薬剤師のための派遣・パート・アルバイトコラム

更新日: 2024年8月7日 薬剤師コラム編集部

派遣薬剤師は時給が高い?年収を正社員と比較してみた

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薬剤師の働き方のひとつに派遣があります。
派遣は時給が高いけれど、福利厚生がない、そんな先入観を持っている人も少なからずいるのではないでしょうか?

この記事では、正社員と比較した派遣薬剤師の年収の実態と、派遣として働くことのメリット・デメリット、さらには派遣が向いているタイプ、向かないタイプについて解説します。

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派遣薬剤師の時給が高いって本当?

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派遣薬剤師は時給が高いというイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
求人を見ると、確かにパートやアルバイトよりも高時給の募集を見かけることがあります。
そこで、派遣薬剤師の時給や年収について調べてみました。

派遣薬剤師の平均時給

薬キャリエージェント調べによると、派遣薬剤師の平均時給は、病院で3215円、調剤薬局で3346円でした。
だいたい3000円超が一般的のようです。

ちなみに令和5年度の地域別最低賃金は、東京が1113円、全国加重平均額は1004円であることと比べると、派遣薬剤師の時給は、かなり高水準であることがわかります。

参照:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」より「令和5年度地域別最低賃金改定状況」

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派遣薬剤師は都会よりも地方が高時給

時給は地域によっても違いがあることはご存じでしょうか。

特に人手不足に悩む地方では、人材を確保するために高時給で募集をする傾向があります。
たとえば薬剤師全体の平均年収にしても、東京や大阪などの都市部よりも地方の方がはるかに高い年収を得ていることが多いのです。

都市部での派遣薬剤師の平均時給がおよそ3000円とすれば、地方では3000円から4000円前後になるケースもあるようです。

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派遣薬剤師の年収を正社員と比較

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では、派遣薬剤師の年収と正社員の年収はどちらが高いのでしょうか?
派遣としてフルタイムで勤務した場合の年収はいくらになるか、実際に計算してみました。

派遣薬剤師と正社員、どっちが高い?

厚生労働省のデータによると、正社員の薬剤師の年収は以下のようになっています。参考として、一般労働者の年収もあげておきます。

正社員の薬剤師年収(令和4年度)

男女計
薬剤師 583万円 637万円 540万円
一般労働者 312万円 342万円 259万円

厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」
※薬剤師の平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
※一般労働者の平均年収は、厚生労働省「付表2 一般労働者の性、雇用形態別賃金及び雇用形態間賃金格差の推移/令和4年賃金構造基本統計調査の概況」より、男女計の正社員・正職員の賃金に12を掛けた数字を平均年収としている

では、派遣薬剤師の時給を3300円と仮定し、1日8時間、月20日勤務した場合の月収を計算してみましょう。

3,300円×8時間×20日=52万8000円

さらに1年間勤務した場合の年収を計算すると次のようになります。

52万8000円×12=633万6000円

時給3300円の場合の年収は633万6000円となりました。

もう一つの例として、時給を3000円と仮定し、同様に1日8時間、月20日勤務した場合の年収も出してみましょう。

3000円×8時間×20日×12月=576万円

時給3,000円では、年収は576万円になります。

薬剤師全体の平均年収583万円と比べてみると、派遣薬剤師の年収がいかに高水準かがわかります。

単純計算での比較ではありますが、派遣で働いた場合、一般的な薬剤師の平均年収を上回る可能性もあるといえそうです。

では、パート薬剤師とは?

パート薬剤師も派遣と同様、非正規雇用という働き方ですが、時給に違いはあるのでしょうか。

薬キャリエージェント調べによれば、パート薬剤師の平均時給は病院で2052円、調剤薬局で2072円でした。
派遣薬剤師より時給は下がる傾向にあるようです。

そこで派遣と同じく、パートとしてフルタイムで働いた場合の年収を、時給2000円、1日8時間、月20日勤務と仮定して計算すると、次の結果になりました。

2,000円×8時間×20日×12月=384万円

時給2,000円のパートでは、年収は384万円です。
派遣薬剤師と比較すると、やはり低くはなります。

ただ、薬剤師以外の一般職に就いている労働者の平均年収が312万円であることと比べると、パートという雇用形態でもかなり高い年収が得られるといえるでしょう。

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高時給だけじゃ不安 派遣薬剤師の福利厚生は?

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派遣薬剤師の時給は確かに高水準であることがわかりました。
けれど、いくら高時給でも、働く環境が整っていなければやはり不安ですよね。

派遣は福利厚生がないのではないか、と不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
ここからは、派遣薬剤師の福利厚生について説明します。

派遣に福利厚生はない、は嘘

結論から言うと、派遣薬剤師にも福利厚生はあります。
ただし、派遣薬剤師は実際に働く職場ではなく派遣元の派遣会社と契約を結んでいるため、福利厚生は契約している派遣会社の制度が適用されることになります。

最近は、福利厚生に力を入れている派遣会社が増えており、派遣社員も正社員と変わらぬ手厚い福利厚生が受けられるようになってきました。
特に社会保険と有給休暇については、派遣社員に対しても設けなければならないと法律で定められているので、条件を満たせばどの派遣会社でも加入、申請することができます。

社会保険の加入条件はそれぞれの会社の保険組合によって違いがあるので、事前に確認するようにしましょう。
また、有給休暇の取得については、労働時間が関係するので、正社員と同等の勤務時間であれば、雇用の形態に関わらず誰でも取得できる仕組みになっています。

他にも、レジャー施設やスポーツ施設の利用料金割引や研修制度など、さまざまな種類の福利厚生をそろえている派遣会社もあります。

派遣薬剤師は産休・育休はとれる?

派遣薬剤師も産休・育休はとることができます。
産休・育休はすべての労働者が請求できる権利として法律で定められているものなので、申請すれば必ずとることができます。

ただ、取得するための条件は会社によって違いがあります。
主な条件はそれまでの勤続年数です。たとえば、育休については、短いところで3カ月以上、長くても1年以上の就労期間を満たしていれば取得できるとしている会社が多いです。

高時給だけじゃない 派遣薬剤師のメリット

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時給の高さだけではなく、派遣ならではのメリットもあります。
派遣薬剤師として働くメリットについてみていきましょう。

自分の希望する条件で働ける

派遣の求人には、フルタイムや短時間勤務、扶養範囲内など、さまざまな勤務条件の求人があります。
曜日や時間が指定できるなど、自分の希望する働き方に合わせることができるので、ワークライフバランスが取りやすいといえるでしょう。
ダブルワークとして、派遣での勤務を選択することも可能です。

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残業がない

派遣の場合、雇用契約を結ぶのは派遣先の職場ではなく、派遣元の派遣会社です。
派遣会社との契約が時間外労働なしとなっていれば、職場から残業を命じられることはありませんし、残業を指示されても断ることができます。
もし残業が発生した場合でも、その分の賃金はきちんと支払われ、サービス残業になることはありません。

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いろいろな職場を経験できる

派遣の場合、同じ職場での雇用期間は最長で3年までとなっています。
だいたい数カ月程度で職場が変わることが多いようです。

当然ながら、職場が変われば扱う薬の種類や持ち込まれる処方箋の内容も変わるため、さまざまな経験を積むことが可能になります。
いろいろな職場を経験しつつスキルアップを図りたい人には特に向いている働き方といえるでしょう。

職場に対して割り切ってつきあえる

先に述べたように、派遣はあらかじめ雇用期間が決まっており、1つの職場での勤務期間は最長でも3年までです。
もしも、派遣先の職場の雰囲気が合わなかったとしても、雇用期間が過ぎればその職場からは離れることができます。

このように、定期的に職場との関係が解消されるため、煩わしい人間関係のトラブルを引きずる必要がありません。
短い期間だけのつきあいと割り切って働くことができます。

派遣薬剤師として働くデメリット

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ここまでで、派遣の良さについて、おわかりいただけたかと思います。
ただ、メリットだけではない面ももちろんあります。
派遣薬剤師として働く前に、派遣のデメリットについても十分に理解しておくことが大切です。

自分で職場を選べない

派遣薬剤師の時給が高いのは、即戦力となることを求められているからです。
基本的には、すぐに解消したい人手不足を補うために雇われることがほとんどです。
求人を出しても人が集まらなかったため、やむなく高時給の派遣を募集している職場もあります。

そのため、どうしても派遣薬剤師の派遣先は、忙しい職場ばかりになりがちです。
人員やシフトに余裕のある職場で働きたいと思っても、その可能性は少ないと思った方がよいでしょう。

雇用期間は最長で3年

派遣の場合、1つの職場における雇用期間は3年までと定められています。
一般的には数カ月単位で職場が変わることが多いようです。
職場が変わると、新しい職場でのルールや業務内容を一から覚えなければなりませんし、人間関係についてもその都度新しく築いていかなければなりません。

派遣として働くとは、こうしたことを短い期間のうちに何度も繰り返すことでもあります。
新しい環境にすぐに馴染めるような適応力や、コミュニケーション力、精神的なタフさなどが求められます。

派遣切りにあう可能性がある

契約期間があらかじめ決まっている派遣の場合、契約終了後に次の仕事が見つかるかどうかが一番の不安材料でもあるでしょう。
優良な派遣会社なら、契約満了を迎える前に、契約更新の確認あるいは次の派遣先の紹介等をしてくれます。

しかし場合によっては、契約の打ち切りや契約更新の拒否を受ける可能性も否めません。
たとえば災害時などは、業界全体で転職の求人数が減少する傾向が見られます。
このような場合は、残念ながら派遣切りや雇い止めが起こりやすくなってしまいます。
必ずしも安定した生活が保証できない点が、派遣のデメリットといえるでしょう。

キャリアアップが難しい

派遣薬剤師はさまざまな現場で経験を積むことができますが、同じ職場に長く勤務することができません。最長でも3年までです。
一方、管理薬剤師やエリアマネージャーなどを目指す場合は、1つの職場でだいたい5年程度の勤務年数が求められます。
管理職へのキャリアアップは、派遣という働き方では難しいと考えた方がよいでしょう。

調剤経験がないと採用されるのが難しい

派遣薬剤師の求人でもっとも多いのはドラッグストアと調剤薬局です。
どちらも、まずは調剤業務が主な仕事になります。

そもそも派遣は人手不足を補うために雇われることが多く、そのため即戦力になること、つまり調剤業務ができることが一番に求められます。
それゆえ、調剤未経験では派遣として採用されるのはかなり難しいといえるでしょう。
派遣薬剤師として働くなら、最低でも1年以上の調剤経験は積んでおきたいものです。

ただし、研修制度が充実している大手の調剤薬局や、調剤未経験可の職場であれば、勤務できる可能性もあります。

高時給を生かす! 派遣薬剤師が向いているタイプ

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派遣薬剤師のメリット、デメリットについてみてきました。
ワークライフバランスの取り方や、将来の目標など、仕事に対してそれぞれが思い描く理想によって、派遣という働き方が向いているタイプと向かないタイプに分かれてくるのではないでしょうか。
具体的に見ていきましょう。

派遣が向いているタイプ

時給が高く、雇用期間が短期間で済む派遣は、数カ月間で集中してお金を貯めて旅行などを楽しみたいという人や、家事や育児の合間に残業なしで効率よく働きたいという人などに向いています。
出産、育児など、ライフスタイルに変化がある女性にとってもメリットが大きい働き方ではないでしょうか。

また、一つの職場に縛られずさまざまな職場を経験してみたい人、コミュニケーション力が高く、新しい環境にもすぐになじめる人なども、派遣が向いているといえるでしょう。

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派遣が向いていないタイプ

派遣は短期間で職場が変わるため、将来、管理職へのキャリアアップを望んでいる人にはおすすめできない働き方です。
また、店舗運営や人材育成などマネジメントに関する仕事に関わることもほとんどないため、それらの仕事に興味がある場合、派遣では物足りなく感じるでしょう。
仕事内容や人間関係が変わるといった環境の変化が苦手で、できるだけ同じ職場で長く働きたい人も、派遣は向いていないようです。

まとめ

派遣薬剤師は時給が高い?年収を正社員と比較してみたの画像8

派遣薬剤師は、働き方によっては正社員並みかそれ以上の年収を得られる可能性のある、高時給の働き方です。
勤務時間の自由度も高く、短期間で効率よく働きたい人には向いているといえるでしょう。

福利厚生もしっかりしており、さまざまな職場で経験を積むことでスキルアップも図れます。
ただし、同じ職場に長く勤務することができないため、キャリアアップの実現は難しそうです。将来的な安定に関しても不安が残るでしょう。

また、短い期間で職場を変わるため、環境の変化が苦手な人には向いていない働き方です。
派遣という働き方を選ぶ場合は、こうしたメリット、デメリットについても十分納得した上で働くようにしましょう。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

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