薬剤師のための派遣・パート・アルバイトコラム

更新日: 2025年6月1日 薬剤師コラム編集部

派遣薬剤師がNGの仕事とは? 派遣薬剤師の禁止業務について解説

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正社員やパートに比べて働き方の自由度が高いといわれる派遣薬剤師。時給も高いので、派遣として働くことを検討している人も多いでしょう。

けれど、派遣は特殊な契約ということもあり、何の制約もなく働けるわけではありません。派遣には、してはいけない働き方があることはご存知でしょうか?

この記事では派遣の禁止業務についてくわしく解説していきます。

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派遣には禁止業務がある?

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パートやアルバイトに比べて時給の高い派遣薬剤師は、ライフワークバランスを重視したい人にとって、効率よく収入を得られる働き方として人気があります。

ところで、派遣にかかわる法律として、労働者派遣法があります。派遣労働者を守るために決められた法律で、派遣薬剤師もこの労働者派遣法に従って働くことになっています。

注意しなければならないのは、労働者派遣法で禁止されている働き方があるということです。それをよく理解したうえで、派遣薬剤師として可能な働き方をみていきましょう。

派遣薬剤師とは

派遣薬剤師とは、派遣社員として勤務する薬剤師のことです。
実際に働く企業等と雇用契約を結ぶのではなく、登録している派遣会社と雇用契約を結び、そこから派遣先に派遣されて働きます。

雇用元は派遣会社なので、給与の支給や福利厚生は派遣会社から受けることになりますが、実際の業務内容についての指示や、勤務についての管理は派遣先が行います。

給与の額や勤務日数など基本的な労働条件については、派遣会社が派遣先との間に入って交渉するので、薬剤師が直接交渉する必要はありません。そのため、自分の希望が伝えやすいというメリットがあります。

また、基本的に残業はなく、プライベートの時間が確保しやすいという点も、派遣のメリットとして挙げられるでしょう。

派遣には法律で決められた禁止業務がある

派遣として働く際に注意しなければならないのが労働者派遣法です。
労働者派遣法は、派遣労働者を保護し、労働者派遣事業を適正に運営するために設けられた法律です。

1985年の制定から現在まで、数年おきに段階的に見直されてきました。
特に2008年のリーマンショック以降、派遣切りと呼ばれる派遣社員の契約解除が多く行われてからは、派遣労働者を守るため、働き方にいろいろな制約が加わるようになってきました。

そこで禁止業務と規定されたものについては、一般的な労働者を保護することが目的であるため、派遣薬剤師にとってはかえって不都合に思えるものもあります。

ただ、禁止業務のなかには例外規定が設けられているものもあるので、こうした制約の中でも派遣薬剤師として可能な働き方を見つけることはできます。

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一般派遣で注意が必要な禁止業務

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派遣には、一般派遣と呼ばれる働き方と単発派遣と呼ばれる働き方があります。
一般派遣とは、最低1カ月以上の雇用期間が決まっているもので、契約期間満了後に更新するか終了するかを決定します。

まずは、この一般派遣を対象にした禁止業務についてみていきましょう。

同じ職場で働けるのは3年まで

労働者派遣法では、同じ職場で勤務できる期間は3年までと定められています。
同一の職場で3年を超えて働く場合は、正社員になるか、パートやアルバイトとして直接雇用となるかしかありません。

ただし、この同一の職場というのは部署単位で考えますので、別の部署に異動して働くことは可能です。たとえばチェーン展開している薬局で、別の店舗に派遣薬剤師として勤務することはできるのです。

つまり、配置される部署や場所が変われば、同じ会社であっても派遣として働き続けることができます。

ただ、実際には派遣薬剤師が同じ職場に1年以上の長期にわたって勤務することはほとんどありません。一般的には数か月単位で他の職場に移っていくことが多いため、3年の上限は、派遣薬剤師にとってあまり影響はないといえるでしょう。

参照:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」第40条の2

1年以内に正社員として勤務していた会社は派遣不可

労働者派遣法では、1年以内に正社員、またはパートやアルバイトで勤務していた会社に派遣として勤務することは禁止されています。
この場合は法人単位で考えるので、チェーン店の別店舗で正社員やパート勤務をしていた場合も、1年を過ぎるまでは派遣として勤務することはできません。

これは、正社員から派遣社員に格下げすることで、企業がコストカットを図ろうとするのを防ぐ目的で定められたものです。一般企業では、以前はこのようなコストカットが行われていた時期もありました。

ただし薬剤師について言えば、正社員よりも派遣のほうが時給は高くなる傾向にあるため、派遣になったからといって必ずしも給与ダウンとはなるわけではありません。しかし、一般的な企業に合わせているため、このようなルールが存在するのです。

なお、1年以内は勤務できないという決まりは、正社員またはパートやアルバイトとして勤務していた場合に限ります。以前、派遣として勤務していた職場に、1年以内に再び派遣として勤務するケースは問題ありません。

参照:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」第40条の9

管理薬剤師は派遣として働けない

管理薬剤師の副業は、医薬品医療機器等法(薬機法)という法律によって禁じられています。
管理薬剤師は薬局の管理者にあたるため、その薬局以外の場所で働くことはできません。たとえ同じ会社の別店舗であっても、そこで働くと違法行為になります。
つまり、管理薬剤師は、副業として派遣薬剤師をすることはできないのです。

ただ例外として、薬剤師不足が深刻な地域などにおいて、都道府県知事の許可を得たうえで、副業として薬局業務のサポート等を行うことは可能です。

参照:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(第七条)

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病院は薬剤師の派遣が禁止

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労働者派遣法では、医療関連機関への薬剤師の派遣が禁止されています。
医療関連機関に含まれるものとしては、病院、クリニックが挙げられます。(薬局、ドラッグストアは医療関連に含まれません。)
となると、派遣薬剤師は病院で勤務することはできないのでしょうか?

病院の医療関係者の派遣は禁止

病院やクリニックなどの医療関連機関への薬剤師の派遣は、原則禁止されています。そのため、万一病院が人手不足に陥ったとしても、派遣を募集することはできません。病院が募集できるのは、正社員あるいはパート、アルバイトということになります。

ところが、病院の求人で、派遣の求人募集を見かけることがあります。
これはいったいどういうことなのでしょうか。

病院で派遣勤務できる例外がある

労働者派遣法によって定められた禁止業務のなかには、例外規定が設けられているものがあります。
病院への薬剤師派遣の禁止にも例外規定があり、それが次に説明する紹介予定派遣と、育休・産休・介護休業労働者の代替としての派遣なのです。

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、正社員あるいはパート、アルバイト勤務になることを前提に、派遣勤務をすることです。
このように、派遣先と正式に雇用関係を結ぶことが前提の場合は、病院やクリニックにも薬剤師を派遣できることになっています。勤務期間は6カ月以内とされ、ほとんどの場合は3カ月の勤務の後、双方の合意の上で入社するかどうかを決めることになります。

この紹介予定派遣は転職後のミスマッチを防ぐうえでも有効で、数か月間、実際に勤務することで、職場の人間関係や労働環境などが自分に合っているかどうかを把握することができます。
結果として、入社後の早期退職を防ぐことになり、企業の側にとっても薬剤師にとっても満足のいく転職が成功しやすいといえるでしょう。

もっとも、正社員になることが前提とはいえ、雇用関係を結ぶには双方の合意が必要であるため、就業を希望しない場合は断ることができます。同様に、こちらが正社員として契約したいと望んでも、相手側に断られる場合もあるということは覚えておきましょう。

育休・産休・介護休暇の代替要員

もう一つ、病院に派遣薬剤師を派遣できる条件として、代替要員としての派遣があります。

病院側に、産休や育休、あるいは介護休暇取得のため一時的に休業する人が出た場合、その補充のため派遣薬剤師を募集することができます。
育休なら、だいたい1年くらい、介護休暇なら3カ月程度の休業を取ることが一般的ですが、その期間だけのために新しく正社員を雇うわけにはいきません。そのため、産休・育休や介護休業労働者の代替要員が必要な場合は、派遣薬剤師を雇うことが可能とされています。

参照:厚生労働省「労働者派遣事業を行うことができない業務は」

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単発派遣は禁止

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一般派遣と違い、30日以内の短期派遣を単発派遣といいます。労働者派遣法では、このような単発派遣を禁止しています。2012年10月の労働者派遣法改正の際、派遣社員の雇用の安定を図る目的で禁止されました。
このことについて、もう少し詳しくみていきましょう。

単発派遣・スポット派遣は禁止

最短で1日、または2〜3日のみの短期間の求人を単発派遣、あるいはスポット派遣といいます。

単発派遣は長くても1カ月程度と雇用期間が短いため、有給の取得や社会保険への加入は難しいとされますが、一般派遣やパートに比べて時給が高いため、ピンポイントで高収入を得たい人には魅力的な働き方です。

ところが派遣法改正により、30日以内の短期間の労働契約は原則禁止と定められてしまいました。

しかし、実際には単発派遣の薬剤師求人は、少なからず存在します。これもまた、例外規定によるものです。

薬剤師が単発派遣で働くための条件について、もう少し詳しくみていきましょう。

条件を満たしていれば単発派遣で働ける

単発派遣は、次の4つの条件のどれか1つを満たしていれば働くことができるとされています。

単発派遣の条件

  • 60歳以上の人
  • 雇用保険が適用されない学生
  • 本業での年収が500万円以上ある人が、副業として単発派遣に従事する場合
  • 世帯年収が500万円以上あり、かつ主たる生計者ではない人

例を挙げれば、主たる生計者である夫の年収が500万円以上ある妻は、単発派遣として働くことができます。
あるいは、本業の年収が500万円以上ある人が、副業として単発派遣に従事することも可能です。

ただし、いま働いている職場が兼業禁止のルールを定めている場合は、単発派遣として働くことはできません。
職場の就業規定についてはよく確認しておきましょう。

参照:「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」第35条の4
厚生労働省「日雇派遣の原則禁止について」

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まとめ

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派遣薬剤師として働く場合の禁止業務についてみてきました。

派遣は自由な働き方ができると思われがちですが、法律で禁じられている働き方がいくつかあるため注意が必要です。

ただ、禁止業務のなかには例外規定が定められているものもあり、条件を満たせば幅広い働き方が可能になります。

法令を遵守しつつ、派遣薬剤師としてさまざまな可能性を広げていく働き方ができるといいですね。

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薬剤師コラム編集部

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