ドラッグストアで働く薬剤師に役立つ資格とは?登録販売者との違いも解説


ドラッグストアの大半の店舗が、OTC医薬品を取り扱っていると思います。多種多様なOTC医薬品を取り扱うことを不安に思う薬剤師さんもいらっしゃるでしょう。
また、薬剤師不在のドラッグストアでは、登録販売者が薬の販売をしています。
登録販売者とはどのような資格なのでしょうか?
本記事では、ドラッグストア勤務に役立ちそうな資格や、登録販売者との違いについて解説します。
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ドラッグストアで働くために必要な資格

ドラッグストアで医薬品を販売したり、相談に応じたりするためには、「薬剤師免許」と「登録販売者資格」のいずれかが必要です。
まずは、薬剤師免許と登録販売者資格について、それぞれどのような資格なのか、詳しく見ていきましょう。
薬剤師免許
薬剤師免許は、医薬品全般に関する高度な専門知識を持つことを証明する国家資格です。資格を取得することで薬のプロフェッショナルとして幅広い業務に従事できるようになります。
薬剤師として働くためには、薬学部の6年制課程を修了し、毎年2月に実施される薬剤師国家試験に合格する必要があります。合格率は約60〜80%で、薬学部への入学自体が難関であるため、難易度の高い資格と言えるでしょう。
薬剤師の主な業務は、調剤業務です。医師が発行する処方箋通りに薬を調合し、患者さんに渡します。また、処方箋の内容に疑問があれば確認する処方監査も行い、患者の安全を守るための重要な役割を担います。
ドラッグストアには、調剤併設とOTC専門の2種類の店舗があります。処方箋を扱う調剤部門で働けるのは薬剤師のみです。
また、あとで詳しく説明しますが、OTC医薬品に関しても、すべての薬品を販売できるのは薬剤師のみとなっています。
そのため、薬剤師は、OTC専門のドラッグストアにとっても、必要不可欠な存在といえます。
登録販売者
登録販売者は、2009年に施行された薬事法改正により登場した、医薬品販売に関する知識を持つ専門資格です。
2009年以前は薬剤師のみが医薬品の販売を許可されていましたが、法改正により、登録販売者がいれば医薬品の販売ができるようになりました。これにより、薬剤師不足によって十分な説明ができない問題が改善され、多くの店舗で医薬品の販売が可能となっています。
登録販売者資格を持つと、処方箋が不要な一般用医薬品のうち、「第二類・第三類医薬品」の説明と販売ができるようになります。
受験資格に特別な制限はありません。年齢や職業を問わず、誰でも受験可能です。ただし、薬剤師と異なり、国家資格ではありません。試験の合格率は毎年40〜50%です。
登録販売者として働くには、試験合格後5年以内に2年間の実務経験を積む必要があります。
薬剤師資格がなくても医薬品が販売でき、資格取得のハードルも薬剤師免許に比べると低いため、ドラッグストアで広く働いています。
薬剤師と登録販売者の違い

薬剤師と登録販売者は、いずれも医薬品の販売に関わる資格です。しかし、業務範囲には大きな違いがあります。ここでは、薬剤師と登録販売者の違いについて詳しく見ていきましょう。
販売できる医薬品の違い
薬剤師と登録販売者では、取り扱う医薬品の範囲に違いがあります。
登録販売者は医薬品を販売する資格を持っていますが、すべての医薬品を取り扱えるわけではありません。具体的にどの種類の医薬品が扱えるのか見ていきましょう。
まずは医薬品の種類の確認です。医薬品は大きく以下の3種類に分類されます。
- 医療用医薬品
- 要指導医薬品
- 一般用医薬品
医療用医薬品と要指導医薬品は、医師の処方や薬剤師による説明が必要であるため、登録販売者は取り扱うことができません。
一般用医薬品はさらに第一類、第二類、第三類に分かれますが、登録販売者が取り扱えるのは、リスクが比較的低い第二類および第三類のみです。
一方、薬剤師は医療用医薬品、要指導医薬品、第一類医薬品も含めすべての医薬品の取り扱いが認められています。つまり、薬剤師はあらゆる医薬品に対応できる専門家と言えるでしょう。
調剤業務ができるのは薬剤師のみ
調剤業務は、医師の処方箋に基づいて薬を調合し、患者に適切な服薬方法を指導する専門的な業務です。この業務を行えるのは薬剤師のみであり、登録販売者には認められていません。
調剤業務では、医師の処方内容に従って正確に薬を調合するだけでなく、患者の体質や他の薬との相互作用、副作用のリスクを総合的に判断する能力が求められます。薬剤師は、薬学に関する高度な教育課程を修了し、国家試験に合格しているため、この責任が重い業務を担うことができるのです。
登録販売者は調剤業務を行うことはできず、一般用医薬品の販売や相談に限られます。調剤業務を行えるかどうかが、薬剤師と登録販売者の大きな違いです。
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薬剤師のキャリアアップには資格が有効

このように、ドラッグストアにおいても国家資格である薬剤師の存在は必要不可欠なものです。
そして、ドラッグストアという医療現場とはまた異なる特徴を持つ職場で薬剤師としてキャリアアップを目指すには、資格の取得が大きな助けとなります。スキルを活かし知識をさらに深めることで、ドラッグストアでの業務の幅が広がるだけでなく、転職活動の際にも有利に働きます。
ここでは、薬剤師がキャリアアップのために資格を取得するメリットについて詳しく解説します。
ドラッグストア勤務で知識を生かすことができる
資格を取得する際に得た知識は、ドラッグストアでの業務に活かすことができます。
資格取得に伴う研修や学習を通して得た最新の専門知識により、患者に対してより正確で信頼性の高いアドバイスが可能です。
たとえば、漢方薬やサプリメントの専門知識を持つ薬剤師であれば、顧客の健康相談に対して的確なアドバイスを提供でき、「あの薬剤師に相談すれば安心」と感じてもらいやすくなるでしょう。患者の悩みや健康上の問題に対して、誠実に最新の知識をもって対応することで、信頼度がさらに高まり、ドラッグストアの利用者からの相談も増えるはずです。
また、こうしたスキルアップは他の薬剤師との差別化にもつながります。仕事の中で存在感を発揮でき、高い評価を得られるでしょう。
転職のときに有利になる
資格を取得することは、転職の際にも大きなアピールポイントになります。特定の分野で専門知識を持っていることを示す資格は、採用担当者にとって非常に魅力的に映るでしょう。
資格を持つ薬剤師であれば、同じ条件下であっても優遇されることが多く、転職活動において他の候補者との差をつけやすくなります。
「かかりつけ薬剤師」や「管理薬剤師」といった役職を目指しやすくなる点もメリットです。より専門性の高い業務に従事できるポジションに就ける可能性が高まります。
さらに、専門性の高い職に就くことで年収アップも期待できるでしょう。
資格を持っていることで採用側からの評価が高まり、転職の成功率が上がります。
ドラッグストアで働く薬剤師に役立つ資格

ドラッグストアでは、医薬品だけでなく、漢方薬やサプリメントなど健康サポートに関わる幅広い商品を取り扱います。そのため、薬剤師がこうした分野の専門資格を持っていると、患者により的確なアドバイスができ、信頼度が高まるでしょう。
ここでは、ドラッグストアで働く薬剤師に役立つ資格である「漢方薬・生薬認定薬剤師」と「NR・サプリメントアドバイザー」についてご紹介します。
漢方薬・生薬認定薬剤師
「漢方薬・生薬認定薬剤師」は、漢方薬や生薬に関する深い知識と技術を持つ薬剤師として認められる資格です。
漢方薬は、植物や鉱物など複数の生薬を組み合わせたもので、患者の体質や症状に合わせて使用します。そのため、適切な判断力と専門的な知識が必要です。
ドラッグストアでは、漢方薬やサプリメントを求める顧客が多くいます。専門知識を活かして顧客の体質や症状に合ったアドバイスを提供することで、信頼度が高まるでしょう。
資格を取得するには、公益財団法人日本薬剤師センターと日本生薬学会が実施する研修を修了し、試問に合格する必要があります。
資格は3年ごとの更新制です。維持するためには、定期的な研修参加と単位取得が求められます。
NR・サプリメントアドバイザー
「NR・サプリメントアドバイザー」は、保健機能食品やサプリメントについての専門知識を持ち、個人の健康状態を評価して適切なアドバイスができる資格です。一般社団法人日本臨床栄養協会が認定しています。
近年、健康や美容への関心が高まり、さまざまな保健機能食品が市場に出回っています。消費者が自分に合った商品を選ぶためには、信頼できるアドバイザーや相談機関の存在が欠かせません。
NR・サプリメントアドバイザーは、対象者の健康状態やライフスタイルを把握し、その目的に合ったサプリメントや栄養補助食品の提案・アドバイスを行います。
ドラッグストアでは、こうした商品に対するお客さんのニーズも高くなっています。健康状態に応じた提案ができれば、顧客満足度の向上に大いに貢献できるでしょう。
資格取得には、一般社団法人 日本臨床栄養協会への入会と通信教育の受講、認定試験の合格が必要です。
資格は5年ごとに更新され、継続するにはセミナーや研修会での単位取得や更新レポートなどの提出が求められます。
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転職を視野に入れるなら、認定薬剤師や専門薬剤師の資格も

ドラッグストア以外への転職を考える場合には、認定薬剤師や専門薬剤師の資格が大きな強みとなります。
認定薬剤師は、最新の知識と技術を持つ薬剤師として、研修と単位取得を経て認定される資格です。「研修認定薬剤師」や「がん薬物療法認定薬剤師」など、より専門的な分野でスペシャリストとして活躍できます。
専門薬剤師は、特定分野における薬物療法の高度なスキルを持つ薬剤師に与えられる資格です。認定薬剤師の上位資格とされることもあり、専門薬剤師として活躍するには、まず認定薬剤師としての経験が必要な場合もあります。
専門薬剤師は、病棟やICUで医療チームと連携し、薬物療法のサポートや新薬開発に関わる機会もあり、高い専門性が求められる場面で重要な役割を果たします。
認定薬剤師や専門薬剤師の資格を持つことで、一般の薬剤師に比べて高度な知識と専門性をアピールでき、転職を優位に進めることが可能です。キャリアの幅が広がり、より専門性の高いポジションへの転職も可能になるため、貴重な武器となるでしょう。
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まとめ

ドラッグストアで薬の販売に携わるためには、薬剤師免許や登録販売者の資格が必要です。
薬剤師免許を持つ薬剤師は、医療用医薬品の取り扱いや調剤業務が可能で、薬の専門家として幅広い業務に携われます。
一方、登録販売者は一般用医薬品の第二類・第三類の販売に限定されます。
ドラッグストアでの仕事をより充実させるためには、追加の資格取得も大きな助けとなるでしょう。たとえば、「漢方薬・生薬認定薬剤師」や「NR・サプリメントアドバイザー」の資格があれば、お客さんに的確なアドバイスができ、仕事の幅が広がります。
ドラッグストア以外への転職を視野に入れる際には、認定薬剤師や専門薬剤師といった上位資格も、強力な武器となるでしょう。
自分のキャリアプランに合わせて、資格の取得について考えてみてはいかがでしょうか。
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