出荷調整の代替薬に納得しない患者さんの対応は「まず話を聞く」
患者ケース76:出荷調整の代替薬に納得しない患者さん
50代男性の患者さん。処方せんを持ってきましたが、出荷調整の薬剤で在庫がないため、ジェネリックや代替薬を提案しました。ところが患者さんは「薬を変えたくない」と納得しません。「他の薬局に行っても希望する薬は在庫がないと思います」と現状を説明するのですが、「この薬がなくて調子が悪くなったら責任をとってくれるのか」とすごまれてしまいました。このような患者さんに薬剤の出荷調整の状況を理解していただくにはどうすればよいでしょうか?
医薬品の出荷調整とは
出荷調整とは、特定の医薬品の製造量に対して需要が上回ってしまった際に、メーカーが自主的に出荷量を制限するなどして供給量を調整することです。薬局においても、処方せんに記載された医薬品を入手できなくなるなど大きな影響があります。
出荷調整の説明は、患者さんには「薬局の都合」に映ってしまい、理解できないばかりか不安や不信感を募らせることになりかねません。患者さんと薬剤師の認識には違いがあることをしっかり理解した上で、薬局側の言い分はひとまず置いて、反論せず、言い訳せず、否定もせずに、とにかく患者さんの話を聞きましょう。話を聞く際には頷きや相づちを入れながら共感を示します。患者さんの気持ちが落ち着いてきたら、出荷調整の現状と今後の対応についてあらためて説明するといいでしょう。
「薬局の都合」は患者さんには理解できません
最近は相談のような薬剤の出荷調整が珍しくなくなってきて、現場が対応に苦慮するケースも増えているように思います。すぐに納得いただけない場合、出荷調整についていくら説明したところで、患者さんには「薬局の都合」に映ってしまい、理解できないばかりか不安や不信感を募らせることになりかねません。
薬剤師としては、出荷調整で入庫しない薬について代替案の提案をすれば否応なしにすんなり受け入れてもらえるだろうという認識だと思います。しかし患者さんは、「医師が処方しているのだから、当然薬は用意されている」と思っています。定期薬等でいつも処方されている薬であればなおさら「薬局にはいつでも在庫がある」と信じて疑わないはず。
そこに突然「出荷調整で在庫なし」と説明されれば、