カスタマー・ハラスメント(カスハラ)の患者さんへの対応

ケース138:カスタマー・ハラスメント(カスハラ)の患者さんへの対応
私は調剤薬局勤務の薬剤師です。以前、患者さんからのカスタマー・ハラスメント(カスハラ)を受け、それ以来どの患者さんにも恐怖心を抱いてしまいます。来局されたある患者さんに入手が困難な医薬品について説明すると、暴言を吐かれ、薬局の自動ドアを叩いて壊されました。そんな状況は初めてだったので、周りに助けを求めることもせず、結局、修理費用を請求できませんでした。このようなカスハラをする患者さんにはどういった対応をすれば良いのでしょうか。
カスタマー・ハラスメント(カスハラ)が薬局・薬剤師に与える影響は少なくありません。カスハラと考えられる患者さんには、スタッフ一人で対応しないことが大切です。薬局内のスタッフが連携し、カスハラ対応を薬剤師一人で抱え込むことがないよう気をつけます。また、カスハラ対応中の薬剤師は自分一人で事態をおさめて対策を判断しなければ…と考えてしまいがちですが、カスハラ対応は自分一人で判断しないことも大切です。必ず上司や担当者と相談して、時には処方元の医療機関との連携を取って、対応策を検討しましょう。薬局内でカスハラ対応のルールを決めること、さらには、警察等の連絡先を確認して掲示しておく等々も検討するといいでしょう。
カスハラにはスタッフ一人で対応しないことが大切です
2025年4月より、東京都などで「カスタマー・ハラスメント(カスハラ)防止条例」が施行されました。ご相談の事例はカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)に該当しそうです。
カスハラが薬局・薬剤師に与える影響は少なくありません。例えば、相談にあるように恐怖を感じて精神的苦痛が継続する状態になると、メンタルヘルス不調を訴えたり休職・退職などに発展したりする可能性があります。たとえ、休職・退職まで至らなくても、患者さん応対時に同じことが繰り返されるのではないかと怯えたり、服薬指導への自信を失ったりすることにより、薬局業務に大なり小なり影響を及ぼす可能性は十分考えられます。さらに、薬剤師やスタッフのカスハラ対応の様子を見ていた他の患者さんが不安を覚えて、来局しなくなるなどの影響が出ないとも限りません。
今回の相談のようなカスハラの対応では、いくつか注意したいポイントがあります。