新型コロナワクチンの副反応はどのようなもの?起きた場合の補償制度はあるの?
これまで報告のあった副反応は?
ここでは国内での接種が決まっている、ウイルスベクターワクチンとmRNAワクチンの副反応についてとりあげます。
局所反応 ―― 接種部位の疼痛・発赤・腫脹
局所反応では、ウイルスベクタ―ワクチンと比べてmRNAワクチンのほうが接種部位疼痛の頻度が高くなっています。この頻度は成人における不活化インフルエンザワクチンと比べてはるかに高い頻度です。
全身反応 ―― 発熱・倦怠感・頭痛・寒気・嘔気、嘔吐・筋肉痛・関節痛
双方のワクチンで、倦怠感、頭痛、嘔気・嘔吐、筋肉痛などの頻度が高く、全身反応の有害事象も高頻度でみられています。ですが、これらの症状は対照群でもある程度みられるため、よく識別するが必要があります。発熱(38℃以上)に関しては、1回目よりも2回目の接種後で多くなっています。発熱は対照群ではほとんどみられていないため、ワクチンによる副反応の可能性が高いと思われます。この傾向は、高齢者層よりも若年者層で高くなっており、特にmRNAワクチンではより頻度が高いため注意を要します。ウイルスベクターワクチンの場合は、一回目に24,5%と高頻度でみられたものの、その後はみられていません。
また、重篤な有害事象については、まれな頻度ではあるものの、アナフィラキシーが発生したことが報告されています。有害な事象の詳細一覧は次の図をご参照ください。
(日本感染症学会ワクチン委員会 COVID-19ワクチンに関する提言 第1版より)
これまでの臨床試験で安全性の確認は十分できている?
これまでの臨床試験では以下方々の割合が少ないため、更なる観察が必要とされます。
- アジア系の被接種者
- 70歳以上の被接種者
- 基礎疾患を持つ被接種者
今後はこれらの要素も踏まえ、数年にわたる長期的な有害事象の観察をする必要があります。さらに、接種を受けた人が標的とした病原体による病気を発症するワクチン関連疾患憎悪(VAED)という現象にも注意が必要です。かつて、コロナウイルスが原因となったSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)のワクチンの動物実験でも一部VAEDを示す結果がみられました。COVID-19ワクチンではこれまでのところ、こうした結果は報告されていませんが、今後はこのような事象への注意深い観察も重要となります。
接種を受けた後に副反応が起きた場合の補償はありますか?
一般的に、ワクチン接種においては副反応による健康被害を完全に無くすことはできないため、国による救済制度が設けられています。新型コロナワクチンの接種についても、医療機関での治療が必要になったり障害が残ったりした場合は、この救済制度により、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます。この救済は厚生労働大臣が認定した後、市町村により給付されます。申請に必要となる手続き等は、予防接種を受けた市町村にご相談ください。(厚生労働大臣の認定にあたっては、第三者により構成される疾病・障害認定審査会により、因果関係に係る審査が行われます。)
参照:厚生労働省
日本感染症学会
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