【第3回】薬剤師のための糖尿病治療の豆知識
~患者さんの変化に気づき、正しく指導できるようになろう~
糖尿病の世界では長年、患者さんの総死亡を減少させる(長生きできる)治療法の確立を目指してきました。ここ最近、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬により総死亡を抑制できたという臨床試験結果が出たことで、各国のガイドラインなどが大きく変わってきています。
糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師の資格を持ち、日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会、日本化学療法学会に所属する著者が薬剤師の皆さんに知っておいて欲しい糖尿病治療のポイントをご紹介します。
症例を見極めよう!チアゾリジン系・自己注射の糖尿病治療薬
全3回で紹介してきた糖尿病治療薬について、最後は、チアゾリジン系薬剤、各種自己注射薬について紹介します。見る機会が少なくなっている方もおられるかもしれませんが、適した症例を見極めることで、プラスの効果も期待できる薬剤です。
脂肪肝の改善にも期待「チアゾリジン(TZD)」
大きなカテゴリーで見れば、ビグアナイド系と同じくインスリン抵抗性を改善することで血糖値を下げるお薬ですが、見る機会が少なくなっているかもしれません。個人的な意見ですが、このお薬を使用するときには、プラスの効果とマイナスな効果をしっかり理解して使用するべきだと思います。プラスの効果といえば、脂肪肝を有している患者さんには、脂肪肝の改善も含めて効果があることです。後述しますが、SGLT2阻害薬にも同様の効果が認められていますが、チアゾリジンも十分に使用できると思います。
一方、マイナスの効果としては、一般的に知られている(特に女性の)浮腫や心臓に疾患がある人には避けるべきという注意点だけでなく、骨折のリスクが上がるといわれています。内服する際には骨折に関する注意喚起は必要ですし、骨折しやすそうな人には使用しないなど、注意しなければなりません。