの強化といった目的に応じて契約期間が設定され、一般的には2年程度で配属が変わることが多いとされています。
ただし、契約の延長や再契約によって長く同じ企業で勤務するケースも珍しくありません。
業務内容
最後に業務内容についてですが、実際に行う仕事そのものは大きく変わりません。どちらも医師や薬剤師など医療従事者に対して情報提供・収集を行います。
ただし、コントラクトMRの場合は派遣先がどのような目的で人材を求めているかによって役割が変わるのが特徴です。
欠員補充であれば一般的なMR活動になることが多いですが、販売エリアの強化や新規発売に伴う営業活動といった特定の目的がある場合は、その都度チームの一員として目的にあわせた働き方が求められます。
MRの仕事内容や転職事情についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
コントラクトMRの特徴がわかったところで、ここからはコントラクトMRとして働くうえでのメリット・デメリットを解説してきます。
薬剤師がコントラクトMRになるメリット
薬剤師がコントラクトMRとして働くメリットは、主に以下の3つです。
幅広い領域・複数の製薬会社に携われる
コントラクトMR最大の魅力は、1~2年ごとに異なる製薬会社で働けることです。
製薬会社MRが自社製品のみに携わり、担当領域や医療機関が固定されやすいのに対して、コントラクトMRはさまざまなプロジェクトを通じて異なる疾患領域や薬剤に触れるチャンスがあります。
実際に日本CSO協会の調査では、加盟CSOに所属するコントラクトMRのうち51.3%が7領域以上の経験し、5領域以上の経験者は6割を超えることが報告されています。
これは製薬企業MRには得がたい経験といえるでしょう。
参照:国内CSO事業に関する実態調査-2022年度版/日本CSO協会
https://www.jcsoa.gr.jp/cms/wp-content/uploads/2023/06/Press-Release_20230601.pdf
転勤が少なく、希望勤務地で働きやすい
製薬企業MRは全国に拠点を持つ企業も多く、欠員補充などの理由から転勤が避けられないケースが少なくありません。
特に近年はMR総数が減少しているため、遠隔地からの異動で人員を補うことも増えています。
これに対してコントラクトMRは、基本的にCSOが希望勤務地を考慮した上で配属先をマッチングします。そのため製薬企業MRと比べると、転勤のリスクが少ないです。
また、全国規模で求人を展開するCSOが多いため、ライフスタイルに合わせて勤務地を選びやすい環境が整ってきています。
キャリアの幅が広がる
薬剤師としての医療知識を生かしながら営業スキルを身につけ、さまざまな会社で幅広い知識や経験を得ることで、将来的に製薬会社への転職や、高度なキャリアへのステップアップを目指していけるでしょう。
MR認定センターの調査によれば、中途採用のMRの前職は「コントラクトMR」が2番目に多いです。
製薬企業が未経験者を直接採用するケースはあまり多くなく、まずはCSOに所属して経験を積み、実績を残すことが現実的なキャリアパスといえます。
多くのCSOは教育研修制度を整えており、未経験者でも安心してMRとして成長していけるでしょう。
参照:2025年度版MR白書―MRの実態および教育研修の調査/MR認定センター
https://www.mre.or.jp/files/co/page/attachment221201/mre_info/Investigation/whitepaper/2025/2025hakusyo35.pdf
薬剤師がコントラクトMRになるデメリット
コントラクトMRには魅力的なメリットが多い一方で、知っておきたいデメリットも存在します。
短期間で職場が変わり、長期的なキャリアが築きづらい
コントラクトMRはプロジェクトごとに派遣先が決まるため、契約期間の終了や企業の方針によって勤務先が変わる可能性があります。
製薬会社MRは基本的に長期雇用を前提としており、昇進やキャリアの見通しを立てやすいのに対し、コントラクトMRは1~2年単位で勤務地や担当製品が変わることも少なくありません。
そのため、同じ環境で長期的なキャリア形成や昇進を見据えるのが難しい点はデメリットといえます。
定期的に新しい職場環境に適応する柔軟さが求められるため、「慣れている一つの企業に長く勤めたい」という人には不安要素となるでしょう。
安定して仕事が受けられないことがある
コントラクトMRはプロジェクト単位で業務が決まるため、派遣先企業の業績や新薬の開発状況によって案件数が変動します。
場合によっては配置転換や待機期間が発生する可能性もあり、継続して安定的に仕事を受けられるとは限りません。
また、次のプロジェクトで良い案件を得られるかどうかは、本人の実績やスキルに大きく左右される点も特徴です。
したがって、長期的に安定した働き方を求める人にとっては不安定さを感じやすいでしょう。
ただし、派遣契約の満了によって、次の派遣開始まで待機期間が生じた場合でも、コントラクトMRはCSOの正社員であるため、基本的には収入が途切れない仕組みがとられています。「仕事が全くなくなり、収入もゼロになる」という心配を過度に抱く必要はありません。
コントラクトMRは年々増えている!その将来性は?
公益財団法人MR認定センターが発行する「2025年版MR白書」によると、2024年度のMR総数は43,646人であり、そのうちコントラクトMRは4,249人でした。
全体の割合としてはまだ多いとはいえませんが、注目すべきはその増加傾向です。
MR全体の人数が2013年度をピークに減少を続けている一方で、コントラクトMRの数は着実に伸びています。
2009年時点で全MRに占めるコントラクトMRの割合はわずか3%に過ぎませんでしたが、2023年には9.7%に達しました。
また、国内企業の46.2%がコントラクトMRを活用しており、特に中〜大規模の企業は積極的に導入が進んでいることがわかります。
参照:2025年度版MR白書―MRの実態および教育研修の調査/MR認定センター
https://www.mre.or.jp/files/co/page/attachment221201/mre_info/Investigation/whitepaper/2025/2025hakusyo35.pdf
MRは専門性を重視するようになる
近年のMR業界では、従来の「幅広い製品を一人で担当するスタイル」から、「領域ごとに専門担当をおくスタイル」へとシフトが進んでいます。
こうした変化はコントラクトMRにとって大きな追い風となるでしょう。
なぜなら、複数の製薬会社や多様な領域を経験できるコントラクトMRは、特定の疾患領域に強みを持つ「スペシャリスト型MR」として成長しやすいからです。
特にオンコロジーや希少疾患、中枢神経といった領域は今後需要が高いと言われており、特定領域に精通したMRが求められる環境において、キャリアの選択肢を広げる大きなチャンスとなるでしょう。
参照:国内CSO事業に関する実態調査-2022年度版/日本CSO協会
https://www.jcsoa.gr.jp/cms/wp-content/uploads/2023/06/Press-Release_20230601.pdf
未経験でも目指せる?コントラクトMRとして働くには
コントラクトMRを目指す代表的な方法は、CSOが実施するMR採用試験を受験することです。一般的に試験は筆記に加え、複数回の面接が行われます。
MRは医療系のバックグラウンドがない人でも目指すことができる職種ですが、薬剤師は薬学知識や医師との連携経験を強みとしてアピールできる点が有利です。
さらに、薬剤師であればMR認定試験の一部が免除されるため、スムーズに資格取得を目指せるというメリットもあります。
とはいえ、MRは薬剤師以外にも、文系出身者や営業経験者など幅広い人材が活躍しており、「薬剤師だから簡単に転職できる」というわけではありません。
未経験から挑戦する場合は、仕事内容や求められる資質を理解したうえで、本当に自分が目指したい職種かどうかを慎重に見極めることが大切です。
薬剤師の未経験業界への転職についてさらに知りたい方は以下の記事をご覧ください。
特に病院や薬局で勤務してきた薬剤師にとっては、これまでとは大きく異なる就職活動とるため。自分一人で進めるのは不安があるかもしれません。
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コントラクトMRを目指すときは転職エージェントの利用がおすすめ!
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また、MRは他の職種と比べて採用試験のハードルが高く、筆記試験や複数回の面接を科されるのが一般的です。
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さらに、転職エージェントはコントラクトMRとして働いた先にどのようなキャリアパスが開けるのか、将来的な展望についてもアドバイスをしてくれます。
特に他業種からのキャリアチェンジを検討している人にとっては、こうした情報は非常に参考となり、エージェントは心強い存在となるでしょう。
「まだ転職するか決めていない」という段階でも、まずは相談をしてみるのがおすすめです。客観的な意見を聞くことで、自分のキャリアの可能性を整理しやすくなるはずです。
コントラクトMRで薬剤師としてのキャリアを広げましょう
コントラクトMRは、製薬企業のニーズの変化や医薬品市場の拡大に伴い、需要が着実に増加している職種です。
正社員MRと比べると雇用の安定性や待遇面では課題がありますが、柔軟な働き方や多様な経験を積める点は大きな魅力です。
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しかし、MRは営業職であり厳しい成果目標も存在します。そのため、転職を検討する際には「自分がどのような働き方を望むのか」を明確にしたうえで、入念な準備を進めることが重要です。
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