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糖尿病の豆知識

更新日: 2023年2月26日 柳瀬 昌樹

高齢者糖尿病について詳しくなろう8

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第8回目の今回は、高齢者糖尿病の薬物療法の最終。インスリン製剤と各種合剤について見ていきたいと思います。

⑨インスリン製剤

【主なインスリン製剤】

商品名 発現時間 最大作用時間 持続時間
超速効型 ヒューマログ注 15分未満 30分~1.5時間 3~5時間
ルムジェブ注 上記より早い 30分~1.5時間 3~5時間
ノボラピッド注 10~20分 1~3時間 3~5時間
フィアスプ注 上記より早い 1~3時間 3~5時間
アピドラ注 15分未満 30分~1.5時間 3~5時間
速効型 ヒューマリンR注 30分~1時間 1~3時間 5~7時間
ノボリンR注 約30分 1~3時間 8時間
中間型 ヒューマリンN注 1~3時間 8~10時間 18~24時間
ノボリンN注 約1.5時間 4~12時間 約24時間
持効型溶解 レベミル注 約1時間 3~14時間 約24時間
トレシーバ注 明らかなピークなし 約42時間超
ランタス注 1~2時間 明らかなピークなし 約24時間
ランタスXR注 1~2時間 明らかなピークなし 約24時間
混合型 (超速効型+持効型)
ライゾデグ配合注 10~20分 1~3時間 約42時間超
(超速効型+中間型)
ヒューマログミックス25注 15分未満 30分~6時間 18~24時間
ヒューマログミックス50注 15分未満 30分~4時間 18~24時間
ノボラピッド30ミックス注 10~20分 1~4時間 約24時間
ノボラピッド50ミックス注 10~20分 1~4時間 約24時間
ノボラピッド70ミックス注 10~20分 1~4時間 約24時間
(速効型+中間型)
ヒューマリン3/7注 30分~1時間 2~12時間 18~24時間
ノボリン30R注 約30分 2~8時間 約24時間

インスリン製剤は、1型糖尿病に対してはもちろん第一選択ですが、2型糖尿病では、高血糖が持続し、経口薬やGLP-1受容体作動薬でもコントロールできない場合に使用するべきとなっています。高齢者では、インスリンの手技の煩雑さ(インスリン手技を間違ってしまう、インスリン手技を一部省略する、成分内に中間型インスリンが含まれる製剤の混合手技が不十分など)や低血糖のリスクが高いことなどからも、優先順位は低く位置付けられています。

もちろん、安全に正しく打てる環境ができている患者さんには使用されることも多くありますが、デバイスの種類によっても値段や打つ感覚などに違いがあります。一般的に、カートリッジ製剤+デュラブル注入器の方がプレフィールド製剤よりも安くなる一方、カートリッジを交換する手技を正しく行わなければなりません。プレフィールド製剤の中には、フレックスタッチのようにボタンを押すことでオートインジェクションとなるタイプのデバイスも存在します。カートリッジ製剤を入れるインスリンペン型注入器も様々なものがあり、最近では、携帯電話などにNFC経由でデータ(インスリンを打った時間や投与したインスリン量、空打ちの記録など)を転送する機能を搭載したスマートデバイスも登場しています。これらの特徴を十分理解し、患者さんにとって使いやすく、安全なインスリンを選択することが求められています。

⑩配合薬

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糖尿病関連の配合薬として上記のように様々な組み合わせで販売されています。(下表も参照)高齢者の場合、ポリファーマシーの観点からも、できるだけ少ない薬剤での治療が望ましく、合剤を使用するメリットはあると思います。一方で、後に触れるシックデイの時など、用量の調整が必要であったり、一部の薬剤では中止が必要であったりするため、合剤を使用している場合には、対応に困ることがあります。これらを加味した環境を作ったり、患者さんをサポートしてくれる方々(ご家族や訪問看護師、ヘルパーさんなど)に、十分な情報提供しておくことが望ましいと思います。

配合薬の組み合わせ
① チアゾリジン+ビグアナイド
② チアゾリジン+SU薬
③ DPP-4阻害薬+チアゾリジン
④ グリニド薬+α-GI
⑤ DPP-4阻害薬+ビグアナイド
⑥ DPP-4阻害薬+SGLT-2阻害薬
⑦ 超速効型インスリン+持効型インスリン
⑧ 持効型インスリン+GLP-1受容体作動薬

参考:高齢者糖尿病治療ガイド2021

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柳瀬 昌樹
やなせ まさき

薬剤師。薬科大学を卒業後、現在に至るまで病院勤務を続け、糖尿病、感染症などの専門資格を取得。医師の先生方からの全面的ご協力の下、日々奮闘中。
主な取得資格:糖尿病療養指導士、糖尿病薬物療法認定薬剤師、抗菌化学療法認定薬剤師、日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師、実務実習認定薬剤師
所属学会:日本糖尿病学会、日本くすりと糖尿病学会(認定薬剤師認定委員兼務)、日本化学療法学会、日本病院薬剤師会

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