吸入薬指導加算の算定件数を大幅にアップさせる算定要件のヒント
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです!
今回は吸入薬指導加算を取り上げます。吸入薬指導加算は30点と決して高い点数ではありませんが、地域支援体制加算の実績要件の一つである「服薬情報等提供料」の実績件数に含めても良いとされております。
つまり、地域支援体制加算を算定する上では非常に重要な点数と言えます。
吸入薬は、コンプライアンスが低下しやすいという特徴もあり、薬剤師の積極的な患者支援が特に必要です。そういう意味でも、吸入薬指導加算は重要な点数と言えます。
吸入薬指導加算を算定する上でのネックになるものは、どのようなものでしょうか。
もちろん、吸入薬指導加算は、吸入薬が処方されていることが前提となりますが、加えて、多くの薬局にとってネックとなるのが、「指導内容」「医師の了解」「患者の同意」ではないでしょうか。
今回のコラムでは、この部分を中心に解説し、算定件数を大幅にアップさせるヒントを提示したいと思います。
吸入薬指導加算の概要
まずは、吸入薬指導加算がどういう点数かを確認しましょう。
算定の対象患者は、喘息またはCOPDの患者であり、3月に1回の算定となります。
細かい要件は色々ありますが、算定のイメージとして以下の図の内容を押さえてきましょう。
吸入薬指導加算の算定イメージ図
(図・筆者作成)
吸入薬指導加算の算定では、特別な指導が必要なのか?
吸入薬指導加算の要件で、特に指導内容に関する要件は以下の部分となります。
吸入薬指導加算 算定要件(1)
「ア 文書及び練習用吸入器等を用いて、吸入手技の指導を行い、患者が正しい手順で吸入薬が使用されているか否かなどの確認等を行うこと。」
吸入薬指導加算 算定要件(3)
「 当該加算に係る吸入指導を行うに当たっては、日本アレルギー学会が作成する「アレルギー総合ガイドライン」等を参照して行うこと。」
特に算定要件(1)は、具体的な指導内容に触れられており、吸入薬の説明文書と練習用吸入器を用いた指導が必要であることが分かります。
ここで少し考えてみましょう。
この指導内容は、加算算定有無にかかわらず、必要な指導ではないでしょうか。
加算を算定するから指導をする、加算を算定しないから指導はしないということではなく、吸入薬を初めて使う患者さんはもちろん、吸入開始後しばらく経った患者さんについてもこういった指導は必要かと思いますし、実際多くの薬局では指導されているのだと思われます。
そういう意味では、吸入薬指導加算で求められているのは、特別な課題を抱えた患者さんへの特別な指導内容というよりは、吸入薬を使う全ての喘息・COPDの患者さんに必要な指導といえます。
つまり、吸入薬を使う喘息やCOPDの患者さんが広く算定対象になり得るということです。
「医師の了解」「患者の同意」の考え方
続いて、吸入薬指導加算のネックである「医師の了解」「患者の同意」について確認していきます。
関係する要件としては以下の通りとなっています。
吸入薬指導加算 算定要件(2)
当該加算に係る指導は以下のア又はイの場合に、患者の同意を得て行うものであること。
ア 保険医療機関からの求めがあった場合
イ 患者若しくはその家族等の求めがあった場合等、吸入指導の必要性が認められる
場合であって、医師の了解を得たとき
この要件を見るだけでも、患者や医師に無断で算定できない、ということが分かります。
それでは、医師の了解や患者の同意とはどういったことを指すのでしょうか?
この部分に明確な答えはないのですが、私なりの見解をお伝えします。