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糖尿病の豆知識

更新日: 2022年9月6日 柳瀬 昌樹

高齢者糖尿病について詳しくなろう2

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さて、第2回目となる今回は、前回の続き。高齢者糖尿病患者さんの総合機能評価について見ていきましょう。

②認知機能の評価

認知機能は言うまでもありませんが、患者さんが治療を継続するためには、必ず評価しておくべきものとなります。認知機能が低下すれば、現時点でできている治療が継続できなくなってしまうだけでなく、例えば、低血糖の重症化リスクも高くなる可能性があると思います。

一般的な認知機能の評価方法として、ミニメンタルステート検査(MMSE)、改定長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)、地域包括システムにおける認知症アセスメントシート(DASC-21)などがありますが、各現場のマンパワーを加味し、より簡便な評価方法といわれているMini-Cogなどを使用することも可能です。ピットフォールとして、治療可能な病態である慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、ビタミンB1/B12/葉酸欠乏症、薬剤性などが原因になっていることも少なくないため、見逃さないようにしましょう。

【代表的な認知機能のスクリーニング検査用の指標】

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【認知症の重症度の判定例】

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③心理状態の評価

心理状態としてうつのスクリーニングが重要であると言われています。うつの評価としては高齢者うつスケールのGDS-15を用いて、5点以上でうつ傾向、10点以上でうつ状態と診断されます。うつも高血糖や低血糖、血管合併症、認知症の発症や要介護、死亡のリスクを高めることがわかっています。

④栄養状態の評価

高齢者では、過栄養だけでなく、低栄養も問題になることがすくなくありません。低栄養は、その後の転倒・骨折やフレイル、認知症の発症などにも大きく関わるため、対応が必要となります。また、同時に口腔機能の低下(オーラルフレイル)も低栄養の一因となるため、歯科受診を勧めることなどで口腔内の状態確認も行っておくべきでしょう。低栄養のスクリーニングを行うためのツールとして、簡易栄養状態評価表短縮版(MNA-SF)などもあり、これを用いて評価するのも選択肢の1つです。

⑤薬剤の評価法

高齢糖尿病患者さんだけではありませんが、高齢になると併存疾患も多くなり、ポリファーマシーとなってしまいます。薬物有害事象のリスクをできるだけ少なくするためにも、薬の見直し、腎機能や肝機能など代謝機能の評価に基づく用量用法のチェックなどが必要となります。また、服薬順守率を高めるために、内服タイミングの見直しなども行っておきましょう。

⑥社会・経済状況の評価

毎日の生活と必要な治療を行ってもらうために、住居環境(どこに住み、同居している人の有無、食事や服薬へのサポート体制など)を確認し、経済的な状況も確認する必要があります。経済的な状況によっては、治療法における自己負担を加味し、選択する必要も出てきます。治療における自己負担額がその患者さんの経済状況に比して高い場合、治療中断の原因になることもあると思います。高齢者の社会的孤立の評価方法として、Lubben Social Network Scale短縮版(LSNS-6:30点満点で12点未満は社会的孤立の疑い)などを使用することができます。

参考:高齢者糖尿病治療ガイド2021

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柳瀬 昌樹
やなせ まさき

薬剤師。薬科大学を卒業後、現在に至るまで病院勤務を続け、糖尿病、感染症などの専門資格を取得。医師の先生方からの全面的ご協力の下、日々奮闘中。
主な取得資格:糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師、実務実習認定薬剤師
所属学会:日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会(認定薬剤師認定委員兼務)、日本化学療法学会、日本病院薬剤師会

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