- ラベプラゾール錠(ラベプラゾールナトリウム)
- ネキシウム懸濁用顆粒(エソメプラゾールマグネシウム水和物)
- ランソプラゾールOD錠(ランソプラゾール)
- ネキシウムカプセル(エソメプラゾールマグネシウム水和物)
- タケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩)
- ラベプラゾール錠の粉砕指示に「疑義あり」と判断した理由
- 「ラベプラゾール」から「ネキシウム懸濁用顆粒」への疑義照会フォーマット
- 経口摂取から経管投与に投与経路変更になったらどうすべき?
高齢患者や嚥下機能が低下した患者さんにおいて、カプセル剤や錠剤が服用困難となった際に、「粉砕」や「脱カプセル」「簡易懸濁法」を検討されるケースがありますが、薬剤によっては薬効の減弱や副作用の発現といった重大なリスクをはらんでいることがあります。
処方提案を行う前に、対象薬剤の「徐放性」「腸溶性」「刺激性」「苦味」「安定性」などが必ず確認したいポイントとなってきますが、患者さんのご家族が良かれと思って、自己判断で粉砕していた…というのもよくあるケースです。
徐放性製剤を粉砕すれば血中濃度の急激な上昇による副作用リスクを招き、腸溶性製剤を粉砕すれば胃酸による有効成分の失活を引き起こす恐れがあります。
本コラムでは、高齢者や嚥下機能低下例でも処方頻度が高いプロトンポンプ阻害薬(PPI)の服用困難例に対して、医師へ処方提案を行った事例を解説します!
「ラベプラゾール錠」は粉砕不適?嚥下困難な80代女性の事例
例)80歳女性Gさん
<一部処方>
・ラベプラゾール錠10mg 1錠
分1 朝食後 30日分
難治性の逆流性食道炎の診断があり、継続服用中。
嚥下困難のため、介護中のご家族の判断で粉砕して服用されていた。
普段の食事や飲料にはとろみをつけている。
今回より粉砕指示があったが、本剤は粉砕不適と判断。
医師へ疑義照会となった。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)「ラベプラゾール錠」の粉砕指示に「疑義あり」と判断した理由
① 薬学的判断
- 粉砕した「ラベプラゾール錠」を服用することで起きうることを想定。
→腸溶錠のため胃酸で失活し、薬効が失われる恐れがある。
② 患者さん・ご家族より聴取したこと
- 事前に患者さんの逆流性食道炎の経過、食事量や体重の変化を聴取。
- 本人の嚥下の状況について聴取して、適切な剤形を検討。
③ 疑義照会に踏み切る理由
→この患者さんは逆流性食道炎のコントロール不良となり、食思不振(食欲不振)や食事量減少に繋がっていることが判明したため、疑義照会・情報提供すべきと判断。
【疑義照会例】「ラベプラゾール」から「ネキシウム懸濁用顆粒」への処方提案
薬剤師るみ:お世話になっております。Gさんの今回の処方で粉砕指示をいただいておりましたが、腸溶錠の「ラベプラゾール錠」が処方に含まれているため、他の薬剤へ変更を検討していただきたく、疑義照会をさせていただきました。
医師:今までご家族が粉砕して飲ませていたみたいだけど、それだとどうだったんでしょう?
薬剤師るみ:おそらく胃酸で薬効が失活してしまっていたと思われます。実際に先ほど患者さんに聴取したところ、最近は症状コントロール不良となっており、食事量も減少していた様子です。
医師:今までの症状の経過を考慮して、H2拮抗薬やタケキャブではなく、PPI(プロトンポンプ阻害薬)に変更したいのですが、何を検討したらいいでしょうか?
薬剤師るみ:例えば、「ランソプラゾールOD錠」であれば、口腔内で崩壊します。※
低温での簡易懸濁や、「ネキシウム(エソメプラゾール)」の脱カプセルなども検討できますが、他にもネキシウムは懸濁用顆粒もご検討いただけます。
現在お食事やお飲み物にはとろみをつけているとのことでしたので、懸濁後とろみがつく懸濁用顆粒であれば、粉砕後の併用薬を本剤と一緒に服用可能かと思います。
医師:それなら、結局ご家族が服用する水にとろみをつける手間を省くこともできますし、一石二鳥ですね!「ネキシウム懸濁用顆粒」の20mgを試してみましょうか。
薬剤師るみ:ありがとうございます。では、「ネキシウム懸濁用顆粒分包20mg」に変更して調剤いたします。
※腸溶性顆粒を含む
※今回はPPIの服用方法が誤っていることによる症状コントロール不良なので、医療経済的にも、患者負担的にも、症状経過の面からみても、タケキャブを代替薬候補に含んでおりません。タケキャブはジェネリック医薬品がなく、薬価も高いため、患者さんの金銭的負担への考慮も必要です。
【疑義照会のエビデンス】 上記の処方提案の裏側の製剤学・臨床的特徴を解説します!
1. 「薬剤の」嚥下機能の評価
国内初、錠剤とカプセル剤の嚥下に特化した、自記式アセスメントツールとして、PILL-5があります。