新卒でドラッグストア薬剤師として働くのはきつい?理由と解決策を徹底解説


薬剤師には、さまざまな働き方があります。
厚生労働省関連の事業として令和3年に実施されたアンケートによると、大学卒業後、ドラッグストアで勤務すると回答した薬学生の割合は、およそ18.6%で(※)、ドラッグストアの数の多さから考えると、この数字は高いとは言えないでしょう。ドラッグストアは勤務時間が不安定できついというイメージがあることが、この数字に反映しているのかもしれません。
ここでは、新卒の薬剤師がドラッグストアでの勤務を「きつい」と思う理由に加えて、ドラッグストアのメリットや転職のポイントについて解説します。
※「地域における効果的な薬 剤師確保の取組に関する調査研究」
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ドラッグストア勤務がきついと新卒薬剤師が思う理由

ドラッグストアでの勤務が「きつい」「つらい」と言われる理由は、大きく分けて4つあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
接客がつらい
ドラッグストアで中心となるのは接客業務です。ドラッグストアに勤務する薬剤師は、調剤薬局や病院に勤務する薬剤師と比べると、よりざまざまな客層の顧客と接することになります。
そのため、ドラッグストアに勤務する薬剤師は、年齢やニーズ、健康状態もさまざまなお客様に対して、適切なアドバイスやサービスを提供することが求められます。社会人経験の浅い新卒薬剤師にとっては、このような点が精神的な負担につながることがあります。
薬剤師が一人だけの場合に負担が大きい
ドラッグストアの運営方針や店舗の規模によっては、勤務時間中の薬剤師が自分一人だけということも少なくありません。このような状況では、その薬剤師がすべての業務を担当することになり、その負担は非常に大きくなります。
ドラッグストアに薬剤師が配置されているのは、薬剤師でないと販売できない第1類医薬品や要指導医薬品があるからです。このような医薬品を扱う際にはミスが許されません。相談したり確認したりできる先輩薬剤師のスタッフがいない状況で業務を行うことは、新人の薬剤師にとっては大きなプレッシャーとなるでしょう。
業務内容が多い
ドラッグストアで働く薬剤師は、調剤や服薬指導といった専門的な業務だけでなく、レジ打ちや在庫管理、品出しといった販売関連の業務も担当することになります。ドラッグストアの薬剤師は医療従事者としての役割を果たすと同時に、接客や店舗運営に関わる業務も担うことになるのです。
覚えなければならない業務内容が多いことは負担が大きいと言えます。
勤務時間が不規則
現在、多くのドラッグストアでは長時間営業を行っています。特に都市部や繁華街にある店舗では、24時間営業を行っているところもあり、顧客のニーズに応えるため、深夜や早朝においても薬剤師を配置しているケースが珍しくありません。このような店舗で働く薬剤師は、深夜や早朝のシフトにも対応する必要があります。
不規則な勤務形態は、特に社会経験の浅い新卒薬剤師にとって、身体的・精神的な負担を増大させる要因となりやすいです。仕事に対するやりがいや達成感を感じにくくなり、最終的には仕事への意欲が減少する可能性もあります。
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薬剤師がドラッグストアで働くメリットは?

ドラッグストアでの勤務は「つらい」「きつい」といわれることが少なくありません。それでも薬剤師が、ドラッグストアに勤務するメリットには何があるのでしょうか。ここでは、ドラッグストア勤務を選ぶメリットをご紹介します。
他の業種に比べて給与が高い
まず一つめのメリットは、給与が他の業種と比べて高いという点です。病院で働く薬剤師の平均年収は474万円であるのに対して、ドラッグストアで働く薬剤師の平均年収は514万円となっています。
また、管理薬剤師、店長、エリアマネージャー、本社勤務などポストが多くあるので、昇進による給与アップも期待できます。これはほかの業種にはないドラッグストアのメリットだと言えます。
さまざまな仕事ができる
次にあげられるメリットは、多様な経験を積むことができる点です。ドラッグストアに勤務する薬剤師は、調剤や服薬指導といった薬剤師本来の専門業務に加えて、店舗運営に関連するさまざまな業務、具体的には、在庫管理、レジ業務、商品の品出しなどに携わることになります。
こうした多岐にわたる業務は、幅広いスキルを磨く絶好の機会です。多様な実務経験を積むことで、将来のキャリアをさらに広げることも可能になるでしょう。
また、ドラッグストアでは、医薬品に加えて、日用品や化粧品、健康食品など、さまざまな商品を扱っています。そのため、そこで働く薬剤師は、お客様からの化粧品やサプリメントに関する質問や、健康食品に関する相談に対応することが求められます。ドラッグストアに勤務する薬剤師は、それぞれの商品に対応した、幅広い知識を身につけることができるでしょう。
業務を通じて、このような広範な知識を身につけられるという点もまた、ドラッグストアで働くメリットのひとつだと言えるでしょう。
マネジメントスキルが身につく
ドラッグストアでは、単に個々の業務をこなすだけではなく、店舗全体の動きを把握し、その状況に応じて柔軟に対応することが求められます。これにより、スムーズで効率的に店舗運営を行うための判断力や調整力、いわゆる「マネジメントスキル」を身につけることができます。
特に、将来的に管理薬剤師や店長などの管理職を目指す場合には、このようなスキルがひときわ重要となります。店舗全体を見渡して適切な判断を下す能力や、スタッフとの円滑なコミュニケーションを通じて店舗を運営する力は、キャリアの発展に非常に大きく貢献するでしょう。
転職先が多い
次にあげられるのは転職先が多いという点です。ドラッグストアは現在も伸びている業界であり、店舗数も増えています。全国どこに行っても働くことができます。
たとえば、現在働いている店舗で人間関係に問題があったり、シフトの条件が厳しかったりしても、他のドラッグストアに転職することは比較的スムーズです。家族の都合で遠くに引っ越すことになっても、そこで転職先を見つけることもできます。
転職してもすぐに経験者としてよい条件で働けるのは、ドラッグストア勤務のメリットと言えるでしょう。
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新卒薬剤師がドラッグストアを辞めたい時に考えてほしい点

学生から社会人になって働き始めると、いろいろときついと感じることがあるでしょう。ドラッグストアに就職したことを後悔することがあるかもしれません。
「ドラッグストアを辞めたい」と思ったときは、一度立ち止まって自分の働き方について考えるときかもしれません。
ここでは、転職を考えている方が行動に移す前に確認しておくべきポイントを解説します。
いまの仕事の何が嫌なのかを考える
まずは、現在の仕事においてどの部分がストレスとなっているのか、またどの要素に対して負担を感じているのかをじっくりと見つめ直してみることが重要です。具体的に整理することで、適切な対処方法を見つけやすくなります。
具体的には、業務量の多さや業務内容の複雑さがストレスの要因になっているのか、それとも、職場での人間関係やコミュニケーションの問題が影響しているのかなどを振り返ってみましょう。
たとえば、業務そのものがストレスにつながっている場合には、どの業務が特に負担になっているのかを具体的に特定します。同僚や上司との関係にストレスを感じている場合は、それがどのような状況から生じているのかできるだけ冷静に整理してみましょう。
いまの職場で改善の可能性があるかを見極める
次に、先ほど整理した問題に対して、改善の余地があるかどうかをじっくり考えてみましょう。
たとえば、業務の大変さがストレスの要因となっている場合、業務フローの見直しや効率化を図ることで、負担を軽減できる可能性があります。
職場の人間関係やコミュニケーションの問題についても、人に相談する、適切な距離を保つ、異動の希望を出すといった対策が考えられます。ドラッグストアはスタッフの数も多く、入れ替わりの可能性も高いので、すぐに判断をせずに時間をかけることが有効な場合もあります。
このように、具体的にした問題点に具体的な改善策を考えることで、自分にとって最適な解決策を模索してみましょう。
【タイプ別】後悔しない薬剤師の転職先は?

これらのアプローチを行ってもなお改善が難しいと思われる場合は、転職を考えてもよいかもしれません。薬剤師の世界では転職は一般的で、待遇を落とさずに新しい職場で働くことができます。
ここでは、タイプ別に、それぞれどのような転職先が適しているのかについて解説します。
ドラッグストアへの転職に向いている人
ドラッグストアの仕事にやりがいを感じ、自分に向いていると思う方は、同じドラッグストアに転職することをおすすめします。
ドラッグストアから別のドラッグストアへの転職には、前の職場で培った経験やスキルを新たな環境で有効活用できるという大きなメリットがあります。
ドラッグストアで働くなかで、「次はこういう働き方をしたい」という譲れない条件もはっきりしてきているでしょう。
ドラッグストアにもいろいろな規模の店舗があり、大規模なチェーン店もいくつもあります。ドラッグストアは、それぞれ企業風土や勤務体系も違うので、転職の際には自分の希望がかなえられるかどうかをしっかり見極めるようにしましょう。
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調剤薬局への転職に向いている人
調剤薬局では、処方箋に基づいて医薬品を調剤し、患者に提供する業務が中心となります。より医療現場に近く、専門性の高い職場です。患者さんの健康維持や病気の治療に貢献できる、やりがいのある仕事です。薬剤師として安定して働きたい方には、調剤薬局が向いているでしょう。
また、調剤薬局は、ドラッグストアに比べると接客の機会が少ないので、調剤の仕事は好きだけれど接客に対する負担を軽減したいと考えている方にとって、メリットの大きい職場だと言えます。
ドラッグストアで調剤経験があれば、それほど転職のハードルは高くないでしょう。調剤未経験の場合は、大手チェーンのほうが研修システムが整っているのでおすすめです。
病院への転職に向いている人
薬剤の専門家として医療の現場で働きたいと思う人には、病院が魅力的な職場といえます。ドラッグストアや調剤薬局とは違うやりがいを感じながら働くことができるでしょう。
病院の業務においても中心となるのは調剤業務ですが、注射薬や抗がん剤などの病院でなければ扱えない薬剤も扱うことができます。また、医師や看護師とチームを組んで患者さんの治療に当たるので、薬剤の専門家という面も強くなります。
ドラッグストアからの転職となると、仕事の内容が違うのでハードルが高いと感じられるかもしれませんが、また若い間ならば転職後に十分対応していくことができます。ドラッグストアで身につけた接客スキルは、患者さんへの対応に生かすことができるでしょう。
「ドラッグストアを辞めたい...」新卒薬剤師のためのQ&A

ここでは、現在「ドラッグストアを辞めたい」とお考えの新卒薬剤師が抱える疑問に、お答えします。
新卒で働いてすぐに辞めるのはNG?
薬剤師にとって転職は一般的ですが、新卒での就職は社会人としてのキャリアの第一歩ということを考えると、すぐに辞めるかどうかは慎重に判断したほうがよいでしょう。企業側は採用コストをかけて新卒を採用し育てているため、次の企業から見ても早期退職したことのある人は定着しづらい人材と見られる可能性があります。
また、新卒薬剤師自身にとっても、限られた時間の経験で転職という大きな判断を下すことはリスクが大きいといえます。
もちろん、健康を害するような大きなストレスを感じている場合はすぐに離職したほうがいいでしょう。
ただ、次の転職をスムーズに進めるためにも、現在の状況を感情的にならずに認識し、次のキャリアプランを考えてから行動を起こすことをおすすめします。
調剤経験がないと、ドラッグストア以外への転職は難しい?
調剤経験のあるなしが転職活動に影響するかについて心配される方もいるかもしれませんが、実際にはそれほど大きな問題ではありません。多くの調剤薬局では、調剤経験のない薬剤師向けに研修制度を設けているため、必要なスキルを学びながら業務に取り組むことができます。
調剤経験がない場合、転職は調剤スキルを身につけるチャンスとも言えます。

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まとめ

この記事では、ドラッグストアでの勤務が「きつい」「つらい」と感じられる理由や、その対処法、薬剤師がドラッグストアで働くことのメリットについて解説しました。
ドラッグストアでの仕事には、他の職業と同様にメリットもあればデメリットも存在します。大切なのは、自分がどのようなキャリアプランを描いているのか、そして何にやりがいを感じているのかをしっかりと見極めることです。
この記事を参考に、自分の現状や将来のキャリアを冷静に見つめ直し、次のステップを考えてみてください。
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