外来がん治療認定薬剤師が解説!肺がんの原因や予防、薬物治療について
一般の方が最も日常的に気軽に接することができる医療のスペシャリストは”薬剤師”です。がんは早期発見が何よりも大切です。薬剤師が”がん”についての知識を持つことはとても意義があります。
今回は、肺がんの初歩的な部分である「肺がんのいろは」をお話します。
国内の死亡数が最も多い肺がんの原因について
引用:がん情報サービス がん統計 https://ganjoho.jp/public/index.html
肺がんは国内のがん死亡数が1位、つまりがんによる死亡の原因として最も頻度の高いがん種ということになります。罹患数も2位となっており、患者数自体もかなり多いがん種です。
死亡数の多いがん腫である原因の一つには、人間が生きていくうえで最も大切な「呼吸」を行うために必要な臓器であることが挙げられます。
もし肺が小さくなってしまうと呼吸が苦しくなってしまうため、手術などによる大部分の切除を行うことが出来ません。つまり、肺がんが進行して大きくなってしまうと手術によって取り除くことが難しくなってしまうというわけです。
肺がんの原因として一番多いのは、やはり”喫煙”です。
タバコを吸う人ではタバコを吸わない人と比べて男性で約4.5倍、女性で約3倍肺がんになるリスクが高くなります。また、自身が喫煙をしない場合でも周囲の人がタバコを吸ういわゆる”受動喫煙”によっても約1.3倍発症リスクが高くなることが分かっています。
しかし「禁煙」を行うことで、上昇した肺がんのリスクは半分に下げることが出来るとも分かっています。
タバコは他にも冠血管疾患や脳血管疾患などさまざまな病気のリスクをあげることが分かっていますよね。医療的な観点だけから見ると、やはりタバコは百害あって一利なしです。きっかけがあれば、ぜひ患者さんや周囲の人に禁煙を勧めていきましょう。
引用:がん情報サービス「禁煙による健康への効果」https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/tobacco07.html
喫煙以外の肺がんの要因は、職場や生活環境によって暴露される化学物質(アスベスト、PM2.5、ディーゼル粒子、ラドン、クロムなど〕があります。特に、アスベストは安価で耐火・断熱・防音に優れていたため”建築材料”として使用されてきましたが、呼吸器疾患のリスクを大きくあげることが分かり2006年に使用が禁止されました。かつて、建築関係の職業に従事していた方は注意が必要です。
他にも、遺伝的要因や家族歴、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎の既往がリスクを高めると考えられています。
また、肺は全身への酸素供給のために必要な臓器であるため、たくさんの血管とリンパ管が張り巡らされています。体内の血液のほとんどが必ず肺を通ることになるため、がんが他の臓器に遠隔転移しやすいことが考えられています。肺がんによって転移が起こりやすい場所は、脳、骨、肝臓、副腎などが挙げられます。
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