罹患数・死亡数が共に高い胃がん。その原因や予防、薬物治療について外来がん治療認定薬剤師が解説
今回は、胃がんの初歩的な部分である「胃がんのいろは」をお話します。
世界的に見ても罹患率の高い、日本人の”胃がん”
日本人を含むアジア人は、世界的にも胃がんの罹患率が高いことが統計的に示されています。胃がんはかつて「がん死亡数第1位」であり、日本で最も死亡数の多いがんでした。
現在も罹患数と死亡数は肺・大腸に次ぐ第3位ですが、その数は徐々に減少傾向にあります。この背景には検査や治療法といった医療の質が向上したことや、胃がんの原因として有名な”ピロリ菌”の感染率が低下したことがあげられています。
また、日本人の胃がんの罹患率には男女差があることが分かっています。男性は女性と比べて約2倍胃がんの人が多いのです。この罹患率の差には男女の生活習慣の差が大きく関わっていると考えられます。胃がんのリスクファクターには、喫煙、アルコール、食塩の過剰摂取、野菜の摂取不足などがあります。
- 習慣的な喫煙率
- アルコール摂取量
- 塩分摂取量
- 外食の頻度
国民健康・栄養調査結果の結果から、これら全てにおいて男性の方が女性よりも高い傾向にあることが分かっています。
男性は女性以上にラーメンなど味付けの濃い食事が好きで、飲み会や外食によく行っており、喫煙所の利用が多いイメージが未だにありますね。この生活習慣自体が胃がんに関連しているのです。食事も生活も、バランスが大切ですね。
また、日本の胃がん死亡率には地域差があり”西高東低型”であると言われています。
日本海側(西側)は寒冷地域が多いことから郷土的に塩分摂取量が多いと言われています。これに沿うように日本海側では、全国平均と比べて胃がんの罹患率が高い傾向にあることが示されています。
胃がんは、胃の粘膜細胞に刺激が加わることでがん化します。
もちろん、食生活に関わる要因も多いというわけですね。
また、胃がんは40歳から徐々に増え始めて、50代以降罹患率が大きく増加していきます。この結果から、自治体や職場の健康診断では早期発見の目的で”40歳以上”を対象に「胃部X線検査」や「上部内視鏡検査」が行われています。
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