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患者さんとの会話に役立つ“身近な生薬”

更新日: 2020年12月23日 河本 ちかこ

主に止血作用をもっていて、それ以外にも胃腸症状の改善効果をもつ食材は

患者さんとの会話に役立つ身近な生薬の画像

 生薬といえば、聞いたことのあまりないものや名前は知っていても実物をあまり見たことがないからちょっと取り入れるのには抵抗があると思われている方は少なくないのではないでしょうか。
 でも実際はそんなことはないのです。普段何気なく使っているものや身の回りのものも立派な生薬として効用を持っているのです。そんな身近な生薬にスポットを当てて、取り上げて行くこのシリーズ。クイズ形式になっているので、楽しみながら患者さんとの会話に取り入れられる知識を広げてみてください。

秋~冬が旬で、おせち料理などに欠かせない食品の一部で止血効果があるものとは。

  • くわいの芽
  • 梨の種
  • ネギの根っこ
  • レンコンの継ぎ目

答え

  • レンコンの継ぎ目

 生薬は同じ植物でも部位が違うとその薬効が違うことが多く見られます。その代表例が蓮です。蓮はそのすべてを薬用にできるといっても過言ではありません。そのうちのレンコンの継ぎ目は「 蓮節(ぐうせつ)」と呼ばれ、止血薬に属します。ほかにも熱を冷ます清熱解毒の作用、胃腸症状の改善作用(食欲促進、食欲増強作用)、血流が滞る瘀血を改善する効果も持っています。
 使い方は新鮮な「 蓮節」のときは、それをすりおろしたり、潰したりして、その絞り汁を取り出し、必要な箇所に塗ったり服用したりします。
 また身体の中の熱を取ったり、胃腸症状や瘀血の改善を期待して、おかゆやスープなどに入れて食したりします。生薬といっても野菜の一部なので基本的に身体には優しく、安心して使えるかと思います。
 中国では民間療法の一つとして「蓮節」を捨てないで1ヶ月ほど塩漬けして、それをゆっくり噛みしめる ことで咽喉炎を直すといった方法もとられているようです。
 生薬としては乾燥したものを煎じたり、粉末にして水で調合して必要箇所に塗布したり、お茶として服用したりするようです。
 ちなみに、最初に「蓮」はすべてを薬用にできると書きましたが、その一部をご紹介します。花の蕾は「蓮花(れんか)」と呼び、熱中症や血流が悪い人の血流改善などに使われたりしますし、蓮の実は「蓮実(れんじつ)」、子葉を「蓮肉(れんにく)」といい、慢性疲労や下痢、不眠などの症状を和らげる効果があります。加工もしやすいことから月餅の餡に入れたり、おかゆに入れたりとよく使われているのは皆さんご存じの通りかと思います。ほかにも葉っぱは「荷葉(かよう)」といい、楊貴妃も愛したといわれている体内の水の巡りを改善してくれる薬膳茶として親しまれていて、むくみが気になる人や肥満傾向の人に愛されています。このように、「蓮」は場所によってそれぞれ持つ効用が異なり、幅広く利用されています。お花もとても美しく、あんな可憐な花があるのだと感動してしまいますよね。
 本当にびっくりするぐらい生薬になる部位が細かく分かれていますので、ご興味のある方は調べてみてください。

参考文献
「漢方294処方生薬解説」根本幸夫監修 じほう
「方剤学」東洋医学健康会 神戸中医学院
「薬膳学」東洋医学健康会 神戸中医学院

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河本 ちかこ
かわもと ちかこ

薬科大学を卒業後外資系企業にてMR、新製品企画部にて勤務。その後、企業の経営を学ぶべく大学院でMBAを取得する。MBA取得後は医薬品業界の市場分析などを執筆する傍ら薬膳アドバイザー、食育インストラクターなどの資格を取得。健康な体は日々の食事からをモットーに、現在は薬局薬剤師として勤務しながら中医学の見識を深めるために中国人医師のもとで勉学にいそしんでいる。

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