メトホルミンの下痢をどう聞く?副作用フォローとトレーシングレポート例
「メトホルミンは昔からある薬で、今更勉強する必要がない」、そう思っている薬剤師も少なくないのではないでしょうか。
メトホルミンを長期で飲んでいる方の「ビタミンB12」を意識したことはありますか? おなかが緩いのを我慢して、相談しないままやめてしまった方はいませんか? この記事を読むことで、新たな発見があるかもしれません。
第2回は「メトホルミン」を取り上げます。飲み始めや増量期の数日は下痢を、年単位で飲んでいる方にはビタミンB12欠乏を疑います。服用年数によって、聞くべきことを変えなければいけない薬です。今回は「飲み始め・増量期」のフォローアップ法を紹介します。
「腸に留まり、腎から出る」2つの動きで解き明かす「メトホルミン」の3大副作用
「メトホルミン」は、服用後も腸管に高い濃度で留まります。そして代謝されず、未変化体のまま腎臓から出ていきます1)2)。
メトホルミンで注目したい3つの副作用は以下です。
- 腸管に高濃度で存在 → 腸上皮細胞や腸内細菌叢、胆汁酸代謝などに影響 → 下痢・悪心・腹部不快感などの消化器症状2)3)
- 腸管に高濃度で存在 → 回腸での内因子-B12複合体の吸収が低下 → 長期投与でビタミンB12欠乏3)
- 未変化体のまま腎排泄 → 腎機能低下や脱水で蓄積 → 乳酸産生の増加と処理の低下が重なり乳酸アシドーシス2)
消化器症状は飲み始め、ビタミンB12欠乏は数年後に出てきます。乳酸アシドーシスは、服用期間に関係なく起こります。
「メトホルミン」×副作用はなぜこの3つなのか?
「メトホルミン」で薬剤師が特にフォローしたい副作用は、先で示した3つです。この3つを外せない理由は、それぞれ違います。
消化器症状は、とにかく頻度が高い副作用です。国内の長期投与試験169例では副作用が67.5%に発現し、内訳は下痢54.4%、悪心15.4%でした1)。つらいと感じて、相談せずに中止してしまう患者さんもいます。薬剤師の関わりで継続できるかが変わります。
乳酸アシドーシスは、頻度で言えば極めて稀です。コクランレビューでは、メトホルミン使用70,490患者年で致死性・非致死性の乳酸アシドーシスは認められませんでした4)。
一方で、腎機能の低下や脱水、低酸素状態などのリスク因子をもつ患者さんでは発症報告があります2)。