後発医薬品の変更ルールを解説!薬剤料アップや別剤形への調剤可否について
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです!
今回は後発医薬品の変更調剤について解説をします。
後発医薬品への変更調剤は非常に複雑である一方で、変更機会は多くあり、その都度悩ましく感じている方も多いかと思います。
後発医薬品調剤体制加算にも関係するため、出来る限り後発医薬品へ変更したいところであり、変更ルールを正確に把握しておく必要があります。
そこで今回は、後発医薬品への変更ルールについて、特に多く頂くご質問を取り上げ解説します。
※変更調剤にあたって、全て効能効果は同一、変更不可の指示はなく患者の同意を得られているものとします
Q1.錠剤から散剤、軟膏からクリームへの変更調剤は出来る?
様々な行政資料を基に、私なりに以下のように整理しています。
まとめ・1
| 変更前 | 変更後 | 別規格への変更 | 別剤形への変更 | 特記 |
| 先発医薬品名 or後発医薬品名 (内服・頓服) |
後発医薬品 | OK(※1) | 類似する別剤形ならOK | 薬剤料が高くなる場合は 変更不可 |
| 一般名 (内服・頓服) |
先発医薬品 | NG | NG | |
| 後発医薬品 | OK(※1) | 類似する別剤形ならOK | 薬剤料が高くなる場合は 変更不可 |
|
| 先発医薬品名 or後発医薬品名 (外用) |
後発医薬品 | OK(※2) | NG | 薬剤料が高くなる場合は 変更不可 |
| 一般名 (外用) |
先発医薬品 | NG | NG | |
| 後発医薬品 | OK(※2) | NG | 薬剤料が高くなる場合は 変更不可 |
(※1)50mg錠1錠から25mg錠2錠等への変更を指す
(※2)10gチューブ1本から5gチューブ×2本への変更等を指す。10%軟膏10gから5%軟膏20g等の成分濃度の変更は不可
(※3)医薬品入手困難時の取り扱いについてはこの限りではありません。
類似する別剤形への変更がOKの場合、以下の表で同じ行の剤形間であれば変更可能です。
まとめ・2
類似する別剤形の医薬品分類
- 普通錠/口腔内崩壊錠/カプセル剤/丸剤
- 散剤/顆粒剤/細粒剤/末剤/ドライシロップ剤(内服用固形剤として調剤する場合に限る)
- 液剤/シロップ剤/ドライシロップ剤(内服用液剤として調剤する場合に限る)
参考:後発医薬品への変更調剤のルールに関して/日本ジェネリック製薬協会
https://www.jga.gr.jp/jgapedia/column/201803.html
こちらの分類に基づき、内服薬である錠剤から散剤への変更については、類似する別剤形ではないので変更不可となります。
他にも、例えば錠剤からカプセル剤は変更可能、錠剤から液剤は変更不可ということです。
内服薬についてはこれら2つの内容(まとめ・1、2)にて確認頂けると判断しやすくなるかと思います。
軟膏からクリームへの変更についてですが、外用薬は別剤形への変更が認められておりませんので不可となります。
なお、昨今の医薬品供給不足により必要量が用意できないやむを得ない場合については以下の通り別途変更ルールが設けられています。
まとめ・3
| 医薬品の入手が限定されること等により必要量が用意できないようなやむを得ない状況に限り当面は 以下の取り扱いが可能 (以下の対応を行った場合は処方医へ情報提供が必要) |
||||
| 変更前 | 変更後 | 別規格へ の変更 |
別剤形への変更 | 特記 |
| 後発医薬品名 | 先発名 | OK | 類似する別剤形ならOK | |
| 先発医薬品名 後発医薬品名 一般名 (内服に限る) |
後発医薬品 | OK |
類似する別剤形以外でもOK。ただし 変更出来ないケースもある(※) |
薬剤料が変更前を超えてもOK |
(※)引用元:事務連絡令和6年3月15日現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて /厚生労働省
Q2.薬剤料が高くなる場合でも変更出来るケースは?
別規格への変更、別剤形への変更を伴わない場合(つまり、同一規格・同一剤形への変更)は、薬剤料が高くなる場合でも変更可能です。
注意点としては、薬価ではなく、薬剤料で判断するという点です。
薬価とは薬の値段そのものであり、薬剤料は薬価をベースに計算された点数です。
薬価と薬剤料は異なり、変更可否を判断する際は薬剤料で判断する必要があります。
Q3.注射薬は変更可能か?
注射薬であっても先発医薬品から後発医薬品への変更可は可能です。
ただし、注射薬には先発医薬品/後発医薬品という分類の他に、先行バイオ医薬品やバイオシミラー(バイオ後続品)という分類もあり、そちらは変更不可です。
引用元:令和7年11月6日 第202回社会保障審議会医療保険部会 資料1-2 /厚生労働省
具体的なバイオシミラーとしては、インスリングラルギンBS注(糖尿病の治療)、インスリンリスプロBS注(糖尿病の治療)、エタネルセプトBS皮下注(関節リウマチの治療)、テリパラチドBS皮下注(骨粗鬆症の治療)などがあります。
注射薬についてはこの違いに注意しながら変更可否を検討することが必要です。
