【第8回】 薬剤師が気を付けたい糖尿病患者のシックデイ対策

糖尿病の世界では長年、患者さんの総死亡を減少させる(長生きできる)治療法の確立を目指してきました。ここ最近、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬により総死亡を抑制できたという臨床試験結果が出たことで、各国のガイドラインなどが大きく変わってきています。
糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師の資格を持ち、日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会、日本化学療法学会に所属する著者が薬剤師の皆さんに知っておいて欲しい糖尿病治療のポイントをご紹介します。
連載第8回では、糖尿病患者のシックデイ(調子の悪い日)を取り上げます。薬剤師として、患者さんのシックデイ時にどのように指導をすればいいのか、ポイントをおさえておきましょう。
参考文献:表1-4 糖尿病療養指導ガイドブック2016

糖尿病患者さんが食事を取れない日、シックデイ
まず、はじめにみなさんはシックデイがどういう状態かご存知でしょうか?糖尿病治療ガイドには、「糖尿病患者が治療中に発熱、下痢、嘔吐をきたし、または、食欲不振のため食事ができないときをシックデイと呼ぶ」と記されています。要は、糖尿病治療を行っている患者さんが、いつもと違う状態となったり、ご飯があまり食べられなくなったりした状態を示します。糖尿病患者にとっては、歯科で歯を抜いたときや妊娠中のつわりもシックデイに入ります。
なぜ、ここでシックデイを取り上げるかというと、シックデイに備えて薬剤師がやるべきことは山ほどあるのに、自分自身も含めて十分な対策ができていないと感じるからです。