お薬手帳のすすめ方
患者ケース40: お薬手帳のすすめ方
「お薬手帳を持っていない」という50代の女性患者さん。お薬手帳の大切さを説明していたら、「薬局側の都合を押し付けないで!」とクレームを言い始めました。本来、患者さんの身を守るためのお薬手帳ですが、患者さんにお薬手帳を持つように、うまくすすめるときのポイントを教えてください。また、そのとき、薬局の都合と思われないようにするには、どうすればいいのでしょうか。
お薬手帳の意味や役割を正しく理解していない患者さんには、これまでの思い込みを覆すための努力が必要です。患者さんの立場になって、手帳を持つことへの労わりや共感を示しながら説明すると、聞く耳をもってもらいやすくなります。初めて説明する患者さんへは、「お薬手帳について説明させていただいてもよろしいでしょうか」などと患者さんの許可をもらう尋ね方をしましょう。薬局の都合と思われないように、東日本大震災での活用事例や熊本地震の際の特例措置のような具体例を示して、患者さん自身がメリットを実感できる説明を心がけましょう。
患者さんの立場になって、お薬手帳について説明しましょう
処方せんと一緒にお薬手帳を出してくれる患者さんが増えました。薬局で、お薬手帳について、繰り返し説明する努力をしてきた成果の表れだと思います。その一方で、お薬手帳の本来の意味や役割を正しく理解していない患者さんが少なからずいるのもまた事実。シールを貼るための手帳だと思っている患者さんのほか、複数の診療科別に薬局とお薬手帳を使い分けているケースも見られます。
お薬手帳を「薬局の都合」と思い込んでいる患者さんの場合、薬剤師のための手帳を持たされる上に、支払いまで発生するとわかれば、相談の事例のように不満が出ても不思議はありません。