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ドクター・ホンタナの薬剤師の本棚

更新日: 2021年1月10日

日本でも広がる?オピオイド鎮痛薬

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オピオイド系鎮痛薬の今

薬剤師のみなさん、こんにちは! ドクター・ホンタナの続・薬剤師の本棚、今回の話題は「オピオイド系鎮痛薬」。つまり「麻薬」を医療用鎮痛薬として利用することについてです。麻薬と書いてしまうと別の世界の出来事のようにも感じますよね。
例えばハリウッド映画でコロンビアやメキシコ経由でマフィアや麻薬カルテルが暗躍して・・・というストーリーが定番でもあります。
もちろんアメリカ一般市民とっても麻薬は別の世界の出来事でした。それが1996年にオキシコンチンが処方薬とした発売されたことで、21世紀版の新しい麻薬汚染が国中に広がったのです。

「DOPE SICK」が描く「オキシコンチン」による麻薬汚染

オキシコンチンによるアメリカの麻薬汚染の現状を「DOPE SICK 」という本で読み解いてみましょう。タイトルの「DOPE SICK」とは禁断症状という意味です。

オキシコンチン(一般名オキシコドン)はアヘン系アルカロイドでまさに麻薬です。ところが1990年頃から医療界にあった「痛みに対する治療をもっときちんとやろう!」という機運に合わせるように、溶けにくい基材で固めてゆっくりとしか吸収されないという工夫を施したオキシコンチンが鎮痛薬として認可・発売されました。

薬を発売した薬品会社、パデュー・ファーマ社はそれまでも麻薬系の鎮痛薬(MSコンチンは日本でもおなじみです)が得意分野。これまで麻薬系の鎮痛剤は依存性の問題から投与対象はがんの末期患者などに限定されていましたが、パデュー・ファーマ社はオキシコドンを徐放錠とすることで依存性をなくしたというデータを根拠に(そのデータはかなりいい加減なものであったことは裁判などで明らかになりました)効能追加の認可申請を行いました。ロビーストなど政治的駆け引きもあったのでしょうが、ついには麻薬が普通の鎮痛剤として処方されるという事態が21世紀を迎えようとするアメリカで起こりました。手術後の痛みや整形外科的な痛みにオキシコンチンが日常的に投与されるようになったのです。

パデュー・ファーマ社はオキシコンチンを処方してくれる医師に接待攻勢をかけ、医師や歯科医師によりオキシコンチンが大量に処方されたのです。最近の出来事とは思えない、いやこれがまさに今のアメリカなのかも・・。当然2010年頃から過剰摂取死や依存症が大問題になり大きな裁判がいくつも争われ、多額の和解金・賠償金がニュースになることも増えてきましたが、オキシコンチンであげた収益に比べれば和解金・賠償金は微々たるものらしいです。

歌手のプリンスや大谷翔平の同僚のピッチャーが急死したのもオキシコンチンの過剰摂取と言われています。日本でもトヨタ初の外国人取締役として赴任してきた女性がオキシコンチンを持ち込もうとして警視庁に逮捕されるという事件がありました。オキシコンチンが家庭の常備薬のようになっているというアメリカのすごい状況がその背景にあるわけです。

アメリカの若者のライフ・スタイルを変えた処方薬

「DOPE SICK」197ページによれば、「若者たちは、朝一番でアデロール(ADHDの薬で精神刺激作用あり)を飲み、午後にはスポーツによる怪我の痛み用にオピオイド(オキシコンチン)を飲み、夜には眠るのは助けるためにザナックス(ベンゾ系睡眠導入剤)を、何の躊躇もなく服用していた。その多くは医師によって処方された薬だった。」・・どうですか、そんなアメリカの大学生の一日。こんなことが21世紀になってのアメリカで現実問題として起こっていたのです。

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Dr.ホンタナ
勤務医

元外科医 昭和の31年間で医者になり、平成の31年間は外科医として過ごし、令和と同時に臨床を離れました。本を読んだりジャズ(ダイアナ・クラールの大ファン)を聴いたり、プロ野球(九州時代からのライオンズファン)の追っかけをやってみたり。ペン・ネームのホンタナは姓をイタリア語にしたものですが、「本棚」好きでもあるので・・ダジャレで
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