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患者さんとの会話に役立つ“身近な生薬”

更新日: 2022年2月20日 河本 ちかこ

調味料の原料にもなり、花びらが女性に嬉しい効果をもたらす花は?

患者さんとの会話に役立つ身近な生薬の画像

生薬といえば、聞いたことのあまりないものや名前は知っていても実物をあまり見たことがないからちょっと取り入れるのには抵抗があると思われている方は少なくないのではないでしょうか。
でも実際はそんなことはないのです。普段何気なく使っているものや身の回りのものも立派な生薬として効用を持っているのです。そんな身近な生薬にスポットを当てて、取り上げて行くこのシリーズ。クイズ形式になっているので、楽しみながら患者さんとの会話に取り入れられる知識を広げてみてください。

調味料の原料としてよく耳にする花で、その花びらが特に女性によい効果を持つ花は?

  • アザミ
  • ベニバナ
  • ガーベラ
  • 麦わら菊

答え

  • ベニバナ

きいたことのある植物でありながら案外その花はみたことのない人が多いのではないでしょうか。「紅花」は地中海沿岸またはエジプトが原産と言われているキク科の植物です。アザミによく似たこの花は食用として、また染料として用いられるなど様々な用途で使われています。
食用としての使い方で有名なのは皆さんご存じの油。「ベニバナ」の別名は「サフラワー」。スーパーなどで売られている「サフラワー油」と「ベニバナ油」は同じ原料からできています。この「ベニバナ油」は、「ベニバナ」の種を圧搾して出た油分を製品化したもので、オレイン酸がとても豊富でコレステロール値の改善などに効果があると言われています。
生薬としての「紅花」は花弁を乾燥させたもので、和名で「ベニバナ」、生薬名では「こうか」と呼ばれ、活血化瘀薬に分類されます。「活血化瘀薬」とは血流を流し瘀血を改善することにより体に起こる諸症状を改善する働きを持つものを言います。「紅花」は、血流を促すことで痛みを鎮めたり、化膿性の腫れ物を散らす効果を示したり、コレステロール値を低下させたりすると言われています。
生薬として煎じて服用するだけではなく、薬膳の材料として料理の最後に散らしてみたり、お茶葉の代わりに使ったりすることでもその効果を発揮します。また、外用としても使われ、「紅花」で染めた布を腹部などに巻くと温める効果を発揮するとも言われています。
余談ですが、高価な「サフラン」は、生薬名を「蔵紅花(ぞうこうか)」あるいは「番紅花(ばんこうか)」と呼び、アザミ科に属するので科目は違いますが、効果は「紅花」ととても似ています。

参考文献
「漢方294処方生薬解説」根本幸夫監修 じほう
「方剤学」東洋医学健康会 神戸中医学院
「薬膳学」東洋医学健康会 神戸中医学院

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河本 ちかこ
かわもと ちかこ

薬科大学を卒業後外資系企業にてMR、新製品企画部にて勤務。その後、企業の経営を学ぶべく大学院でMBAを取得する。MBA取得後は医薬品業界の市場分析などを執筆する傍ら薬膳アドバイザー、食育インストラクターなどの資格を取得。健康な体は日々の食事からをモットーに、現在は薬局薬剤師として勤務しながら中医学の見識を深めるために中国人医師のもとで勉学にいそしんでいる。

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