薬剤師がおさえておきたい 2016年度調剤報酬改定

更新日: 2016年3月24日 藤田 道男

2016年度診療報酬改定

2016年度診療報酬改定内容が3月4日に官報告示され、4月1日からの実施が決定した。今回の改定内容のポイントはどこにあるのか。医薬ジャーナリストの藤田 道男氏が、薬局・薬剤師が把握しておきたい「5つのポイント」を解説する。

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(参考)厚生労働省【令和2年度診療報酬改定について】 

薬学管理料
かかりつけ薬剤師指導料(70点、1回当たり)算定要件

患者の同意の上、かかりつけ薬剤師として服薬指導等の業務を実施した場合に算定。
同意は、当該患者の署名付きの同意書を作成・保管し、薬歴に記載。患者1人に対し1 人の薬剤師のみが算定。
患者の同意を得た後の次の来局時以降に算定。
手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称を記載。
患者に対する服薬指導等の業務はかかりつけ薬剤師が行う。
かかりつけ薬剤師は、担当患者に対して、以下の業務を行う。
(1) 薬歴管理業務を実施し、適切な服薬指導等

(2) 患者が服用中の薬剤等について、関係者が一元的、継続的に確認できるよう、手帳に記載。

(3) 受診している全ての医療機関の情報を把握し、処方薬、要指導医薬品等、健康食品等について把握し、薬歴に記載。患者が医療機関を受診する場合や他の薬局で調剤を受ける場合には、かかりつけ薬剤師を有している旨を明示するよう説明。

(4) 患者からの24 時間相談応需体制、開局時間外の連絡先を伝えるとともに、勤務表を渡す。

(5) 患者が他の薬局で調剤を受けた場合は、服用薬等の情報を入手し、薬歴に記載。

(6) 調剤後も患者の服薬状況の把握、その内容を処方医に情報提供、必要に応じて処方提案。

(7) 服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのためにブラウンバッグ等必要に応じて配布。患者の服用薬の整理等の薬学的管理を行う。必要に応じて患家を訪問、服用薬の整理等を行う。
施設基準
(1) 薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に半年以上在籍していること。
(2) 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
(3) 医療に係る地域活動の取組に参画していること。(地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加、講演等の実績)
  • 研修認定の取得要件は、1年間の準備期間を設けて来年4月1日から施行
  • 薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料と同時に算定できない

かかりつけ薬剤師包括管理料 (包括1回当たり270点)

右以外は包括 (1) 時間外等加算、夜間・休日等加算
(2) 在宅医療に係る点数
(3) 薬剤料
(4) 特定保険医療材料料
算定要件
(1) 対象患者は地域包括診療料、地域包括診療加算等の算定対象患者。
(2) 患者の服薬状況等を随時把握し、医師にその都度情報提供する。必要に応じ減薬等の処方提案を行う。
(3) 「かかりつけ薬剤師指導料」の算定要件の(1)~(7)を満たしていること。
施設基準
かかりつけ薬剤師指導料と同じ
  • 薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料と同時に算定できない。

薬学管理料

算定要件 点数
薬剤服用歴管理指導料 過去6月以内に処方箋を持参した患者 38点
上記以外(手帳を持参しなかった場合、基本料1または4以外の薬局に処方箋を持参した患者を含む) 50点
(新設) 特別養護老人ホームの入所者に対して行った場合 38点
重複投薬・相互作用等防止加算(名称変更) 従来の重複投薬・相互作用防止のほか、過去のアレルギー歴や副作用歴などで処方医に疑義照会し、処方変更になった場合 30点
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料(新設) 在宅患者に対して薬歴に基づき重複投薬・相互作用の防止の目的で疑義照会を行い処方内容が変更になった場合 30点
外来服薬支援料 患者や家族、医療機関の求めに応じ、患者の服薬管理を支援した場合や持参薬の整理をして医療機関に情報提供した場合 185点
服薬情報提供料
(長期情報提供料と統合)
患者や家族、医療機関の求めに応じ、又は薬剤師が必要性を認めた場合、患者の同意を得て服用状況を把握し、患者や家族に情報提供、指導等を行い、医療機関に文書で情報提供した場合 20点
在宅患者訪問薬剤管理指導料 (注の変更) 薬剤師1人につき1日5回の制限を「1週間あたり40回」に。
同一世帯の複数の患者に行った場合、1人目は「同一建物居住者以外の場合」の650点の算定を認める
650点

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藤田 道男
ふじた みちお

中央大学法学部卒。医薬関係の出版社、(株)じほう編集局に勤務し、各種媒体の編集長を歴任。退職後フリーの医薬ジャーナリストとして取材・執筆、講演活動を行う。
2010年、薬局薬剤師の教育研修のために一般社団法人「次世代薬局研究会2025」を立ち上げ、代表を務める。
主な著書は『2025年の薬局・薬剤師 未来を拓く20の提言』『かかりつけ薬局50選』『残る薬剤師 消える薬剤師』など多数。

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