【第7回】薬剤師のための糖尿病治療の豆知識
~患者さんの変化に気づき、正しく指導できるようになろう~

連載第7回では、低血糖の症状とその対策について考えてみます。低血糖の症状にはブドウ糖の投与が一番ですが、そのやり方、それ以外の対策についても解説します。
【文献1】
Atkinson FS, Foster-Powell K, Brand-Miller JC (2008)
International Tables of Glycemic Index and Glycemic
Load Values: 2008. Diabetes Care 31: 2281-2283
低血糖のときの症状と対策方法〜ブドウ糖の投与を指導するには
重症低血糖も患者さんの予後を悪くします
今回は、急性期副作用として最も大切な低血糖についてまとめて行きたいと思います。高血糖が血管を痛め、さまざまな予後を悪くすることは有名ですが、重症低血糖も予後を悪くしていることは知っておられるでしょうか?
日本でも2012年の熊本宣言で行われたようにHbA1c7%未満を目指しましょうと示されました。しかし、同時に「低血糖が起こるくらいなら、目標とするHbA1cを少し緩めた方がいいですよ」となっており、低血糖の影響がいかに大きいかを表しています。そこで、低血糖の症状、対応策について整理していきたいと思います。
低血糖の症状は教科書通りではありません
低血糖の症状は、軽度な空腹感やイライラ感などからはじまります。また、多くの患者さんが訴えるのは、中等度の交感神経反射(暑いと感じるかどうかは関係のない異常発汗や手などの震えなど)です。重度になると低血糖昏睡を起こし意識を失ってしまうこともあります。

教科書では上記のような記載がされていると思いますが、現場で見ていると、想定を超える症状を訴える患者さんもおられます。例え…