服用薬剤調整支援料2をとれる提案とは?算定に向けて一歩踏みだそう!
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです!
今回は服用薬剤調整支援料2について、よく頂くご質問を取り上げます。
服用薬剤調整支援料2は、薬剤師が患者さんの服薬状況を評価し、減薬を提案することを評価した点数です。
服用薬剤調整支援料1はハードルが高いので、服用薬剤調整支援料2に取り組む薬局も多いのではないでしょうか。
本記事では、服用薬剤調整支援料2の理解を深めるため、Q&A形式で詳しく解説します。
なお、服用薬剤調整支援料の取組み方については以下のコラムでも取り上げています。
参考までに服用薬剤調整支援料1と2の算定概要は以下のとおりです。
服用薬剤調整支援料1(減薬という結果を評価)図解/筆者作成
服用薬剤調整支援料2(減薬へ向けた提案を評価)図解/筆者作成
Q1.服用薬剤調整支援料2はどのような提案が算定対象となりますか?
要件上は「重複投薬等の解消に係る提案(患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案に限る)」とされています。
「等」という表現があることから、薬剤の種類数の減少に係る提案であれば、重複投薬だけにかかわらず、幅広い提案が対象になりえます。
まず、服用薬剤調整支援料2は服用薬剤調整支援料1と比べて、減薬の実績まで求められていないという点で算定ハードルが低いのは確かです。
一方で、服用薬剤調整支援料1で求められる提案内容はポリファーマシーの解消につながる内容であれば良いのに対して、服用薬剤調整支援料2で求められる提案内容は「重複投薬等の解消に係る提案」に限定されています。
服用薬剤調整支援料1と2の提案内容と必要な結果の違いを以下にまとめました。
ご参考ください。
| 項目 | 服用薬剤調整支援料1 | 服用薬剤調整支援料2 |
| 提案内容 | ポリファーマシーの解消につながる内容 | 重複投薬等の解消 につながる内容 |
| 必要な結果 | 減薬提案+実際に2種類以上減薬 +4週間以上継続 |
減薬提案のみでOK (減薬されなくても可) |
服用薬剤調整支援料1ではポリファーマシーの解消につながる提案であれば良いので、重複投薬等の解消だけでなく、処方カスケードや患者の希望、複数の医療機関受診といった理由による多剤服用を解消する提案であれば広く認められます。
一方で、服用薬剤調整支援料2は「重複投薬等の解消」に限定されており、対象患者が比較的限定的である点を抑えておきましょう。
上図の通り、重複投薬はポリファーマシーの原因の一つですが、ポリファーマシーの原因=重複投薬とは限らない関係性が重要です。
つまり、重複投薬等の解消に係る提案を行うことで服用薬剤調整支援料2が算定できますが、減薬という結果が伴えば服用薬剤調整支援料1の算定に切替える事も可能です。
(一つの提案に対して、支援料2を算定した後に支援料1も算定する事は不可)
一方で、重複投薬の解消等を目的としない提案(たとえば、処方カスケードへの対応に関する提案等)の場合には、服用薬剤調整支援料1の算定を試みて減薬が実施できなかったとしても、服用薬剤調整支援料2へ算定区分を変更することは認められない可能性があります。
Q2.患者に薬Aが処方されているが全く服用していない場合、薬Aに対する減薬提案は算定の対象となりますか?
基本的には算定対象外と考えています。
薬Aの服用が不要であると薬剤師が判断すれば、処方箋の受付時点で疑義照会すべき内容と思われるからです。(疑義照会後に処方変更がなされれば、重複投薬・相互作用等防止加算を算定可)
大前提として、服用薬剤調整支援料は、多剤投薬の適正化に係る提案であり、現時点ですでに服用されている薬が対象と考えられます。
処方されているにもかかわらず、服用されていないという状態であればまずは処方医に疑義照会し、処方削除or継続服用の判断を仰ぐ形が適切かと思われます。
つまり、本事例で必要なのは、次回以降の処方時に薬を減らす提案(減薬提案)ではなく、処方箋受付時点において服用を継続すべきかどうかの判断を仰ぐ疑義照会ではないでしょうか。
もちろん、ケースバイケースではありますが、すぐに対応が必要な場面では、次回以降の処方に反映させる提案ではなく、その場ですぐに疑義照会することが必要と考えます。
疑義照会と減薬提案の違いについては、以下の厚労省資料で整理されていますので、ご参考ください。
引用元:平成30年3月5日版平成30年度診療報酬改定の概要 調剤 /厚生労働省
Q3.重複投薬に関する提案以外に、どのような提案が算定の対象となりますか?
服用薬剤調整支援料2では、「重複投薬等の解消に係る提案」が必要とされていますが、「等」という表現があるとおり、重複投薬以外のことも算定対象となり得ます。一方で、提案内容だけで算定可否を判断できるものでもないため、処方全体の検討内容や患者背景なども踏まえて総合的に算定できるかの判断が必要です。
提案内容だけを持って、算定可否を判断できるものではないですが、重複投薬以外の減薬提案の対象としては以下のような事例が考えられます。