薬剤師のための派遣・パート・アルバイトコラム

更新日: 2024年7月17日 薬剤師コラム編集部

【初めての派遣薬剤師】高時給?福利厚生は?メリット・デメリットを解説

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薬剤師の派遣と聞くと、雇用面や将来性で、不安に思う方もいるのではないでしょうか。
でも、実は派遣薬剤師は、自分の都合に合わせて働けて、しかも高時給という魅力のある働き方です。

ここでは、初めて派遣を考える薬剤師の方に向けて、派遣薬剤師の特徴や、気になる時給、そしてメリット・デメリットについて詳しく説明します。

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派遣薬剤師と、パートや正社員との違いは?

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「派遣」という働き方は、パートや正社員とは何が違うのでしょうか。
派遣とそのほかの働き方の違いをまとめると、次の表のようになります。

働き方(雇用形態)の種類と特徴

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引用元:厚生労働省「どんな働き方があるの? 無期雇用と有期雇用の違いは?」

ここからは、薬剤師が派遣として働く前に知っておきたいことについて説明します。

薬剤師派遣のしくみ

派遣薬剤師とは、薬剤師派遣会社と雇用契約を結び、薬剤師派遣会社と契約している薬局やドラッグストアなどの企業で仕事をする薬剤師のことです。

雇用主は薬剤師派遣会社となるため、給与は薬剤師派遣会社から支給され、社会保険などは薬剤師派遣会社の制度が適用されます。

実際の仕事は、派遣先の企業の指示に従って行うことになります。

なお、雇用契約は派遣先の決定と同時に成立するので、派遣会社に登録しただけでは契約となりません。
したがって、複数の派遣会社に登録OK、問題はありません。

同じ派遣先で働けるのには期限がある

派遣とそれ以外の働き方の間の違いに、雇用期間があります。
派遣社員は、働く期間が定められた有期雇用です。契約期間が終わるごとに更新するかどうかを判断することになります。
派遣は、労働者派遣法によって、同じ派遣先で働ける期間は最長3年と決められています。

それまでの派遣先での派遣期間が更新されず終了すると、次の派遣先で働くことになります。
なお、双方の同意があれば、派遣先に正社員として入社するというケースもあります。

派遣薬剤師の種類

このような特徴のある派遣薬剤師ですが、派遣のなかにも2つの種類があります。
その主な違いは派遣期間と、それに伴う条件となります。

一般派遣

「一般派遣」とは、いわゆる派遣薬剤師のことです。
ここまで説明してきたように、派遣期間は最長3年となります。
派遣薬剤師として派遣会社に登録する際には、薬剤師免許のほかには特に条件はありません。

単発派遣

「単発派遣」とは、勤務する期間が1日から30日、かつ週20時間以内の派遣契約のことをいいます。

ただ、単発派遣は、法律上は「日雇い」に該当するため、原則として禁止されています。
労働者派遣法により、単発派遣で働けるのは次の条件に当てはまる人となっています。

単発派遣で働ける薬剤師の条件

  • 60歳以上の方
  • 雇用保険の適用を受けない学生(定時制・通信制の学生は対象外)
  • 本業の年収500万円以上の方
  • 世帯年収の額が500万円以上ある、主たる生計者以外の方

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正社員と派遣の違い

正社員と派遣の主な違いは、雇用主が企業か派遣会社かという違いとなります。
派遣の給与や福利厚生は、働いている職場ではなく、雇用主である派遣会社のものが適用されます。

勤務時間については、派遣でも希望すればフルタイムで働くことができます。
派遣には基本的に残業はありません。仮に残業することになったとしても、きちんと記録されるのでサービス残業になることはありません。

パートやアルバイトと派遣の違い

パートやアルバイトは非正規雇用である点は派遣と同じですが、働いている企業に直接雇用されている点が派遣との違いです。
そのため、パートやアルバイトは、派遣と違って同じ職場で長く働くこともでき、条件を満たせば無期雇用になることもできます。

時給はパートやアルバイトよりも派遣のほうが高いことが多くなっています。

派遣薬剤師の勤務先

派遣薬剤師は、業務量の多い企業で即戦力として求められることが多いため、主な派遣先は調剤薬局とドラッグストアが中心となっています。
仕事の内容は調剤業務がメインです。

病院への派遣は、労働者派遣法によって病院等の医療関係業務への派遣は原則禁止されているため、できません。
ただ、例外として、紹介予定派遣と産休・育休中の薬剤師の代替勤務については、派遣薬剤師が働くことが認められています。

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派遣薬剤師として働くメリット

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派遣と正社員やパート・アルバイトにはこのような違いがあります。
雇用期間などで制限がある派遣ですが、では実際に働くとどのようなメリットがあるのでしょうか。

働き方が自由

正社員で働くと、フルタイム勤務となり、休みもなかなか自由に取ることはできません。
しかし、派遣薬剤師は、自分の働ける時間や日数に合わせて働き方を選ぶことができます。

たとえば週3日だけ、週末だけ、という働き方も可能です。また、午後だけ、夜の時間だけというように勤務時間を選ぶこともできます。
逆に、正社員並みにフルタイムで働いてがっつり稼いでいる派遣薬剤師もいます。

結婚や育児、あるいは介護など、ライフスタイルの変化に合わせて、自分のペースで働くことができるのは、派遣の大きなメリットといえるでしょう。

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比較的時給が高い

パートと同じようなイメージを持たれがちな派遣ですが、派遣薬剤師の時給はパート勤務よりも高くなっていることが一般的です。
働き方によっては正社員並みの年収を得ることもできます。
派遣の収入についてはあとで詳しく解説しますが、高時給は派遣薬剤師の大きなメリットといえます。

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ひとつの職場に縛られない

派遣の場合、だいたい数カ月〜数年の周期で職場が変わることになります。
職場が変われば、担当する診療科も変わり、処方箋や薬剤の種類も変わります。
また、薬局内のシステムも違いますし、ドラッグストアでは客層や担当する仕事も多岐に渡ります。

また、職場が少人数のため人間関係に気を遣うことの多いのが薬剤師の仕事ですが、派遣は期間が限られているので、割り切ってよけいなストレスを感じずに働くことができます。

ひとつの職場やそこでの人間関係に縛られず、いろいろな仕事を経験できるのが派遣のメリットといえるでしょう。

自分で転職先を探さなくていい

普通に働いていて転職しようと思った場合、自分で転職先を探して、応募したり面接したりしなければなりません。
パートとして働く場合でも、勤務時間や時給などについて、自分で確認したり勤務先と条件をすり合わせたりするのはなかなか気を遣うものです。

その点、派遣は自分の希望を派遣会社に伝えておけば派遣会社が希望に合う職場を探してくれます。
転職にまつわるストレスを軽くすることができます。

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派遣薬剤師として働くデメリット

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このようなメリットがある派遣ですが、デメリットもあります。

気に入った職場でも働き続けることができない

派遣では定期的に派遣先が変わります。
いろいろな派遣先を経験するなかでは、仕事の内容がおもしろい、人間関係がとてもよいといった職場に当たることもあるでしょう。

しかし、派遣の場合は、契約期間が終了するとその職場で働き続けることはできません。
せっかく出会ったよい職場で働き続けることができないのはデメリットと感じられるでしょう。

新しい環境への対応力が必要

派遣では、派遣先が変わるたびに新しい職場での業務を覚えなければなりません。
即戦力として派遣されているので、時間をかけて教育してもらえるということは少なく、すぐに状況を理解して対応する力が求められます。

人間関係についても、そこにいるスタッフと柔軟によい関係を作っていかなければなりません。
新しい環境にすぐになじめる適応力や、同僚や患者さんとのコミュニケーション力が求められます。

派遣切りの可能性がある

派遣は派遣先企業で人員が足りないときの補充要員として要請されることが多いです。人員の調整弁という面があるので、スタッフが充足すれば派遣が切られてしまうことになります。

また、不景気となり業界全体の求人が減ると、派遣切りや雇い止めが起こりやすくなってしまいます。
このように雇用に不安定な面があるのは派遣のデメリットといえるでしょう。

マネジメント経験を積むことができない

派遣薬剤師はさまざまな職場で経験を積むことができますが、調剤や服薬指導といった基本的な業務が中心となります。
派遣薬剤師として長い間働いたとしても、職場全体を見渡して業務を調整したり、スタッフを動かしたりというマネジメント面に関わることはありません。
管理薬剤師やエリアマネージャーなどの管理職へのキャリアアップは、派遣という働き方では難しいでしょう。

派遣薬剤師の年収相場

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派遣薬剤師のメリットのなかで、派遣の時給は高いとお伝えしました。
ここからは派遣薬剤師の年収相場について具体的にみていきましょう。

派遣薬剤師は高時給

派遣薬剤師の時給は、派遣先や地方によって異なりますが、一般的に高時給です。
薬キャリエージェント調べによると、派遣薬剤師の平均時給は3341円でした。

パート・アルバイト薬剤師の平均時給は2079円(薬キャリエージェント調べ)ですので、派遣薬剤師の時給はパート・アルバイトの約1.5倍となっています。

派遣薬剤師の時給を3300円として、1日8時間、月20日勤務したとして計算すると、年収は約634万円となります。

薬剤師全体の平均年収は583万円ですので、派遣薬剤師は働き方によっては正社員を越える年収を得ることもできるのです。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」
※薬剤師の平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出


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派遣薬剤師が高時給の理由

派遣薬剤師の時給が高い理由としては、まず人手の足りない職場に即戦力として求められているからということがあります。
求人を出して面接をしてといった手間とコストをかけずに経験者をすぐに確保するために高時給が設定されているのです。

また、労働者派遣法では、「同一労働、同一賃金」の原則により、同じ仕事をしているのであれば、正社員と派遣社員の間に賃金や手当などで差をつけてはならないとされています。
派遣の場合は、ボーナスやケースによっては退職金が時給に上乗せされているため高時給になっていることもあります。

あなたはどちら?派遣薬剤師に向いているタイプ

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ここまで、派遣薬剤師のメリットとデメリットについてみてきました。
派遣薬剤師には、一般の薬剤師と違う特徴があるため、派遣という働き方が向いている人と向いていない人が分かれる傾向にあります。
ここからは、どういう人が派遣に向いているのかについてみていきましょう。

派遣が向いている人

基本的に調剤業務に集中して働けばよく、高時給で時間を選んで働ける派遣は、家事や育児の合間に働きたい人や、短期間で集中して稼いで旅行などのプライベートを充実させたいと考える人に向いています。

結婚や育児などの影響を受けやすい女性にとって、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できる働き方だといえるでしょう。ママ薬剤師におすすめです。

派遣が向いていない人

環境の変化が苦手で、同じ職場、同じ人間関係のなかで落ち着いて働き続けたい人にとって、派遣は向いていない働き方だといえます。
また、マネジメントに関わることがないので、将来的に管理職へのキャリアアップを望んでいる人にもおすすめできません。
派遣は高時給ではありますが、常に仕事が保証されているわけではないので、定期的な収入が必要な人は正社員として働くほうがいいでしょう。

派遣への転職前に疑問を解消!Q&A

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収入や働き方の自由さの面で派遣に魅力を感じているけれど、本当にデメリットはないのか不安に感じている方もいるでしょう。
ここでは、よくある派遣への疑問についてお答えします。

派遣の福利厚生はよくない?

給与面では正社員と違いはないけれど、福利厚生は派遣には適用されない、そう考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、派遣薬剤師にも福利厚生はあります。
ただ、派遣薬剤師は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、福利厚生は、派遣先ではなく、契約している派遣会社の制度が適用されることになります。

社会保険と有給休暇については、派遣社員に対してもきちんと法律で定められているので、条件を満たせばどの派遣会社でも加入、申請することができます。
また、産休や育休についても、法律に基づいて取ることができます。

社会保険や育休・産休については、派遣会社によって条件が異なるので、事前に確認するようにしましょう。

また、薬剤師のスキルアップのための研修や、レジャー施設やスポーツ施設の利用料金割引など、独自の福利厚生のある派遣会社もあります。

調剤経験がないと派遣では働けない?

派遣先の企業は人手が足りなくなった職場ですぐに働ける人を求めているため、調剤経験がない場合に派遣で働くのは難しいといえます。
まず、パートなどで調剤を経験して、一通りの業務を把握してから、派遣にチャレンジすることをおすすめします。

ただ、人手不足が深刻でなかなか薬剤師が採用できていない職場や、「未経験可」という職場では、調剤経験がなくても働けることがあります。
まずは派遣会社に登録して、コンサルタントに相談するとよいでしょう。もし未経験でも働ける派遣先があれば紹介してもらえますし、難しい場合は調剤経験を積むためのアドバイスを受けられるでしょう。

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派遣薬剤師の始め方

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実際に派遣薬剤師を始めるにはどうすればいいでしょうか。
派遣会社に登録してから実際に働き始めるまでの流れをまとめました。

1 派遣会社に登録する

まず、氏名や連絡先、希望条件などを登録します。
インターネットや電話から無料で手軽にできるので、まずは登録してみましょう。

2 コンサルタントとの面談

担当のコンサルタントと面談をして、勤務地や勤務時間などの希望の条件などを伝えます。
面談は対面のこともあれば電話のこともあります。

3 求人の紹介

派遣会社が希望に合った求人を探し、紹介してくれます。一般に公開されていない、非公開求人の紹介を受けることもできます。

4 雇用契約

条件に合う派遣先が決まったら、就業条件を確認したうえで、派遣会社と雇用契約を結びます。コーディネーターから雇用条件や注意事項の説明を受けます。

5 派遣スタート

派遣先での仕事が始まります。派遣先の薬局、ドラッグストアなどで派遣先企業の指揮命令のもとで働きます。困ったことがあれば、派遣会社のコーディネーターのサポートを受けることができます。

まとめ

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薬剤師はパートで働いたとしても時給が高いですが、派遣で働くともっと高い時給が期待できます。
また、正社員並みにフルタイムで働いて、短期間で稼ぐこともできます。
このようなメリットの多い派遣ですが、定期的に職場が変わるため、派遣に向いている人と逆にストレスに感じる人がいるのも事実です。

この記事が、ご自身が派遣に向いているかを考えるきっかけになれば幸いです。
派遣登録は無料でできるので、まずは登録して、プロのコンサルタントに相談するのがおすすめです。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

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