とてもよい香りのお花で咳や喘息、冷えによる腹痛などに効くものは?
生薬といえば、聞いたことのあまりないものや名前は知っていても実物をあまり見たことがないからちょっと取り入れるのには抵抗があると思われている方は少なくないのではないでしょうか。
でも実際はそんなことはないのです。普段何気なく使っているものや身の回りのものも立派な生薬として効用を持っているのです。そんな身近な生薬にスポットを当てて、取り上げて行くこのシリーズ。クイズ形式になっているので、楽しみながら患者さんとの会話に取り入れられる知識を広げてみてください。
多くの人になじみのある香り高い花で咳や喘息など気管支症状などに効果があるものは?
- キンモクセイ
- バラ
- ユリ
- チューリップ
答え
- キンモクセイ
9月から10月あたりに何気なく道を歩いていると、「キンモクセイ」のとてもよい香りが漂ってきた経験がある方はたくさんおられると思います。
この「キンモクセイ」、実は「桂花(けいか)」という名前の生薬になります。
「桂花」という名前を聞くと思い出すのが「桂花陳酒(けいかちんしゅ)」ではないでしょうか。「桂花陳酒」は、はるか昔から存在し、楊貴妃が愛したといわれていることでも有名なお酒です。作り方は白ワインにキンモクセイの花を3年間つけ込むと言ったとてもシンプルな方法で、その香りをお酒に移すことで飲みやすいお酒に仕上げています。
ほかにも香りによる効果をひきだすためにお茶にブレンドしたり、蜂蜜に漬け込んだりして楽しんだりします。それはこのかぐわしいしい香りにこそ、その効果があるからなのです。
「キンモクセイ」の香りは、目を癒やし、肝臓の働きを助けると言われています。肝臓の働きを助けることで、精神的な不安定な状態も改善していきます。それにより、精神安定効果を発揮し、さらに質のよい睡眠に導くとも言われています。
また最近では、その香りが食欲を抑える効果があることが証明されてきています。ダイエットになかなか成功しない人にとっては朗報かもしれません。
ほかにも胃腸を温め、そこにある冷えを取り除き、胃腸の痛みを和らげる作用も持ち合わせます。さらには、肺の働きを整え、血流、気の巡りを改善するという効果ももっており、それにより痰などを取り除くと言われています。
香りを持つ花からできる生薬は気を巡らせる効果を持つものが多いと言われますが、「桂花」はその代表格の一つではないでしょうか。
参考文献
「漢方294処方生薬解説」根本幸夫監修 じほう
「方剤学」東洋医学健康会 神戸中医学院
「薬膳学」東洋医学健康会 神戸中医学院