糖尿病患者における新型コロナ感染症リスク

糖尿病の世界では長年、患者さんの総死亡を減少させる(長生きできる)治療法の確立を目指してきました。ここ最近、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬により総死亡を抑制できたという臨床試験結果が出たことで、各国のガイドラインなどが大きく変わってきています。
糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師の資格を持ち、日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会、日本化学療法学会に所属する著者が薬剤師の皆さんに知っておいて欲しい糖尿病治療のポイントをご紹介します。
今回は今までと少し思考を変え、m3.com薬剤師会員の皆さんからいただいた「糖尿病患者への服薬指導における疑問・質問」について、文献や私の経験ももとにお答えしていきます。
今回のテーマ「糖尿病患者と新型コロナウイルス感染のリスクについて」
現在、世界規模で流行している新型コロナウイルス感染症。糖尿病患者さんの感染リスク、および重症化のリスクについてまとめます。 前提として、糖尿病を罹患していることが各種感染症のリスクを上げてしまうわけではなく、血糖コントロール不良状態が長期間続いていることが、免疫応答を低下させ、感染症リスクと引き上げることにつながることは明らかです。

- 糖尿病患者は新型コロナウイルス感染症にかかりやすいの?
- 日本糖尿病協会のホームページでまとめられたデータによると、中国やアメリカでは、新型コロナウイルス感染症患者の内、糖尿病を持っている患者さんの割合と、国全体の糖尿病患者さんの割合に大きな差は認められませんでした。つまり、糖尿病患者さんが明らかに新型コロナウイルス感染症にかかりやすいとは言えません。

※糖尿病有病率:国民全体における糖尿病患者の割合
- 糖尿病患者さんは、新型コロナウイルス感染症にかかったら重症化しやすいの? …