高齢者糖尿病について詳しくなろう3
第3回になる今回は、高齢者糖尿病の治療目標と治療方針について見ていきたいと思います。高齢者特有の注意点などに注目し、掘り下げてみましょう。
高齢者糖尿病患者さんの治療目標
高齢者の糖尿病患者さんの治療目標も非高齢者と同じように食事・運動・薬物療法によって、血糖、血圧、脂質、体重を包括的に管理し、血管合併症の発症・進展を阻止することですが、同時に生活機能やQOLの維持・向上を保ちながら、健康寿命を延ばすことにも目標範囲を広げる必要性があります。最終的には、スティグマに対する対策、併存する疾患の管理・予防を行うことで糖尿病でない方と同じ充実した人生を送っていただくことが目標となります。
糖尿病患者さんとスティグマ
スティグマとは、「広い意味では、個人の持つ特徴に対して、周囲から否定的な意味づけをされ、不当な扱いことをうけること」であり、糖尿病という病気であるだけで、不当な差別や偏見を受けることを意味しています。糖尿病とスティグマについてさまざまな研究が進み、やはり糖尿病患者さんは、スティグマにさらされていることが多いようです。糖尿病になってしまうことは、悪いことでもなんでもないのに、このようなイメージを持たれていると患者さんが感じることは許容できません。治療目標でも述べたように、最終的には糖尿病でない方と同じ人生を送っていただくことが目標なのに、糖尿病というだけでスティグマを感じていては、とても他の人と同じ人生を送ることはできないのです。このスティグマをなくすために、糖尿病協会をはじめとする各団体によるアドボカシー活動が行われています。