膵がんの原因や予防、薬物治療について外来がん治療認定薬剤師が解説
膵がんは、全がんの中で男女を合わせて5位圏内からは外れていますが、がん死亡数が男女合計で”4番目に多い”とされる消化器がんです。5年生存率は約8.5%、つまり予後がきわめて悪いがんであるということです。
なぜ膵がんはこれほど予後が悪いのでしょうか。
それは、膵がんは早期発見が難しいがんであることが一つの原因です。
まず、膵臓は胃や腸の後ろという比較的体の中でも深い隠れた場所に位置しています。さらに、膵臓の形状や位置が複雑であること、病変が小さい場合でも膵臓の中にある場合があるなど、画像検査での発見も難しい場合が多いとされています。
前立腺がんでの”PSA”といった、他のがんでは早期発見に有用とされているような鋭敏な腫瘍マーカーの確立も未だ難しい状況にあります。
そして、体重減少や腹痛といった自覚症状が現れてきた場合にはすでに病状が進行していることが多く”糖尿病”、”黄疸”、”膵炎”といった症状も初期段階ではほとんど現れないというがんであることが早期発見を難しくしている要因でもあります。
膵がんのリスクファクターとして知られているのはアルコール、喫煙、肥満、高血糖、高脂血症、膵炎の既往歴などが関与していると考えられています。食事の内容としては、脂肪分の多い食事(高脂肪食)に注意が必要です。
膵臓は消化酵素やインスリンやGLP-1などのホルモンを分泌する重要な臓器であるため”食事”や”生活習慣”に関わる要因が多いと考えられます。
最近では遺伝的要因の関連も分かってきており、特に「BRCA1/2遺伝子変異」がある患者さんでは、膵臓がんの発症リスクが高まるとされています。
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