ワーファリンからDOACへ切り替え時は要注意!疑義照会成功例
- DOAC(直接作用型経口抗凝固薬)は腎機能の禁忌範囲が適応によって変わる
- 「エドキサバン(リクシアナ)」だけ注意が必要な腎機能の禁忌範囲
- ワーファリンからDOACへ切り替え時の服用間隔について
腎機能に応じた処方提案、できていますか?
処方医の先生方も、慣れているものであれば、添付文書の減量規定に則って、処方していただける場合もありますが、採血結果を定期的にフォローできる薬剤師だからこそできることも多くあります!
今回は、静脈血栓塞栓症(VTE)の治療において、長年「ワーファリン」を服用してきた患者さん。「納豆好き」な患者さんのために、医師がDOACへ処方変更したケースです。しかし、そこには腎機能評価とDOACの適応に関する「思わぬ落とし穴」が潜んでいました…!
静脈血栓塞栓症で「ワーファリン」を服用している80代女性のデータ
例)89歳 女性 Dさん
身長:140 cm 体重:40 kg
血清クレアチニン:1.13 mg/dL eGFR: 34.59 mL/min/1.73m2
<前回処方>
・ワーファリン錠1mg 1錠
分1 朝食後 30日分
<今回処方>
・【般】リバーロキサバン錠 15mg 1錠
分1 朝食後 30日分
静脈血栓塞栓症で「ワーファリン」の服用開始。手術歴なし。以前より納豆好きで、ワーファリン服用後、毎日食べられなくなったことを嘆いていた。
「リバーロキサバン錠 15mg」のドクター処方に疑義あり!
「リバーロキサバン錠 15mgは用量が多いのでは?」とまずは考え、年齢・体重・身長・血清クレアチニン値からCockcroft-Gault式(クレアチニンクリアランス推算式)を用いて算出するとクレアチニンクリアランスは 21.31 mL/minとなり、「静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制」の適応の禁忌である
重度の腎障害(成人ではクレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者、に該当します。
今回処方のDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)への切り替えでは、出血リスクが高くなってしまうため、疑義照会が必要になります。
処方提案の成功例を紹介
薬剤師るみ:今回のDさんの「リバーロキサバン(イグザレルト)」への処方変更ですが、実は、腎機能検査値からクレアチニンクリアランスを計算したところ30未満となっており、禁忌に該当します。「ワーファリン」へ戻すか、別のDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)に変更するかご検討いただきたいのですが…。
医師:そうなの!? eGFRが30あったから大丈夫だと思ってました…。
薬剤師るみ:添付文書の記載では、eGFRではなく、クレアチニンクリアランスでの算出となっています。ご高齢ということもあり、出血リスクの方が心配になってしまいます。
医師:「もう納豆食べていいよ」って言ってあげたかったんだけど…。他のDOACはどれならいいの?
薬剤師るみ:「エドキサバン(リクシアナ)」が、「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」では15未満禁忌となっておりますので、エドキサバン(リクシアナ)低用量の処方で問題ないかと思います。
医師:「エドキサバン(リクシアナ)」は…30mgで大丈夫かな?
薬剤師るみ:ありがとうございます!体重60kg以下のため、1回30mgで問題ないと思います。よろしくお願いいたします。
【エビデンス チェック】 上記の処方提案の裏側を解説します!
1) DOACは適応によって腎機能の禁忌範囲が異なる
「リバーロキサバン(イグザレルト)」®️IFより 筆者作成
SPAF:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
PE/DVT:深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制
PAD:下肢血行再建術施行後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制
「リバーロキサバン(イグザレルト)」は第Ⅲ相試験において腎機能低下患者さんがされており、本剤の使用経験が限られていることから、PE/DVTの重度の腎障害の患者さん(クレアチニンクリアランス<30mL/min)で禁忌となっています。