新型コロナワクチン3社(ファイザー・モデルナ・アストラゼネカ)の違いは?
新型コロナウイルスワクチンの開発は、世界中の企業や大学において急ピッチで進められています。このうち日本での供給が正式に決定している海外で開発されたワクチンは、ファイザー社(米国)、英国アストラゼネカ社(英国)、米国モデルナ社(米国)の3社。この3社のワクチンはどのようなものかをご紹介します。〈令和3年1月20日現在〉
各メーカーの新型コロナワクチン基本情報と治験
各社のワクチンのタイプは?
ファイザー社:mRNAワクチン
アストラゼネカ社・オックスフォード大:遺伝子組換えチンパンジーアデノウイルスベクター ワクチン
モデルナ社:mRNAワクチン
臨床試験の進捗状況は?
ファイザー社:2020年7月からアメリカなどで第3相試験を実施(4,4万人規模)。日本での治験は2020年10月から開始している。
アストラゼネカ社・オックスフォード大:2020年5月からイギリスで第2、第3相試験を実施。6月からはブラジル(1万人規模)で、8月からはアメリカ(4万人規模)でも第3相試験を開始している。日本国内での治験は、2020年8月下旬から実施中。
モデルナ社:2020年7月からアメリカ(3万人規模)にて、第3相試験を実施している。国内での治験は、2021年1月から開始する予定。
日本への供給はいつ?
ファイザー社:2021年内に約1億4400万回分の供給を予定。
アストラゼネカ社:2021年初頭から1億2000万回分を受け取る予定。
そのうち約3000万回分は第1四半期中に供給予定となっている。国内での生産も計画されており、JCR ファーマ株式会社でワクチン原液を製造、第一三共株式会社、第一三共バイオテック株式会社、Meiji Seikaファルマ株式会社、KMバイオロジクス株式会社にて製剤化する。
モデルナ社:2021年内に全世界へ5~10億回分の供給を計画。日本国内では、武田薬品工業株式会社を通し2021年6月までに5,000万回分を輸入し、2021年7月~9月に1,000万回分の供給を受ける契約が締結されている。
取り扱いには違いがあるの?
ファイザー社:氷点下75℃での超低温管理が必要。
アストラゼネカ社・オックスフォード大学:通常の冷蔵庫(2~8℃)で6カ月以上保存できる。
モデルナ社:-20℃±5℃での冷凍保存が必要。
接種回数とその間隔はどれくらい?
ファイザー社:21日間隔で2回接種する。
アストラゼネカ社・オックスフォード大学:28日間隔で2回接種する。
モデルナ社:28日間隔で2回接種する。
各国での接種状況は?
ファイザー社:既にアメリカ、イギリス、EUなどで接種開始している。
アストラゼネカ社・オックスフォード大学:既にイギリスで接種開始している。
モデルナ社:既にアメリカで接種開始している。
新型コロナワクチンの今
世界保健機関(WHO)によると、2021年1月5日時点で臨床試験中の新型コロナウイルスのワクチンは63種類。そのうち第3相試験に入っているのは第2相試験と並行して行われているものを含めると21種類となっています。新たなタイプのワクチンにはその効果の程や副反応など未知数な部分もありますし、変異株の出現によりワクチン開発そのものに暗雲が立ち込める可能性などの懸念材料もあります。しかしながら、さまざまなタイプのワクチン開発が成功すれば、国内だけでなく世界全体への供給が容易になりますし、今後の動きによっては、パンデミック収束への期待も高まるでしょう。
参照:厚生労働省
日本感染症学会
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