処方追加は算定できる?事例で学ぶ薬学的有害事象等防止加算の算定可否
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです。
薬学的有害事象等防止加算は、疑義照会によって処方変更に至り、所定の要件を満たした場合に算定できるため、算定機会も多いかと思います。
一方で、さまざまな解釈があり、算定可否に悩むことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、具体的なケースをもとに、算定可否を筆者の見解を交えて紹介します。
なお、算定要件については以下のコラムをご参照ください。
1.ケース1:発熱でカロナールを追加
【ケース1】風邪に対する処方に解熱鎮痛薬が含まれていなかった。患者が薬局で発熱を訴えたため、薬局から疑義照会してカロナールが追加処方された。
結論としては、算定不可(算定はリスクが高い)と考えます。
薬学的有害事象等防止加算では、以下のいずれかに該当する必要があります。
ア 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
イ 併用薬、飲食物等との相互作用
ウ そのほか薬学的観点から必要と認める事項
引用元:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添3 調剤報酬点数表に関する事項 区分10の2 調剤管理料 3(1) /厚生労働省
ケース1では、「ウ そのほか薬学的観点から必要と認める事項」に該当するかどうかという点が判断のポイントです。
薬学的有害事象等防止加算の前身である重複投薬・相互作用等防止加算については、疑義解釈で「薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合は対象となる」とされています。
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)(平成28年3月31日事務連絡)問30 /厚生労働省
この疑義解釈から、薬剤の追加でも算定できると考える余地はありますが、筆者は、これを算定根拠とすることには大きなリスクがあると考えます。
というのも、2026年度改定では重複投薬・相互作用等防止加算から薬学的有害事象等防止加算に名称変更されたのではなく、重複投薬・相互作用等防止加算は廃止扱いであり、薬学的有害事象等防止加算は新設扱いです。
実際に、疑義解釈資料の送付について(その7)(令和8年5月29日事務連絡)問6でも、「令和8年度調剤報酬改定で廃止された重複投薬・相互作用等防止加算」と記載されています。
よって、重複投薬・相互作用等防止加算と薬学的有害事象等防止加算は別の点数と捉える必要があり、旧加算の疑義解釈を根拠としてよいのかは疑問が残ります。なお、同じ問6では、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の要件に限り、旧加算の算定実績を新加算の算定実績とみなしてよいとされています。これは算定実績の扱いであり、算定対象の解釈まで引き継がれるとは限りません。
参考:疑義解釈資料の送付について(その7)(令和8年5月29日事務連絡)問6 /厚生労働省
加えて、仮に「薬剤の追加」が算定対象として認められるとしても、ケース1のような症状の訴えに基づく薬剤追加が、薬学的観点から必要と認められるかという疑問も残ります。
薬学的観点から薬剤の追加を行うケースとしては、例えば
解熱鎮痛薬が処方されており、胃腸障害の懸念から胃粘膜保護剤を追加
・医療用麻薬が処方されており、便秘の懸念から下剤を追加
・ステロイド薬(内服)が処方されており、感染症の懸念から抗菌薬を追加
のようなケースが考えられます。
今回のケース1は、患者の症状に対する薬剤追加であり、薬学的観点と言えるかどうかは判断が分かれるところです。
ケース1の判断ポイント/薬局のアンテナ作成