第3回 同意書取得、地域活動の解釈で混乱続く
2016年度調剤報酬改定から2カ月近く経過したが、薬局業界では依然、試行錯誤の状態が続いているようだ。16年度改定では、調剤基本料、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算などのハードルが高くなったほか、薬価等の引き下げも加わって厳しいスタートとなった。
「かかりつけ薬剤師」同意書取得の対応は?
大手調剤薬局チェーンは「かかりつけ薬剤師」の患者同意書獲得に積極的に動く一方、中小ではなお、模様眺めの傾向が目立つ。
大手チェーンは、かかりつけ薬剤師を持つことの意義等をアピールするポスターやリーフレットを作成、来局者に配布するなどのほか、かかりつけ薬剤師用の名刺を作成するなど、積極姿勢が目立つ。こうした活動で「グループ全体では万単位の同意書を取得」(A社)や「薬剤師1人で300人の同意書を取り付けた」(B社)―などの声も聞かれる。
生活習慣病患者中心に働きかけも
一方、「やみくもにかかりつけ薬剤師の同意書を取得するのではなく、患者の状況を勘案しながら慎重に声をかけていく」といった薬局も少なくない。かかりつけ薬剤師指導料は薬歴管理料に比べ、自己負担が約100円高くなる(3割負担の場合)。かかりつけ薬剤師指導料の趣旨が、「服用薬の一元的・継続的管理、投与後のフォロー、処方医への情報提供・処方提案」等であることを勘案すれば、生活習慣病などで継続して服用している患者を中心に働きかけるのが筋、というわけだ。
医療に係る地域活動の解釈で混乱続く
中小薬局ではかかりつけ薬剤師指導料の施設基準にある「医療に係る地域活動の取り組み」の解釈を巡って躊躇するところが少なくない。
厚労省が3月31日に発出した疑義解釈資料(その1)では、「地域の行政機関や医療関係団体等が主催する住民への説明会、相談会、研修会等への参加や講演等の実績に加え、学校薬剤師として委嘱を受け、実際に児童・生徒に対する医薬品の適正使用等の講演等の業務を行っている場合が該当する」と回答している。これは単なる講習会への受講ではなく、主催者としての取り組みなどを指したものと見られる。
申請内容が同じであっても厚生局によって受理されたり、戻されたりといった事例が相次いでおり、解釈の統一化を求める声は依然大きい。このため、日本薬剤師会では「医療に係る地域活動」に関し、再度疑義解釈資料で明確にするよう求めるという。ただし、行政による詳細な解釈が示されると逆にそれに縛られてしまう懸念もあり、悩ましい問題になっている。
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