日常生活で見かける、口内炎や鼻出血に使われる植物は?
生薬といえば、聞いたことのあまりないものや名前は知っていても実物をあまり見たことがないからちょっと取り入れるのには抵抗があると思われている方は少なくないのではないでしょうか。
でも実際はそんなことはないのです。普段何気なく使っているものや身の回りのものも立派な生薬として効用を持っているのです。そんな身近な生薬にスポットを当てて、取り上げて行くこのシリーズ。クイズ形式になっているので、楽しみながら患者さんとの会話に取り入れられる知識を広げてみてください。
身体の中の熱を下げ、口内炎や鼻出血などに効果があるとされるよく目にする植物は?
- シロツメクサ
- 竹の葉
- チューリップの球根
- 銀杏の葉
答え
- 竹の葉
昔は夏の暑さ対策と景観のためにお庭に竹を植えている家がたくさんありました。竹は清熱作用を持っているため、お庭の目隠しだけでなく暑さ対策としても利にかなっているのです。しかし、根が強い竹は植えた後の手入れが大変なこともあり、最近ではそのポジションをゴーヤなどに取って変わられてきているようです。
竹の葉は「竹葉(ちくよう)」といって、清熱薬に属します。清熱薬とは「邪(風邪などの病気の原因)」が中医学でいうところの「表」から「裏(身体の深部)」に入ってしまい、身体の中に熱がこもりそれを解熱できないときに使用する薬になります。難しく感じてしまいますが、西洋医学の解熱薬に近いものだと思ってください。付け加えるならば、単なる解熱薬ではなく病気が長い間経過したあとに残る微熱などに効果を発揮するものと考えていただければなおよいでしょう。
「竹葉」は清熱薬の中でも比較的マイルドで、その薬理作用は解熱、利尿作用、効能は解熱、止渇、鎮咳、利尿と言われています。
どのような症状によいかというと、例えば、身体の中に熱がこもると、その熱により身体の水分が減少し、口が渇いたり、尿の水分量が減り濃い尿になったり、顔がほてるなどの症状が現れます。これらの症状に対して、身体の中の熱を取ることで口の渇きを癒やし、尿の色を正常に戻し、ほてりなどを抑えてくれます。また、身体の中に熱がこもることによって口内炎や鼻出血が引き起こされたりもしますが、これらの症状も体内を冷やすことで取り除いてくれます。
また、ほかにも身体の中が暑く悶々として眠れないといったような不眠症の時にもよいとされていますし、呼吸器の炎症を鎮めることで咳を止めると言われています。
ちなみに「竹葉」と類似のものに「淡竹葉(たんちくよう)」があります。この2つは種類こそ違いますが、その効用は似ています。ただ清熱・生津作用は「竹葉」の方が強く、利尿作用は「淡竹葉」の方が強いとされています。
参考文献
「漢方294処方生薬解説」根本幸夫監修 じほう
「方剤学」東洋医学健康会 神戸中医学院
「薬膳学」東洋医学健康会 神戸中医学院