がん患者さんから治療法の相談をされたとき
ケース113:がん患者さんから治療法の相談をされたとき
以前から薬局に通ってらっしゃるがん患者さんから「このような治療法があるけど、薬剤師さんはどう思う?」と質問されました。肯定すると、今の治療を否定することになるため、「医師の治療方針に従ってください」としか言えず、自分を不甲斐なく思いました。患者さんは、一生懸命治療法を探していると思うので、否定するのも心苦しいです。患者さんに寄り添った返答はあるのでしょうか。
患者さんから返答に困るような質問を受けた時は、患者さんの話をじっくり聴くことが大切です。誰かに話を聴いてほしいという思いで薬剤師に質問したのだとしたら、正解や答えを求めているのではないかもしれません。「もう少し詳しく聴かせていただけますか」と伝えて患者さんの思いを受けとめ、共感を示しながら肯定も否定もせず真剣に聴きましょう。親身になって話を聴いてもらううちに、患者さんは自分で答えを見つけることがあります。話の中で薬や副作用への不安があると感じたら、患者さんが納得するまで丁寧に説明しましょう。患者さんが安心してもっと話したいと感じるような聴き方や傾聴に適した環境づくりも大切です。