むくみがちな身体の水の巡りを改善してくれる食材とは
生薬といえば、聞いたことのあまりないものや名前は知っていても実物をあまり見たことがないからちょっと取り入れるのには抵抗があると思われている方は少なくないのではないでしょうか。
でも実際はそんなことはないのです。普段何気なく使っているものや身の回りのものも立派な生薬として効用を持っているのです。そんな身近な生薬にスポットを当てて、取り上げて行くこのシリーズ。クイズ形式になっているので、楽しみながら患者さんとの会話に取り入れられる知識を広げてみてください。
夏が旬の食べ物で利水効果が高い、普通なら捨ててしまうものとは?
- 西瓜の種
- トマトのへた
- トウモロコシのひげ
- 枝豆のさや
答え
- トウモロコシ
夏になると目にも鮮やかな黄色のつぶつぶが一列にならんだトウモロコシが、八百屋さんにところ狭しと鎮座している光景を目にするのでは。子供たちも大好きなトウモロコシはゆでてもよし、焼いてもよし、蒸してもよし、最近では生で食べられる品種も出てきて、とても重宝します。
夏の野菜の代表格ともいえるトウモロコシは、夏の身体の不調を改善してくれる力を持ちます。例えば、その実は胃の働きを高めたり、身体の中の余計な水分を排出させたりして夏の暑さで疲れてしまった身体をいやしてくれます。また栄養価もとても高く、炭水化物、タンパク質、ミネラルなどをバランスよく含むことから、多くの国で主食として食べられていることは皆さんご存じの通りです。
実はそのひげも生薬としてとても重宝されているのです。主な効果は利水滲湿作用(りすいしんしつさよう)で、身体の中の余分な湿や水分をとり除いてくれます。例えば、尿量が減ってしまって、むくみが出ている人や黄疸の人に対して浮腫や黄疸を改善したり、尿量を適切にしたりといった効果があるといわれています。また、水分の代謝を担う泌尿器系等の機能を助ける効果も持ち合わせています。
使い方はトウモロコシのひげをそのまま、あるいは干した物を煎じて飲むだけ。もちろんフレッシュな鬚をゆでたり蒸したりしてそのまま食してもとてもおいしいので試してみてください。ちなみに我が家では皮、ひげをつけたままオーブントースターでゆっくりと火を通して、ひげとともにトウモロコシをいただきます。皮で包まれた状態で火を通すのでトウモロコシのうまみも凝縮されてとてもおいしく仕上がります。
余談ですが、トウモロコシのひげの正体は実は「絹糸(けんし)」と呼ばれるめしべ、そのためひげ一本に実一粒がついているので、ひげが多いほど実の入りが多いのです。皮付きを買われる際にはひげの量を確認してからの方がちょっとお得かもしれません。
参考文献
「漢方294処方生薬解説」根本幸夫監修 じほう
「方剤学」東洋医学健康会 神戸中医学院
「薬膳学」東洋医学健康会 神戸中医学院